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戻った笑顔ひと安心 大型連休後半、東北の観光地にぎわう
 | 松島湾を周遊する遊覧船に乗り込み、ウミネコに餌をやる家族連れ=3日午前10時40分ごろ |
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大型連休後半に入った3日、東北の主な観光地はにぎわいを取り戻した。東日本大震災から50日余り。一時は宿泊キャンセルが相次ぐなど打撃を受けたが、滞在客のあふれる笑顔に観光関係者はひと安心。それでも福島第1原発事故による風評被害は消えず、客足が十分に戻らない地域も多い。「観光立国・東北」の完全復活まで、険しい道のりが続く。
日本三景の一つ「松島」を抱える宮城県松島町。4月29日に運航を再開した松島湾遊覧観光船には3日、大勢の家族連れが乗船した。 「乗船客は平年の約8割ほどに回復してきた」と松島島巡り観光船企業組合。復旧工事に携わる東京都の会社員高橋誠さん(52)は家族と乗船し、「美しい松島のように宮城全体がかつての景色を取り戻してほしい」と話した。 マリンピア松島水族館にも同日、3000人超が来館。水族館は「ほぼ平年並みに近づいている」と安心した。 つなぎ温泉など盛岡市周辺の温泉地も4月29日のJR東北新幹線の全線復旧に伴い、連休直前に予約が殺到。岩手県雫石町の鶯宿温泉観光協会は「首都圏の飛び込み客があり連休中は予約で9割が埋まった」と語る。 同町の小岩井農場も連休中の小学生以下の入園料を無料にした効果もあり、「家族連れでにぎわっている」と言う。 福島県内の観光地は、原発事故による風評被害が影を落とした。 会津若松市の若松城は3日、周囲の公園の来場者が1万人超で例年並み。市観光公社は「関東ナンバーなどの車が目立つようになった」と喜んだが、猪苗代町の野口英世記念館の今月1日の入場者は約800人で、例年の連休平均の約4分の1にとどまった。 潮干狩りで知られる相馬市の松川浦は、周辺の住宅や道路は大津波でがれきと化した。アサリの稚貝も全滅した可能性が高く、地元漁協は「来年の再開も厳しいのではないか」と苦渋の表情だ。 客足が戻った地域も完全復活は遠い。「全体の人出は例年の2割程度」と松島町の松島観光協会。宮城県内の各温泉地も「連休後の予約は週末でも空きが目立つ」と嘆き、2次避難住民が身を寄せる福島市の飯坂温泉の観光協会は「一般客受け入れの見通しは立たない」と不安視する。 新潟を含む東北7県の官民でつくる東北観光推進機構は「旅行会社に『東北復興関連商品』の企画・販売を要請している。夏場に向け、明るい材料をつくっていきたい」と話している。
2011年05月04日水曜日
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