フィニッシュのハイフライフローを決めてライバル・中邑真輔にフォール勝ちした棚橋弘至=福岡国際センターで
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◇新日本プロレス レスリングどんたく
棚橋弘至(34)がIWGPヘビー級王座3度目の防衛に成功した。ライバル中邑真輔(31)の挑戦を受け、ハイフライフロー(ダイビング・ボディープレス)でフォール勝ち。今月の米国遠征に王者として参加することが確定した。
「新日本のエースではない。きょうから象徴です」。勝った棚橋の言葉には自信が宿っていた。闘うたびに「エースの座決定戦」といわれる同世代ライバル・中邑との対戦。過去3勝6敗1引き分けと大きく引き離されていたが、1年半ぶりの決戦では、大きな差を見せつけた。
柔術スタイルの寝技とキックを多用し、闘いの求道者を志向する中邑に対し、棚橋はこの1年半の間、いかに急所を外して相手の攻撃を受け、豪快な大技を仕掛けるかをテーマにしてきた。ファンの反応を気にし過ぎるあまり、男性の観客からブーイングを浴びたこともあった。だが、今ではどんなタイプの相手ともファンをわかせる試合のできる「名勝負製造機」になった。
この日の中邑戦では、オリジナルの膝蹴り「ボマイェ」をどう封じるかが最大のポイント。試合開始当初こそ何発か脇腹に浴びてもん絶したが強引に受け止め、そのままドラゴンスクリューで逆に膝を破壊。そこからはペースを譲らなかった。
中邑戦11戦目で最も危なげない“快勝”に、棚橋は「ボマイェを封じるのは定石。おれの作戦勝ち。中邑は一度、どん底まで落ちた方がいいんじゃないか」と、完全に上から目線。この勢いが止まらなければ、誰もが“象徴”と認める存在になる。 (大西洋和)
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