米軍がビンラディンを殺害！射殺→ＤＮＡ鑑定→水葬…電撃作戦４０分で完了

　米国のオバマ大統領は１日夜、２００１年９月１１日の米中枢同時テロを首謀した国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン（５４）を、米東部時間１日に殺害したと発表した。米軍などがパキスタンの首都イスラマバード郊外の「隠れ家」を急襲。わずか４０分間の電撃作戦で、銃撃戦の末に殺害した。回収された遺体は、身元確認の後、海に「水葬」された。“米国の最大の敵”は殺害されたが、イスラム武装勢力は早くも報復攻撃を宣言。新たなテロの恐れも出てきた。

　炎が立ち上り、複数回の爆発が起きた。衝撃で周辺の家の窓が割れる。２日午前１時１５分ごろ、小規模の米海軍特殊部隊ＳＥＡＬＳを中心とする決行隊の４機のヘリが、ビンラディンの隠れ家を急襲。ボディーガードは屋根から銃で応戦した。地元パキスタンの報道によると、激しい銃撃音に周辺住民はパニックになり、現場は立ち入り禁止として封鎖された。

　「９・１１」など数々のテロを首謀してきた男は、頭部に銃弾を受け、最期を迎えた。ヘリのうち１機は銃撃音の後、墜落したが、米軍側には１人の負傷者もいなかった。米国が１０年近くかけ追跡し、ついに決行された作戦は、わずか４０分間で完了した。

　事後処理も電撃的だった。遺体を収容し、ＤＮＡ鑑定で身元を確認。米政府高官によると、埋葬すると遺体を奪回される可能性もあるため、アラビア海北部に展開していた米空母上で、イスラム教にのっとった葬儀を行い、水葬した。

　現場は、イスラマバードの北６０キロにある街アボタバードにあった隠れ家。作戦は３月に立案された。ビンラディンを直接支援していた側近の兄弟２人を突き止めたことが、捜索活動の転機だった。米中央情報局（ＣＩＡ）が、兄弟の１人が容疑者と同居しているとの情報を入手。４年前に本名や活動地域を特定し、昨年８月、隠れ家を発見。オバマ大統領は４月２９日に作戦実行を許可した。

　隠れ家は３階建てで、約１００万ドル（約８１５０万円）をかけ０５年に建設されたという。鉄条網付きの３・６〜５・５メートルの壁に包囲され、入り口は二重扉。ごみを回収させずに自家焼却したり、ビンラディンの一番若い妻ら家族とみられる人物も出入りしていたことから、隠れ家と断定された。側近の兄弟２人、女性１人が死亡。ビンラディンの息子も死亡した。同容疑者がいつから隠れ家に潜伏していたかは、不明とされる。

　０４年１０月２９日に「９・１１」の犯行を初めて認めたビンラディンだが、本人とされる映像は、０７年放送を最後に消え、音声声明公表も、近年は減少していた。最近では昨年１０月、対フランスへの攻撃を示唆している。アフガニスタン山岳部の洞窟に潜伏中との説が浮上したこともあった。

　ビンラディンを葬り去るというブッシュ政権以来の米国の“悲願”は果たされた。オバマ大統領は「正義が行われた」と胸を張った。だが、イスラム教では土葬が一般的で、水葬という扱いへの反発も予想される。報復テロを示唆する声明も出ており、予断を許さない状況が続くことになりそうだ。