2011年3月5日 10時52分
【カイロ大前仁】北アフリカのリビアで4日、最高指導者カダフィ大佐を支持する政府軍は、反政府勢力が拠点とする東部ベンガジ郊外を空爆した。中東の衛星放送アルジャジーラによると、空爆で少なくとも12人が死亡した。一方で反政府勢力は東部の港湾都市ラスラヌフの支配権を奪還したと主張するなど各地で一進一退の武力衝突が激化している。
東部最大都市ベンガジは、反政府勢力が2月20日までに制圧したが、政府軍の空爆が同市郊外にまで迫ったのは初めて。弾薬庫が破壊された模様で、AP通信は地元病院の情報として、死者は17人に上ると伝えた。
ロイター通信によると、リビア東部で結成された反政府勢力の政治組織「国民評議会」で中核を担うアブドルジャリル前法相は4日、東部アルベイダで演説し「生きるか死ぬか。全土を解放するまで戦い続ける」と徹底抗戦を呼び掛けた。
一方、政府軍はこの日、反政府勢力が支配する西部の港湾都市アズザウィーヤを包囲し、戦車やマシンガンで砲撃。応戦した反政府勢力との間で激しい銃撃戦となった。ロイター通信は住民の証言として、政府軍兵士はほとんどが外国人の雇い兵だったと伝えた。この交戦で死亡が確認された30人の中には、反政府側へ寝返った元政府軍大佐も含まれるという。
AP通信によると、アズザウィーヤ攻防を巡り、リビア国営テレビは政府軍が奪還したと伝えた。ただ、住民は依然として、反政府側による支配が続いていると主張している。
主要な石油積み出し港がある東部ラスラヌフでは、反政府勢力が大規模な攻撃を仕掛け、空港施設を占拠した模様だ。4日は首都トリポリでもイスラム教の金曜礼拝に集まった市民約400人がデモを起こし、政府軍が催涙ガスや実弾を発砲。アルジャジーラによると、約100人が拘束されたという。