避難所で子どもたちにテレビゲームを使ってゴルフレッスンをする石川遼=埼玉県三郷市の瑞沼市民センターで(北村彰撮影)
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今季獲得賞金全額を東日本大震災被災者に寄付すると表明している石川遼(19)=パナソニック=が、被災者へ“ネバーギブアップ”を誓った。2日、埼玉県三郷市の避難所を訪れ、原発事故で福島県から避難している206人を激励。ゴルフゲームや絵本などで子どもたちと触れ合った。当初は慰問が迷惑になるのではという不安もあったが、熱烈な歓迎と元気に暮らす姿に感激。復興へ長い戦いが待つ被災者へ、遼自身も「諦めないプレー」を胸に刻んだ。
明るい笑顔に驚いた。段ボールや毛布が埋め尽くす体育館内。だが、遼が姿を現すと、喜々とした歓声が上がった。「想像していたよりパワフルでビックリ。僕が元気をもらいました」。イメージとは違う元気な姿。福島県民の“底力”に19歳も笑顔を広げた。
ハードな日程の中を駆けつけた。ツアー真っ最中だが、今週はちょうど試合がないオープンウイーク。加えて、日帰り可能な埼玉県内に福島県広野町の人たちが避難していると聞き、訪問を決めた。前日は中日クラウンズ後に名古屋を出たが、渋滞のため自宅到着は深夜0時すぎ。それでも、疲れも見せずに子どもに絵本を読み聞かせ、ゴルフのテレビゲームもプレー。約1時間半にわたって206人と触れ合った。
当初は「避難所はプライベートな空間。お邪魔するのはどうか」という悩みもあったが、避難所の新妻有貴さん(24)は「来てくれると場が明るくなる。うれしい」と大歓迎。遼自身も「逆に頑張って、と言われた。まさかここで頑張っての声が聞けるとは」とほおを緩ませた。
大震災発生以来、「日本人として現状を知りたい」と思い続けてきた。実際に訪れ、「絆を感じた。そこが日本人のすごいところ」。具体的なプランは未定だが、被災地への支援は今後も続行。遼自身も、ゴルフへの気持ちを新たにする。
「これで支援は終わりじゃない。これは大きな一歩。僕もプロゴルファーとして決して諦めないプレーを極めたい」。復興への長い道のりは始まったばかり。決して諦めない人たちとともに、コースでも戦い続ける。 (寺西雅広)
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