(コンテンツ提供:高齢者住宅新聞2011年4月15日号)
都のお泊りデイ運営基準は、実際の運営の現場にはどのような影響を与えることになるのだろうか。
現在都内で直営・フランチャイズ合計で約100ヵ所のお泊りデイを運営する日本介護福祉グループ(東京都墨田区)の斉藤正行副社長に話を聞いた。
ルール制定は業界健全化に
今回の都の動きについて率直な感想を。
斉藤 事業者のサービス品質の向上、業界の健全な発展に繋がることから、運営に際して基準を設けることは賛成です。
また、実際の基準の内容にしても、当社を含め現在運営している事業者の実情を反映したものになっていると思います。
宿泊室の1人あたり床面積7.43平米は確保出来ますか。
斉藤 当社のデイサービスでは、1日最大5人の宿泊を受け入れています。
デイサービスはリビング・機能訓練室で30平米を確保する必要がありますので、ここをパーテーションで仕切るなどすれば4人分は確保出来ます。
当社のデイサービスは、一般の民間を借り上げており、他の部屋もありますので、そこを用いれば残り1人分のスペースを確保することは難しいことではありません。
全ての事業所を確認したわけではありませんが、9割の事業所は現状のままで対応出来ると考えています。
消防設備等は。
斉藤 都内十数ヶ所の事業所で自動火災報知機が設置されていません。
設置をする場合は50万~60万円程度の出費になると思われます。
FC事業所の場合には、それぞれのキャッシュフローの問題もあり、すぐに対応できないところが出てくる可能性があります。
30日の利用制限については。
斉藤 今回、一番問題になる点だと思います。
当社の場合、現在都内の利用者のうち、約70~80人が長期利用に該当すると思われます。
その多くは、自宅で生活出来ない、所得の面で有料老人ホームや高専賃には入れない、などの事情を抱えています。
30日以上は利用出来ないとなると、彼らの行き先が無くなります。
仮に利用日数に制限を設けるのであれば、都は彼らが入居出来る施設・住まいの整備も併せて進めていく必要があると思います。
もちろん都の運営基準については遵守していきすが、長期利用者については、当社で入居先を探す必要があることなどを考えると、すぐに対応するのは難しい面もあります。
都に対しては「自主ルールとして2年以内に全ての長期利用者の受け入れ先を確保することにしたい」と申し出て、理解をしてもらってます。