細野豪志首相補佐官は2日の記者会見で、東京電力福島第1原発の格納容器を守るために実施した「ベント」で放出する際の放射性物質の拡散状況など、今回の事故に関連した約5000枚のシミュレーション結果を公開する方針を明らかにした。細野氏は先月25日の会見ですべて公開すると述べたが、今月1日夜、文部科学省から細野氏に大量の未公表の結果があることが報告されたという。
細野氏は「市民に不安を与え、パニックが起きるのを恐れた。公表が遅れたことをおわびする」と謝罪した。近く内閣府原子力安全委員会などのホームページで公開する。
ベントは、格納容器の爆発を防ぐため、弁を開放して水蒸気を逃がし圧力を下げる作業。東日本大震災が発生した翌日の3月12日に実施された。シミュレーションは、文科省が開発した「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)で実施。未公表分にはベント以外にも、原子炉内の放射性物質が全量放出された場合の結果などが含まれる。文科省は「(試算の前提が)確実ではなかった」と釈明した。【河内敏康】
毎日新聞 2011年5月2日 20時42分(最終更新 5月3日 0時01分)