【社説】合同参謀本部を引っかき回したスパイ
国家保安法違反の前科を持つ民主労働党員のキム容疑者(43)が、2005年3月に政府機関の電算プログラムを開発・管理する企業に入社し、今年3月まで6年間にわたり、韓国軍の機密資料や政府機関の電算資料を持ち出していた疑いで公安当局に摘発された。キム容疑者は合同参謀本部(合参)電算室に07年11回、08年4回と計15回立ち入り、また大田と光州にある政府電算統合センターには、それぞれ07年3回、10年5回と計8回立ち入っていた。キム容疑者が持ち出した資料には、合参の「合同指揮統制システム(KJCCS)提案要請書」や韓国政府の「第1政府統合電算センター第2段階構築提案書」など、主要な機密・情報類が多数含まれている。キム容疑者は02年2月、インターネットに「主体思想」というホームページを作り、利敵表現物を掲載した疑いで身柄を拘束され、同年12月に懲役1年、執行猶予2年の判決を受けた。
合参は「KJCCS提案要請書」そのものは機密ではなく、作戦司令部以上の部隊に戦場の状況をリアルタイムで提供するKJCCSは機密だが、キム容疑者がアクセスした可能性は低いと釈明した。キム容疑者が出入りしていた国防部(省に相当)新庁舎地下1階の合参電算室は、庁舎地下2階の指揮統制室にあるKJCCSとは連動しておらず、アクセスできないという。しかし、指揮統制室の入室許可証を持つ人物の案内を受ければ、秘密取扱の資格がない人物でもKJCCSにアクセスできるようになっている。国防部は、電算室に常時出入りする人物はもちろん、電算網の故障をはじめとする緊急の事故時に修理のため動員される人物についても綿密な身元照会を行い、身元がはっきりしない人物を排除し、国家機密が漏れないよう遮断措置を取らなければならない。しかし、国家安全保障の神経の中枢に当たる合参には、こうした認識すらなく、そのお粗末さには驚くばかりだ。
政府統合電算センターを運営する行政安全部もまた、電算センターの常駐維持保守要員約700人に関しては、警察庁による身元照会を経ることとしているが、キム容疑者のような緊急障害発生時に出入りする維持保守要員からは、誓約書すら受け取っていない。
先月発生した農協のネットワーク障害事件も、北朝鮮が行ったという暫定結論が出ている。韓国政府が「電子政府」を掲げてからもう何年もたつが、その間、国家保安法違反の前科がある人物が、制止されることなく国家の中核情報にアクセスしてきた。こんなことでは、どうして国民が、この国の国家安全保障を信用できるだろうか。
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