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脱原発ブログで訴え、いしだ壱成さんに聞く

2011年05月04日

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 俳優でミュージシャンのいしだ壱成さん(36)が3月4日付のブログ「Arrivals」で、「いま一度、改めて原子力発電所について書いてみようと思う」と記した。子供のころ、高松市丸の内の四国電力本店の前であった伊方原発(愛媛県伊方町)をめぐる抗議活動に参加した経験などを振り返る内容だ。東日本大震災1週間前の「脱原発」の訴えは、ネット上などで話題を呼んでいる。

 ブログの題は「今だからみんなで考えたいこと。」。チェルノブイリの事故を受けて各地から集まった人々が1988年、伊方での四電の出力調整実験に対し、座り込みなどの抗議をした。途中、警察当局ともみ合いになった。実験開始の時刻には地面に伏せて実験の無事を祈ったという。いしださんは母親とともに参加し原発に関心を持つようになった。

 4日付のブログでは「なんで、あんな殴り合いまでしてつくらなければならないのだ」「その都度、アクションを起こして皆で考えていくことで、何が必要で何が必要じゃないのかということもおのずとわかってくるのでは」などとつづった。

 震災をはさんで、ブログを見た人のメッセージは700件を超える。

 ▽愛媛にいる私は伊方が身近にありながら福島原発事故が起きるまではあまり自分には関係ないと思って過ごしていました。早く収束して福島県民に笑顔が戻りますように…祈ります。

 ▽被災地のものです。すごい揺れでした……。そして微量の放射能が検出されています。(中略)。原発、地震対策について考え直してほしいです。

 ▽私の住んでいるのは福島県でも会津地方なので重大な被害にならずに済みましたが、原発に近いところの方々は避難されています。(中略)。日本の原発は安心でエコなエネルギーだときいていたのでこれほどこわいものとは知らずに生きてきた自分が恥ずかしいです。

    ◇ ◇ ◇

 いしださんは先月末、朝日新聞の電話のインタビューに応じた。主な内容は次の通り。

 ――伊方原発を取り上げた経緯は?

 直接のきっかけは、2月に中国電力の上関原発(山口県上関町)を巡り、反対住民と中電側がもみ合いになりけが人が出たことです。伊方の抗議行動と同じような衝突が残念ながら起きました。

 衝突体験があるからこそ伝えられることもあります。様々な人に知ってもらいたいと思ってブログに記しました。ツイッターやメールなどで草の根的に広まってほしいとの思いもありました。

 ――震災の発生はその1週間後でした

 原発に関心を持つようになってから、地震が起きると真っ先に震源近くに原発が何基あるかと考えるようになりました。3月11日は東京にいて、「東北」「福島」と聞いて寒けがしました。このような事故が起きないため、僕たちはこれまで活動してきたつもりでしたから。

 僕はいたずらに不安をあおるつもりはありません。ですが一方で、被害を少なく見積もって「安心してください」というのもいかがなものでしょうか。

 これまで、反原発を言って、電力会社などといわば「敵味方」の関係になることもありました。けれどいまは敵味方ではありません。今回、様々な情報や臆測が飛び交いました。事故当初は、原子炉の状況や放射能の値など、出来る限り正確な情報を公開してほしいと思いました。

 ――原発の将来をどうみますか?

 福島原発事故の収束には本当に長い時間がかかります。風向きに注意し、体内被曝(ひ・ばく)を少しでも防ぐためマスクをし、外気に触れた上着のまま家に入らないなどの対応をおすすめします。放射性物質は洗い落とせるので、僕も帰宅後はまずシャワーを浴びるようにしています。

 長い目で見て、脱原発を進めていければと考えます。地中熱を利用した発電や、例えば四国なら太平洋側の強い洋上風を利用した発電など新しいエネルギーが注目されます。

 今回、子供らの代にも続く被害を出してしまいました。先を見据え、その時の状況に応じた正確な提案、決断をしていけるよう、僕も発信を続けていきたいと思います。

(聞き手・林亜季)

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