前原外相:献金受領で引責辞任 首相の政権運営、瀬戸際に

2011年3月6日 18時52分 更新:3月7日 17時25分

会見する前原誠司外相=外務省で2011年3月6日午後9時49分、梅田麻衣子撮影
会見する前原誠司外相=外務省で2011年3月6日午後9時49分、梅田麻衣子撮影

 前原誠司外相は6日、政治資金規正法で禁じられている外国人からの政治献金受領問題の責任を取って辞任した。同日夜、菅直人首相に伝えた。首相は慰留したが、前原氏の辞意は固く、了承した。野党の辞任要求が強まる中、11年度予算案や関連法案審議への影響を避ける必要があると判断した。首相は後任選びを急ぐが、菅政権を支える中核グループを率いる前原氏の辞任で政権基盤が弱体化するのは確実だ。予算関連法案成立の見通しが立たず、苦戦が予想される4月の統一地方選を前に、首相の政権運営は瀬戸際に立たされることになった。

 前原氏は6日夜、外務省で記者会見し、「政治とカネの問題で不信を招いてしまったことを国民におわびする」として辞任を表明。辞任理由について「外相の職にある者が外国人から献金をもらっていた事実は重く受け止めざるを得ない。私の政治献金を巡る問題で国会審議を停滞させるわけにはいかない」と述べた。

 前原氏によると、自身の政治団体は韓国籍の在日外国人から05~08年と10年の計5年間で計25万円の献金を受領した。前原氏は会見で外国人からの違法献金について「管理責任は私自身にある」と責任を認めた。

 これに先立ち前原氏は首相と公邸で会談し、辞意を伝えた。首相側近によると、首相は長時間にわたって慰留したが、前原氏は「国会審議を停滞させ、外交空白を作ってはいけない」と主張を曲げなかった。最後は首相が「これからも支えてください」と求め、前原氏も「もちろんです」と応じ、握手したという。

 前原氏の後任には松本剛明副外相の昇格や福山哲郎官房副長官の起用などが取りざたされている。政府は7日、持ち回り閣議で枝野幸男官房長官を外相臨時代理にあてることを決める方向で調整している。一方、民主、自民両党の参院国対委員長は6日夜、協議し、7日の参院予算委員会の基本的質疑を予定通り実施することで合意。答弁は副外相が対応する。

 この問題は4日の参院予算委員会で発覚し、自民、公明両党は辞任を強く要求。参院予算委審議や衆院での11年度予算関連法案審議に影響が波及するのは必至となり、政府・民主党内に辞任論が広がっていた。

 民主党執行部では、岡田克也幹事長が6日、「直ちに辞めなければならない問題ではない」と擁護し、外相続投を支持する意見もあった。しかし、前原氏は6日、首相周辺と電話で協議し、周辺は「辞めるなら一分一秒急いだ方がいい。潔さが政権を救う」と助言。前原氏は7日からの参院予算委再開前の辞任で審議への影響を避けることを決断し、発覚から3日目でのスピード決着となった。前原氏の外相在任は昨年9月からの約半年だった。

 09年9月に発足した民主党政権での閣僚辞任・罷免は5人目、昨年6月発足の菅政権では3人目。【西田進一郎、高山祐】

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