ウォン高:輸出企業3社に1社が「限界状況」

 半導体用機械設備を輸出する釜山市のA社は、今年第1四半期の売上高が前年同期を30億ウォン(約2億3000万円)下回った。ウォンの対ドルレートが昨年第1四半期の1ドル=1144ウォンから今年第1四半期には同1120ウォンに上昇したことに加え、最近になって1060ウォンまで一段高となったためだ。A社関係者は「1100ウォンを超えるウォン高では損失が出る。最近製品単価を約2%引き上げたところ、すぐに売り上げが減少した」と話した。昨年通年で2000億ウォン(約152億円)の売り上げがあった同社は、ウォン相場が現在の水準で推移する場合、年間150億ウォン(約11億4000万円)程度の減収を見込んでいる。

 衣類輸出のB社は、今年2月に米流通大手向けの大規模な納品契約を結んだが、むしろ損失を出す結果となった。B社関係者は「契約規模が大きく、単価を最大限抑えたが、ウォンがあまりに上昇し、20億ウォン(約1億5000万円)以上の損失が出た」と嘆いた。B社は契約破棄のレッテルを張られないため、泣く泣く契約を履行しているという。B社は「社内には為替ヘッジを行う人材はおらず、銀行の一任するのも不安なので、原価と経費の節減だけが頼りだ」と説明した。

 このように、韓国の輸出企業が今、ウォン高の直撃を受けている。輸出先の多角化や為替ヘッジ戦略でウォン高に対抗しているものの、中小企業は為す術がないまま、損失を受けている。輸出企業3社のうち1社は、既にウォン高で限界状況に達しているとの調査結果もまとまった。

 大韓商工会議所は1日、輸出・内需企業509社を対象に行った調査結果を発表し、「ウォン相場が輸出マージン(利ざや)を確保するのが困難なほど上昇した」との回答は全体の35.6%を占めたことが分かった。大韓商議は「ウォン相場が10ウォン上昇するごとに、輸出企業の輸出額と営業利益はそれぞれ1.62%、1.28%減少することが分かった」と説明した。

 輸出を行っても利益が出なくなる為替水準としては、1080ウォン以上1100ウォン未満との回答が20.7%で最も多く、1000ウォン以上1020ウォン未満が20.2%、1040ウォン以上1060ウォン未満が18.8%、1000ウォン未満が14.4%の順だった。

 内需企業の場合は、58.1%が最近のウォン高で「特に影響を受けていない」と回答し、19.8%は「やや恩恵を受けている」と答えた。そして、ウォン相場が10%上昇すると、内需企業は売上高が0.03%、営業利益が1.06%それぞれ増加するとの回答があった。

辛殷珍(シン・ウンジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る