開拓って何?
「開拓」。私なんかは結構単純なので,この言葉を聞くと「んー,魅力的な響き♪」なーんて思っちゃいます。 でも時々,ふと「この『開拓』って一体何なんだろう?」って思うのです。 で,まず分からない言葉があったときは辞書を調べてみましょう。すると次のようなことが書いてあります。 開拓・・・【名】@荒れ地を開くこと,A新しい分野を開くこと 釣りの世界で言う「開拓」とは,当然後者の意味で使われています(まぁ,実際にはヘビーな藪をこいで@のような経験をすることもしばしばあったりしますが(^^;)。釣り方や対象魚,釣り場など,それまで知られてなかったパターンや方法,場所を発見していくことを一般に「開拓」と言っているようです。これらのうち,私が最近考えるのは「ポイントの開拓」についてです。通常,それまで『釣れる』と言われてこなかった場所で釣ると「ポイントを開拓した」ことになるようです。でもよく考えてみると,これには2つほど疑問を感じずにいられません。 これだけレジャーとしての「釣り」が定着してきた昨今では,なかなか未踏の地というのはありません。そうなると地図とにらめっこして「ここは!」とめぼしい場所を見つけて現場に頑張って行っても,既にそこへアプローチするための道があったりすることもしばしばです。牡鹿半島でも「こんな所にロープが・・・」ってな崖がごろごろありますよね。こうなると,もはや「釣れない」ということ自体に疑問が生じてきます。釣れない場所へ向かう道なんて誰がつけるのでしょう?本当はそこは釣れる場所なんだけども,自分が知らなかっただけなんじゃないか?となるわけです。もちろんネットや釣り雑誌,仲間の情報,釣り場であった人からの情報,釣具屋さんの情報など集めても,そこでの釣果は聞いたことがなかったかもしれません。でも道があるということには,それなりの意味があるのです。 実際には誰かが釣れることを証明しているポイントを,それと知らずに「開拓した」と言っているのは,なんだかなぁって思うのは私だけでしょうか? 釣れれば開拓できたってのもなんか変です。そのポイントには事前に集めた様々な情報から考えて「魚がいる」と言うことは分かっているのですから「釣れる」のは当たり前なのです。私自身は,その時々の条件を考えてどこでどう攻めれば魚に近づけるか?釣れないときにはどこをどう攻めればいいのか?という点がある程度システマティックに攻略できて初めて「開拓」らしきことができたということになると考えています。もちろん自然が相手である以上,パターン通りに釣れるとは限りません。それでもその確率を上げていく過程こそが「開拓」だと考えています。 例えば,一般に「外洋が荒れれば漁港にベイトやシーバスが入ってくる」と考えられています。でも,そんなのはパターンとしては一般的すぎて,ローカルポイントを対象とした「開拓」とは無縁でしょう。だって,それをパターンとしたら外洋が荒れたときは外洋に面した漁港ではどこでもウハウハの筈ですが,実際にそうなることはありません。なぜか。こんな時は「外洋が荒れている」という条件よりもさらに魚に近づくための要素があるからです。そういった複数の要素を組み合わせて魚に近づくための仮説を考えて,検証していく。釣行を繰り返していく中で,かつてこうだと考えたパターンが崩されていく。それから再び仮説を立て直して再検証する・・・。私はその繰り返しによって積み重ねられた蓄積が開拓の基本だと思うし,そういったトライ&エラー&サクセスの過程こそが釣りの醍醐味だと信じています。だから「開拓」をするには「膨大な時間」と「膨大なデータ」,「それを成し遂げるだけの情熱や根性」,それと「ちょっとばかりの運」が必要であって,私のような他力本願なへっぽこアングラーにはやり遂げられません。 例えば私がこれまで通ってきた名取川について考えてみます。 名取川は私がシーバスを始めた年(2000年度)から通っている,私にとってのホームグラウンドです。なんで名取川に通い始めたのかって言えば,その理由は3つ。「好きだから」「近いから」「人がいないから」(笑)。furuさんの「名取川だって普通に釣れると思いますよ」っていう一言で,みってるさんやfuruさん,KUさんなど,一緒に名取川に入ってくれる仲間がいたことも大きかったです。通い始めた当初,どこの釣具屋で話を聞いても「釣れるって話は聞かないねぇ」って言われました。そりゃそうでしょう。だって初年度に私が名取川でルアーマンを見たのはわずかに2回だけですからねぇ。情報が流通しないのも当然です(これはあとから分かったことですが,なまずPではその前から一部のアングラーがシーバスを楽しんでいたということです。初年度の私のなまずPでの戦績は,なまず1匹でした(^^;)。でも七北田川・阿武隈川での実績や河口の南北に広がるサーフでの釣果を考慮すれば,釣れないはずがありません。で通って通ってようやく本命の姿がみられるようになってきて,1年目には12本のシーバスが確認できました。最近の状況を考えれば「たったの12本」ってな感じですが,それでもここから始まったのです。翌年からはネットを通じて知り合った方々の協力もあって,年を追うごとにデータも蓄積されてきました。 でもこれで「名取川は開拓できた」なんて言えますか?まさか。確かにデータも蓄積されてきて,季節や流れ,ベイト,潮位等を考慮してそれなりに確率の高い釣りができるようにはなってはきてますが,私は未だにボーズ釣行の方が圧倒的に多く,実際に釣りをしていると「なんで?どうして?」と思うことばかりです。確かに最初のうちは「名取川を開拓するぞっ」ってな感じで気合いを入れてたし,それなりに釣れるようになってきたころには「開拓できた」なーんて錯覚もしました。でもやっぱり冷静に考えれば開拓なんてとんでもありません。昔の自分の釣行日記とか見ると「ハズカシー」って自分で穴掘って隠れたくなります。分かったつもりでも,まだまだ分からないことの方が圧倒的に多いのですから。 で,なにを言いたいかというと,まぁ,ことさらに「開拓,開拓」っていうのもどうかなぁ?ってこと。確かにそれができれば凄いけど,それってほんとはめちゃくちゃ難しいことだし,ほんとに「開拓した」って言えることなのかな?って思うことが最近多いような気がするのです。みなさんはどう思いますか? |