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イノシシ娘、広島を暴走の末
2011年05月03日
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天満川を渡るイノシシ=広島海上保安部提供 |
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広島市中区に2日、突如イノシシが出没し、男女6人が負傷した。現場は住宅街で、これまで特にイノシシの目撃情報もなかった。「なぜ、こんなところに」。住民らに驚きが広がった。
イノシシは2日午前11時過ぎ、中区江波地区に現れた。「あっという間の出来事。怖いと思うひまもなかった」。江波西1丁目のスーパー付近で襲われ、負傷した女性は振り返った。自転車に乗っていた時、後ろから突然衝撃を感じた。転倒した女性に顔を何度も押しつけ、両足首の付け根をかむなどしたという。
江波本町の自転車店のパート女性(44)は、店の前を走るイノシシを目撃。自転車の女性に向かっていくのが見えたため、「危ない。逃げて」と叫んだが、間に合わなかったという。
江波栄町の郵便局前でも、イノシシは局を出た女性に襲いかかろうとした後、自転車を数台倒した。大浦史郎局長は「黒っぽくて牙をむいていた」。
市職員らに追われたイノシシは、川を渡って西区に入るなど逃げ回り、午後1時半ごろから中区江波沖町の護岸でうずくまった。午後3時半ごろ、広島湾を数十メートル泳ぎだしたところ、船で待ち受けていた西区の猟友会員らに約1・5メートルのやりで仕留められた。(柴田秀並、清宮涼)
イノシシ出没で、中区役所は対応に追われた。広島市内では昨年度、安佐北、安芸、佐伯の各区でイノシシの人的被害が4件あり、9人がけがをしている。市は県猟友会との間で目撃情報があれば駆除に出動してもらう契約を結んでいるが、市街地が大半を占める中、南区は対象外だった。
イノシシはどこから現れたのか。中区の担当者は「似島(にの・しま)(南区)から泳いできたのかも」と推測する。
似島は、中区江波地区から南に約3キロ。南区役所によると、島内では今年1月に初めて「イノシシを見た」との通報があり、2月までに数件の目撃情報が寄せられた。成獣と子どもが両方いた可能性が高い。
同区は、オリで捕らえる準備として、島の数カ所にえさをまいたが食べた形跡はなく、目撃情報も3月から絶えていたという。(山下奈緒子)
イノシシの移動経路
1.午前11時40分ごろ、江波本町の路上で自転車の女性(77)を転倒させる。
2.江波西1丁目のスーパー駐車場で、男児(1)と母親(28)、女性(59)がかまれるなどしてけが。
3.舟入南4丁目の路上で自転車の女性(57)にぶつかる。
4.正午ごろ、江波西1丁目の路上で男性警察官(41)が左手をかまれる。
5。午後3時半ごろ、江波沖町の沖から約50メートルの海上で、やりで刺され死亡。
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