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原発「聞きたくない」 「みる・きく・はなす」はいま(2/3ページ)

2011年5月3日12時0分

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図:  拡大  

図:原発建設予定地拡大原発建設予定地

 震災後、地域を二分してきた議論は消えた。

 3人の子育てをする畜産農家の松田香里さん(31)は悔やむ。家畜を置き去りにして避難を強いられる福島の被災者は他人事ではない。「子どもの未来のためにも意思を示したかった」

     ■

 「原発銀座」と呼ばれる福井県若狭地方の敦賀市。4月24日にあった市議選で4回目の当選を果たした今大地(こんだいじ)晴美さん(60)の気持ちはいまも晴れない。

 告示日の街頭演説で「福島の原発事故は他人事でありません」と口にすると、「耳の痛い話は聞きたくない」と聴衆が離れた。支持者の60代の女性に「ごめんなさい」と握手を拒まれた。「いまなら聞いてもらえる」と期待していたが、脱原発の主張をいったん封印。数日後、別の支持者に背中を押されて脱原発の持論を訴えたが得票を減らした。

     ■

 山口県上関町は、瀬戸内海西部にある。2018年の運転開始を目指す中国電力の原発建設をめぐり、推進派と反対派のせめぎ合いが約30年間続く。

 3月14日。2人の町議が町議会事務局を相次いで訪れ、2日後に予定していた質問の取り下げを伝えた。

 反対運動で1年3カ月中断した工事が、2月下旬に再開したばかり。座り込みなどの反対運動を工事を遅らせた「違法な妨害」と非難し、追及の矛先を向けようとした矢先だった。

 「いまそんな質問をすれば、かえって発電所建設のマイナスになる」。質問を取り下げた1人、西哲夫町議(63)は理由を説明した。

 原発推進を掲げる柏原重海町長(61)は言う。「いまは原子力に関するあらゆる議論をやめ、国民すべてが収束を願うことが人の道だ」

 推進派は沈黙し、原発をめぐる世論はどこかつかみどころがない。

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