2011年5月2日22時40分
富山県と福井市の焼き肉チェーン店で生肉のユッケなどを食べた男児2人が食中毒で死亡した問題で、焼き肉チェーンを運営する「フーズ・フォーラス」(本社・金沢市)は2日の記者会見で、業者と仕入れ契約を結んでから細菌検査を一度もしていなかったことを認め、衛生管理が不十分だったと陳謝した。
フーズ社の勘坂(かんざか)康弘社長らによると、ユッケに使った牛肉は2009年7月ごろから仕入れていた。卸売業者から「検査済み」との連絡を受けていたため、フーズ社が検査をしたことはなかったと説明した。
厚生労働省は1998年、生食用の食肉処理についての衛生基準を設けた。しかし同省の担当者によると、国内で同基準に沿って加工・流通している生食用の牛肉はないと説明。罰則規定がないこともあり、業者の判断で生食に使われているケースが大半とみられる。
勘坂社長は、生食用の衛生基準を満たしていない肉をユッケとして提供したことを認めたうえで、「どの焼き肉店でも慣習的にそうしている」と釈明した。
富山県によると、県内の同チェーンで飲食した食中毒患者は2日現在、計56人(死亡男児含む)に増加。入院中は34人で、うち溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症するなど重症の患者は22人に上っている。
一方、福井県は2日、福井市のチェーン店で生肉のユッケを食べ、27日に死亡した男児の死因について、腸管出血性大腸菌「O111」による食中毒と断定したと発表した。
同県によると、男児が感染したO111の遺伝子が、富山県内の同じチェーン店で食事をして食中毒と診断された患者4人から検出された菌の遺伝子と型が一致した。死亡した男児が食事をした店でユッケを食べた10代の女性も、下痢など重い症状で入院中という。