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男児食中毒死亡 余ったユッケ翌日提供

(2011年5月1日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

焼き肉店来店の2日前発生か

 富山県砺波市の「焼肉酒家えびす砺波店」の食中毒で男児が死亡した問題で、衛生対策から真空パックされたユッケを店内で開封した際、余った分は翌日に提供されていたことが分かった。経営会社のフーズ・フォーラス(金沢市入江)は「不備と言われたら、そうかもしれない」と話し「店の衛生管理が原因の可能性もあり得る」と説明している。

 同社によると、東京都の同じ卸元から系列店に肉が納入される。真空パックに入ったユッケのかたまりは開封後、当日使う想定量を千切りし、余った場合、アルコール消毒した容器に置いてラップするなどして冷蔵庫に保管。翌日、古いユッケから順番に提供するという。死亡した男児が来店した21日も、前日処理分を提供したとされるが、男児の食べた肉が前日処理分か当日処理分かは分かっていない。

 また、接客担当の女性従業員が検査の結果、腸管出血性大腸菌O111を保菌していたことも分かった。

 女性は19日、客として来店しユッケを食べていた。男児が来店する2日前の19日の時点で、ユッケにO111が発生していたと同社はみている。

 女性は25日以降、体調が悪化。27日の検便検査で陽性だった。女性は二10〜26日のうち5日間勤務していた。

 食中毒患者が出ている19〜26日に提供されたユッケは737食で、3回にわたり、16〜21日に納入された可能性が高いという。

「店からの連絡 遅すぎて不満」 死亡男児の父

 食中毒で亡くなった男児の父親(38)は30日夜、富山県高岡市の自宅で本紙の取材に応じ、悲しみを語った。

 男児は市内の小学校の1年生で6歳。「どうしてこんなことになったのか、何も考えられない気持ち」と言葉少な。焼き肉店を経営する会社には「同じようなことが、もう2度とないようにしてほしい」と望んだ。この日になって、県を通じて会社側から連絡を取りたいと告げられたといい「対応が遅すぎて不満があります」と述べた。

高岡でも2人感染

 富山県は30日、高岡市大野の焼き肉店「焼肉酒家えびす高岡駅南店」で飲食し、食中毒の疑いのあった10代の男性2人が腸管出血性大腸菌O111に感染したと発表した。新たに発症した患者を含め食中毒患者は30日現在、高岡駅南店が7人でうち3人が重症。砺波店の患者は死亡した男児を含め31人で重症は12人。

 腸管出血性大腸菌O111  大腸菌の一種で、強い毒素を出す。大腸で菌が増え激しい下痢や腹痛などを引き起こす。1996年に堺市で集団食中毒を起こしたO157同様、悪化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発して重症化する。数字は発見順につけられ、O157とは血清の型が異なるという。ともに抵抗力の低い子どもや高齢者が重症化しやすい。腸管出血性大腸菌が少量でも付着した食べ物を摂取すれば発症の可能性がある。菌は熱に弱く、富山県は「生肉を避けるのが一番」と話す。