ドル全面安の地合い続く、米雇用統計は弱めの予想=今週の外為市場
[東京 2日 ロイター] 今週の外国為替市場では、欧州中央銀行(ECB)の理事会と4月の米雇用統計に関心が集まっている。米雇用統計では弱い数字を予想する市場関係者が多く、原油や金など商品相場の騰勢が続くなか、ドル全面安の地合いが引き継がれそうだ。
予想レンジはドル/円が80.00─83.50円、ユーロ/ドルが1.4600ドル―1.5200ドル。
ロイター調査では、4月の非農業部門雇用者数の予想中央値は19.3万人増、レンジは11.8万人増―23.5万人増だった。3月は予想を上回る21.6万人だった。失業率の予想中央値は8.8で前回と変わらず。
<FRBの政策にほころび>
「バーナンキ議長はQE2(量的緩和第2弾)の終了宣言をしたが、本当にそれで良かったのかと市場は感じている。ただ、(国債買い入れ)残高は維持するとのことで、出口は依然遠い。来週は、GDPや雇用統計の弱さを織り込んで、ドル全面安の進み具合を試す展開になるだろう」と三井住友銀行、市場営業推進部チーフストラテジストの宇野大介氏は言う。
「FOMCを経て、米国では当面金融引き締めがないとの認識が再確認された。株高、商品高を背景に、資源国通貨高、ユーロ高が続くだろう。一方、ドル・ショートがかなり積み上がってきたので、一時的な調整で、ドルが買い戻される場面もありそうだ」とバークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は言う。
米連邦準備理事会(FRB)が27日に公表した2011年の経済予測では、実質GDPが3.1―3.3%と1月時点の予想3.4―3.9%から下方修正された。他方、失業率は8.4―8.7%と、1月時点の予想8.8―9.0%から下方修正されている。
「GDP縮小と雇用市場の改善を同時に予想したことや、実体経済に比べ株高が行き過ぎているとの認識を持ちながらも、資産効果による消費回復期待から量的緩和を続けざるを得ないことなど、FRBの政策は次第にほころびが目立ちはじめている」と宇野氏は指摘する。
ロイターが27日、米連邦公開市場委員会(FOMC)を受け米プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)を対象に実施した調査によると、インフレ上昇の兆候にもかかわらず、米連邦準備理事会(FRB)は今年いっぱい現行の実質ゼロ金利を維持するとの見方が大勢だった。
FRBは2011年経済予測で、個人消費支出(PCE)価格指数を1月予想時点の1.3―1.7%から2.1―2.8%と大幅に上方修正した。
バーナンキ議長はFOMC終了後の会見で原油価格の上昇がインフレ加速をもたらしているとの認識を示したものの、そのような圧力は一時的なものとの見方を示した。
<ユーロ>
5月5日に予定されるECB理事会では政策金利の据え置きが見込まれているが、為替市場ではECBが年内に2度の追加利上げを行うとの観測も浮上しており、引き続き、商品相場高と相まってユーロ支援材料となりそうだ。
「原油がトレンドとして下がる事はないだろう。原油高はインフレリスクを高め、原油高の影響が反映される総合物価を重視するECBのタカ派的スタンスを際立たせるだろう」とバークレイズ銀行の山本氏は言う。
また、「原油高は産油国の外貨収入を膨らませ、ユーロへの分散投資も活発化する」と同氏は述べ、原油の騰勢が続く限りはユーロ買いが誘発されやすいとの見方を示した。
ECBのゴンサレスパラモ専務理事は26日、ユーロ圏の政策金利は依然として非常に緩和的な水準にあると指摘し、低金利政策の終了を想定すべき、との考えを明らかにした。
同専務理事は、ECBが今月、主要政策金利であるリファイナンス金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げて1.25%としたことについては、一連の利上げの開始を意味するわけではないとし、金利は毎月、その時点のデータを踏まえて決めると述べた。 同専務理事はまた、ECBはユーロ圏17カ国それぞれが抱える事情により利上げを見送ることはできず、ユーロ圏全体の平均に政策を合わせる必要があったとの考えを示した。
(ロイター 森佳子記者)
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