救急救命士:「違法」に点滴 「助けたい一心で」 愛知

2011年3月7日 1時27分

 愛知県常滑市は6日、同市消防本部の男性救急救命士(38)が今年2月に救急救命士法で認められていない点滴治療を救急患者に施したことを明らかにした。同法では、救急救命士は心肺停止状態の患者のみに医師の指示を受けて点滴できるが、患者は心肺停止まで至っていなかった。救命士は「助けたい一心だった。法律違反は認識しており、反省している」と話しているといい、市は処分を検討している。

 同本部によると、救命士は2月7日午前10時ごろ、同市内の交通事故で出動。頭部から大量出血し、ショック状態だった男性会社員(35)に救急車内で輸液を点滴で投与した。救命士は「市民病院の医師に患者の意識や血圧などの状況を報告し『輸液の準備ができた』と告げた後、点滴を行った」と説明しているが、医師から指示があったかは覚えていないという。会社員は快方に向かっている。

 この救命士は経験6年。片岡憲彦市長は「現行法では認められていない行為であり、再発防止に努めたい」と語った。同法は、自発呼吸や意識がある場合の点滴を認めておらず、違反した場合、6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。

 救急救命士の業務拡大を検討している厚生労働省の特別研究班の主任研究者で、藤田保健衛生大救急科の野口宏教授(救急救命医学)は「救命士の気持ちは分かるが、点滴により血圧が上がり、出血が激しくなるケースもあり、危険な行為だった」と指摘している。【三鬼治、工藤昭久】

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