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ビンラディン容疑者殺害 国際法上の問題、指摘する声も

2011年5月2日23時54分

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 米国によるオサマ・ビンラディン容疑者の殺害は国際法上、認められるのか。戦場での軍事作戦としての殺害だったと考えれば、戦争行為の一環として認められる可能性がある。しかし、国家による個人を狙った「暗殺」と解釈することもでき、米国の行為には疑問の声もある。

 米国にとっては、自国の主権が及ばないパキスタンでの殺害だが、パキスタン当局の協力の下で作戦を実行したと主張している。

 しかし、標的が戦闘員にあたる人物で、戦争行為の一環として戦場で殺害されたと言えるのかは意見が分かれる。ベルギー・ルーバンカトリック大学のピエール・ダルジョン教授は、この点について「本来は生きて拘束されるべきだった。国際法上、認められる殺害だったかどうかは微妙だ」と語る。

 オランダ・アムステルダム大学のジャン・ダスプレモン准教授も「米側の行動がすべて国際人道法上の手続きにのっとったものだったのかどうか、今後、検証が必要だ」と指摘する。

 国連の旧ユーゴスラビア戦犯法廷で判事を務めた法政大学の多谷千香子教授は、明らかに問題があるとする。「米国にとって危険人物なら、誰でも殺して良いことになってしまう」

 仮にビンラディン容疑者が拘束されたとしても、人道上の重大犯罪について個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)での審理は難しかった。米国が、政治利用の懸念を理由にICC条約に加わっていないためだ。

 米国はキューバ・グアンタナモ米軍基地に設けた特別軍事法廷で裁く選択肢もあったが、同法廷自体をめぐって政治的に議論が分かれる中、そうした手続きも省略した。国際社会は「9・11」の黒幕から証言を得る機会を永久に失った。(ブリュッセル=野島淳)

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