2011年5月3日10時48分
小沢氏の倒閣シナリオが失速し、自民党内には「内閣不信任案は通らない」との見方が広がった。大型連休明けに不信任案を提出して一挙に倒閣に突き進むという党内の一部で練られていた構想は、急速にしぼみつつある。
そもそも自民党内には震災復旧や原発事故の収束にメドがたたないうちに権力闘争を仕掛けることへの慎重論も強い。党幹部は「いまは政局より復旧」と語り、早期の内閣不信任案や首相問責決議案の提出は難しいとの考えだ。
このため党執行部は、6月22日の今国会会期末に向けて両案提出のタイミングを探る考えだが、菅内閣を解散か総辞職へ追い詰めることは難しい。「意外とこの政権は続く」(幹部)とあきらめにも似た空気も漂い始めている。谷垣禎一総裁は2日、記者団に内閣不信任案の提出について「連休中に思いを巡らせたい」と明言を避けた。
頼みの公明党も早期の解散・総選挙に慎重だ。山口那津男代表は2日の街頭演説で「一票の格差」が問題視されている衆院選挙制度に触れ、「衆参両院の任期は2年あまりある。違憲状態の制度ではなく、新しい選挙制度で次の選挙を迎えるよう努力をする」と述べた。新制度づくりには時間がかかるのは必至で、山口氏の発言は当面の「解散反対宣言」といっていい。
自民党内では「任期満了の総選挙で菅首相と戦えばいい」(幹事長経験者)とし、震災復興下で無理に倒閣に走る必要はないとの声も上がり始めた。
当面は通常国会の延長を求め、2次補正や特例公債法案への協力と引き換えに子ども手当などの民主党の看板政策の撤回や大幅修正を迫って存在感を示す戦略を探ることになりそうだ。