韓国の外交官、象牙持ち込み摘発

コートジボワール大使、帰任の際に16本の象牙を持ち込む

取引価格は1億ウォン以上

 今年2月に帰任した前コートジボワール大使が、国際取引が禁じられている象牙16本を韓国に持ち込もうとした容疑で取り調べを受けている。

 外交通商部(省に相当)は2日、関税庁から「先月コートジボワール大使としての任期を終えて帰国したP前大使の荷物から、16本の象牙が発見された」との連絡があったことを発表した。関税庁は「在外公館長だった人物の荷物に象牙が入っている」との情報を電話で入手し、先月28日に仁川港に到着した問題の荷物を詳しく調べたという。

 摘発された象牙は、加工されていないほぼ現物そのままの状態で、長さ30センチから50センチのものが10本、60センチのものが6本。重さは計60キロに達していたという。関税庁の関係者は「象牙は国際取引が禁じられているため、時価は推定できない」と述べた。摘発された象牙が全て売却された場合、取引価格は1億ウォン(約761万円)を上回るとの見方もある。

 現職の大使が帰任の際、国際取引が禁じられた品物を持ち込もうとして摘発されたのは前代未聞のこと。

 外交通商部の周辺では「北朝鮮外交官でもなく、韓国の外交官が象牙を大量に持ち込もうとして摘発されたという事実は、国際的に面目丸つぶれだ」との声まで出ている。

 装飾品や印章の素材などに使われる象牙は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」に基づき、1989年から取引が全面的に禁止されている。

 問題となったP前大使は、2008年5月から今年2月までコートジボワールに駐在していたが、異動を命じられ、2月半ばに帰国していた。

 コートジボワールでは昨年11月末から、バグボ前大統領が大統領選に敗れた選挙結果を受け入れず居座っているため、今も内戦が続いている。P前大使が帰国したのはちょうど内戦が激しくなり始めた時期だ。

 P前大使は外交通商部に「妻が隣に住んでいた現地の政府高官夫人と親しくなり、高麗人参茶やキムチなどをよく届けていたが、相手はその感謝のつもりで象牙をプレゼントしてくれた」「韓国に持ち込むつもりはなかったが、引越の作業をしていた現地の作業員が、官邸の倉庫にあった象牙を荷物の中に入れてしまったようだ」と説明している。

 妻も当時はマラリアにかかっていたため、荷物のリスト作成や荷造りの様子を自ら確認できず、このような問題が発生したと説明しているという。P前大使は関税庁から連絡を受けた後、初めて妻から事情を聞いたという。

 コートジボワールはかつて「象牙海岸」とも呼ばれ、象牙貿易の中心として有名だった。現在も比較的容易に象牙を手に入れることができるという。

 象牙の取引が禁じられてからは、密貿易の価格が大きく高騰し、北朝鮮の外交官らが外貨稼ぎのためアフリカから象牙を密輸して摘発されることがある。一部では、P前大使は知人へのプレゼント用に象牙を持ち込もうとしたのではないかとささやかれている。

 外交通商部は昨年以降、コネ採用問題や上海総領事館スキャンダルなどで騒ぎが絶えない状況が続いている。

 外交通商部の金星煥(キム・ソンファン)長官はこの日のうちに報告を受け、関税庁の調査結果が出れば速やかに厳重な処罰を行うよう指示した。

写真提供=関税庁

金真明(キム・ジンミョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る