千葉・浦安市など東京湾沿いに広がる三番瀬で、潮が引いて現れるはずの干潟が消える
ゴールデンウイークでにぎわうはずの潮干狩り場に異変が起きている。液状化の被害を受けた千葉・浦安市で、潮が引いて現れるはずの干潟が姿を消してしまった。
例年、ゴールデンウイークには、たくさんの潮干狩り客の訪れる人気スポット、東京湾の三番瀬。
しかし、船橋市側にある「ふなばし三番瀬海浜公園」では、震災による液状化の被害で、2011年度の潮干狩りは全日程中止となった。
その対岸では、市民を仰天させる、ある異変が起きていた。
地元の住人は「びっくりしたんですよ、もっとね、大潮だから引いてると思ったんですけど...」と話した。
千葉・浦安市の細長い浜辺に沿うようにして、潮干狩りをする人々。
一見すると普通の風景だが、午前10時、大潮の干潮の時間帯に入っても、本来なら出現するはずの大きな干潟が現れない。
本来なら、大潮で干潮の時間帯になれば干潟が出現するが、2日は干潟にならなかった。
千葉県の習志野市から浦安市にかけて、東京湾沿いで、およそ1,800haにわたって広がる三番瀬。
浦安市側から以前撮影された写真を見ると、岸から数十メートル先まで歩いていけるほど、広い干潟が出現していた。
しかし、地元の住人は「(干潟が)5〜6メートルだものね。あそこでやってる(貝を採っている)人たちいるでしょ。あのへんまで100メートルくらい引いてたの、ずっと」と話した。
中には、胴長を着て、貝を採るため腰まで水につかる人もいた。
しかし、ほとんど貝の姿がなく、出てくるのは抜け殻となった貝殻ばかり。
地元の住人は「去年は、いっぱいいたんですけどね」と話した。
貝は採れず、そもそも干潟は、なぜ消えてしまったのか。
地元の住人は「(原因は?)やっぱり地震でしょ。それしかないんじゃないの」と話した。
海岸からすぐ上の陸地に上がると、そこには地震のつめ跡が無残に残されていた。
幾筋もの地割れが残っていて、海沿いの遊歩道との間には、大きな陥没した部分が、今もなお残されている。
アスファルトは大きく湾曲し、いたるところに液状化現象で噴出したとみられる砂の跡があった。
干潟の消えた海岸のすぐそばでは、海側へ引っ張られるようにせり出している護岸が各地で見られた。
液状化によって大きな被害を受けた浦安市。
干潟が消えたこととの関係について、明治大学の中林一樹特任教授は「干潟というのは、水をかぶっている時間の方が圧倒的に長いので、そこで液状化現象は考えられない。潮流が変わって砂が流されたか、全体的に地盤が沈下したか」と話した。
千葉県では、実態は確認しているというが、原因については、今後の調査が必要だとしている。
(05/03 17:56)