日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


  1. 芸能
  2. ニュース

芸能のRSS

スーちゃん「負けてしまうかも」悲しい肉声

遺体を乗せた車が通ると、ブルーのテープがファンから投げ入れられた
遺体を乗せた車が通ると、ブルーのテープがファンから投げ入れられた

 21日に乳がんで亡くなった元キャンディーズで女優の田中好子さん(享年55)の葬儀・告別式が25日、東京・青山葬儀所で営まれた。約2200人が参列した葬儀後、3月29日に録音された田中さんの肉声が流れた。天国から東日本大震災被災者を支援していくこと、義妹夏目雅子さん(享年27)のように社会貢献を続け、「復活する」ことを約束した遺言だった。元キャンディーズのメンバーで親友だった伊藤蘭(56)、藤村(現・尾身)美樹さん(55)には「大好きでした」とメッセージを残した。

 田中さんの遺言は、映画の1シーンのように披露された。夫の小達一雄さん(56)は喪主あいさつで、天国の田中さんに呼び掛けた。「人生の第1章は幕を下ろしましたが、第2章は今日、スタートさせてあげたいと思います。好子さん、行きますよ」。

 手には映画の撮影開始合図に用いるカチンコがあった。記されていた文字は「田中好子 第2章 シーン1 テイク1」。小達さんが「よーい、スタート!」と声を上げ、カチンコを鳴らすと、田中さんの肉声が流れ始めた。

 「こんにちは。田中好子です」。

 場内にざわめきが起こった。録音されたのは、約1カ月前の先月29日。かすれるような弱々しい声だった。口調はゆっくりで、たどたどしくも聞こえた。本来のはつらつとした透明感あふれる美声との乖離(かいり)…。参列者の目から涙があふれた。

 「一生懸命、病気と闘ってきましたが、もしかすると負けてしまうかもしれません」。田中さんは、死期が近いと実感しながらも、東日本大震災に心を痛めていた。そして死後もいかに社会へ貢献していくかを考えていた。「必ず、天国で被災された方のお役に立ちたいと思います。それが私の務めだと思います。(中略)いつの日か、妹夏目雅子のように、支えて下さった皆さまに、社会に少しでも恩返しができるように、復活したいと思っています」。ただ、「カズさん、よろしくね」と夫に遺志を託した時だけは、念押しするかのように強い調子の声に変わった。

 親友で義妹の夏目雅子さんは、85年に急性骨髄性白血病で死去した。その後、夏目さんの遺産を基に、がん患者にかつらを無償で貸し出す組織「夏目雅子ひまわり基金」が設立された。社会福祉活動に熱心だった田中さんだが、夏目さんのように死後も社会貢献を続けたい。その思いがメッセージに込められていた。

 55歳。長い人生とは言えないが、「幸せな、幸せな人生でした」と振り返った。「特にランさん、ミキさん、ありがとう。2人が大好きでした」。家族同然のキャンディーズの2人にも言葉を残した。

 近親者だけの最後の別れは約1時間にも及んだ。途中、別れを惜しむ涙のような雨が降った後、空はイメージカラーのように青く晴れ渡った。出棺時に流れたのは、キャンディーズのデビュー曲「あなたに夢中」。大勢のファンも見守る中、田中さんはキャンディーズ、女優として生きた第1章の終わり、第2章の始まりを、肉声の遺言という異例の形で告げた。【近藤由美子】

 [2011年4月26日8時37分 紙面から]

キーワード:

キャンディーズ

このニュースには全0件の日記があります。









日刊スポーツの購読申し込みはこちら
釣り情報
釣果情報 再開しました。