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「震災と憲法」考える 憲法記念日、各地で集会

2011年5月3日21時19分

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 憲法記念日の3日、各地で憲法関連の集会があった。東日本大震災という、施行以来の大災害は、集会の内容や参加者たちの考え方にも大きく影響した。

 東京都千代田区で開かれた「施行64周年憲法記念日集会」(「フォーラム平和・人権・環境」主催)に参加した、静岡市清水区の看護師三森睦代さん(51)は福島の原発事故を機に「私たちは本当に憲法に守られているのか」と考えるようになった。

 憲法は生存権を保障しているのに、福島の人たちの故郷は「政策として原発を造った国によって奪われた」ように見える。静岡県にも原発があり、ひとごとではない。「平和憲法の大筋は守らなければいけないけれど、細かい部分は時代に合わせて、変えないといけないかな」という。

 同じ集会に出席していた埼玉県上尾市の団体職員安田聡さん(56)は「憲法を変えても問題は解決しない。むしろ現実の問題に即して、憲法の理念を実現していくべきだ」という。「震災のどさくさに紛れて『国難だから』と改憲しようとするのはおかしい。こういう時こそ、憲法の理念って何だろうかと皆が考えたらいい」

 千代田区では、改憲を目指す「民間憲法臨調」も「領土・大震災の視点から」とのタイトルで集会を開いた。

 参加者の一人で大学3年の山口晃平さん(21)は大震災の救援を見ていて、自衛隊が憲法に明記されていないことの問題を感じた。「9条を改正して自衛隊を国防軍とすれば、災害でも活動しやすい。役割を明確にしていれば東日本大震災でも初動が早まり、被災地支援のスピードも上がったと思う」という。大学院生の田上雄大さん(23)も「自衛隊員に誇りを持ってもらうためにも、存在意義や合憲性を憲法にちゃんと書くべきだ」と話す。

 参加していた会社員の男性(62)も「緊急事態に国としてどう対処するのか、憲法に書かれていない。有事を想定していないから、政府内に対策本部が乱立するような場当たり的対応になってしまった」と改憲の必要性を訴えた。(秋山千佳、岩波精)

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