1: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:06:08.22ID:bj3NgqhQ0
ほむら「……え?」
まどか「だから向こう行ってよ、お願いだから!」
ほむら「まどか……」
まどか「一緒にいたら、おかしくなっちゃいそうなんだもん……!」
ほむら「……ごめん、ごめんね、まどか」
がちゃっ
たたた...
ばたん
まどか「……あ、ほむらちゃ」
まどか「……」
4: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:07:17.21ID:bj3NgqhQ0
次の日
まどか「……おはよう、さやかちゃん、仁美ちゃん」
仁美「おはようございますわ、まどかさん」
さやか「おはよ、まどか。どうしたの?」
まどか「えっ?……ううん、なんでもないよ?」
さやか「……ふーん?」
仁美「二人とも、早く!学校遅れちゃいますわっ」
さやか「うわっと!まどか、仁美、走るよ!」
まどか「う、うん……!」
教室
がらっ
まどか「……」きょろきょろ
まどか「(……まだ、来てない)」ほっ
5: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:07:54.82ID:bj3NgqhQ0
まどか「(……って私、別にほむらちゃんの姿探さなくても)」
がらり、
まどか「!」ビクッ
ほむら「……まどか」ジッ
まどか「……」フイッ
ほむら「……っ」
トトト...
さやか「どうしたの?まさか転校生と喧嘩?だから朝から……」ヒョコッ
まどか「違うよ」
さやか「えっと」
まどか「私がほむらちゃんを一方的に避けてるだけ。喧嘩なんて絶対違う、私はほむらちゃんのことなんて気にもしてないんだから」
さやか「……気にもして無いって、あんた」
6: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:08:48.51ID:bj3NgqhQ0
まどか「さやかちゃん、授業始まるよ」
さやか「……何強情張ってんだか」
まどか「そんなんじゃないよ」
さやか「はいはい、じゃーね」ヒラッ
まどか「……うん」
がらっ
早乙女「はーい、授業はじめまーす」
――――― ――
昼休み
マミ「……それで、とうとう暁美さんに大嫌い、って」
まどか「……うん」コクッ
マミ「ふふっ、偉かったわねえ」
ぐいっ
まどか「!」
まどか「マミさん……ここ、学校。皆見てるよ」
マミ「赤くなっちゃって。可愛い子」
7: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:10:15.27ID:bj3NgqhQ0
まどか「……もう」
マミ「拗ねた顔も可愛いわ、けど浮かない顔はあんまり好きじゃないわね」
まどか「……え?」
マミ「暁美さんをこれ以上あなたに近付けさせないように、そのためにあなたに『大嫌い』って
言わせたのよ?なのにそんなあなたが傷付いたような顔をしてる、それが私は悲しくて仕方ないわ」
まどか「そんな顔……」
グリッ
まどか「!」
マミ「どうしてかしらねえ?あなたはちゃんと、私の目を見て、言ったのに。
ほむらちゃんなんてどうでもいいですって。誓ったでしょう?そうでしょう?」
まどか「……っ、マミさん、痛いよ……」
マミ「答えなさい――まどか?」
まどか「!」ドキッ
8: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:11:38.00ID:bj3NgqhQ0
まどか「私、は……ほむらちゃんのことなんて、どうでもいい。今でも、そう、思ってる……っ」
マミ「……いい子ね」クスッ
すっ...
まどか「……」ホッ
マミ「これからもそうよね?ずーっと。あなたはずーっと私の側にいてくれる」
まどか「……はい、マミさん」
マミ「汚い虫がついたら私がすぐに払いのけてあげる、だから安心して、鹿目さん」
まどか「……うん」
マミ「その代わり、あなただってそれ相応の努力はしてもらわなきゃいけないの。わかるでしょ?」
まどか「…………うん」
マミ「暁美さんの心を、プライドを、ずたずたにしてやりなさい」にこっ
まどか「……マミ、さん」
マミ「出来ないわけないわよね?だって、あなたは」
まどか「……はい、出来ます、やり、ます」
9: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:14:12.78ID:bj3NgqhQ0
マミ「それでこそ私の大事な鹿目さん」
ギュッ
まどか「……はい」
◆
ガヤガヤ
さやか「あっ、まどか!やっと帰ってきた!」
まどか「ごめんね、マミさんと話しこんじゃって……」
さやか「ったく、最近よくマミさんと一緒にいるよねえ、まどか」
まどか「……うん、まあ」
さやか「まさか魔法少女の秘密特訓!?」
まどか「ち、違うよ!?」
11: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:15:01.88ID:bj3NgqhQ0
さやか「ま、いいや。次の時間、美術だよ?早く行こっ」
まどか「あ……そっか!」
さやか「待っててやったんだからさ、ほら、急げ!」
まどか「ごめんねさやかちゃん!」
キーンコーンカーンコーン
美術室
先生「では授業を」
まどか「(はあ、間に合った……)」
ほむら「……」チラッ
まどか「(……ほむらちゃん)」
先生「今日の課題は『友達の顔』です」
まどか「!?」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:17:49.33ID:bj3NgqhQ0
先生「大切な友達の顔をお互いに描いてみましょう。はい、スタート」
まどか「さ、さやかちゃ」
がたっ
さやか「あー、ごめんまどか。あたし、仁美と組むから」
仁美「ごめんなさい、まどかさん」
まどか「えっ」
さやか「転校生、一人ぽつんと残ってまどかのほう見てるじゃん?」コソコソ
まどか「でも私……」
さやか「喧嘩してんなら仲直りのチャンスでしょ、ほらっ」
とんっ
まどか「さやかちゃ……」
まどか「(さやかちゃんのお節介……!)」
ととと、
ほむら「……まどか」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:18:34.51ID:bj3NgqhQ0
まどか「……っ」
まどか「あなたとは書きたくないけど、でも、仕方ないから……」
ほむら「……えぇ、それでもいいわ」パアッ
まどか「(……どうしてそんな顔するの?私、あんなに酷い事言ったのに……)」
ほむら「……それじゃあ私、ここに座って書くから」
まどか「だめ!」
ほむら「え?」ホムッ、
まどか「私の席の近くには座らないで、汚い」
ほむら「……わかったわ」
まどか「ほむらちゃんはその端に座ってよ、あんまり近付いてこないでね」
ほむら「……まどか」
まどか「嫌なら他の人に頼んだら?頼む人がいるならの話だけど」
ほむら「……いいえ、いいわ」フルフル
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:20:25.86ID:bj3NgqhQ0
まどか「……そ」
ほむら「……えぇ」
まどか「……それじゃあ私ここで書くから」
ほむら「……」コクッ
まどか「……っ」
まどか「動かないで!」
ほむら「えっ」
まどか「動いたらもうずっと口利かないから」
ほむら「……」
まどか「(……なんでそんなふうに泣きそうな顔して私を見るの?おかしいよ……)」
カキカキ
まどか「……」
ほむら「……」
17: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:23:14.87ID:bj3NgqhQ0
まどか「ほむらちゃん、書かないの?先生に怒られちゃうよ。あ、でも動いちゃ絶交だもんね、
そんなに私と仲良くしてたいの、ほむらちゃん?よくそんなことできるよねえ、おっかしー」
ほむら「……」グッ
まどか「……あ、動いた」
ほむら「!」
まどか「仕方無いなあ、もう一度チャンスをあげる。変顔してずっとそのまま止まっててよ。それで許してあげる」
ほむら「……」
19: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:23:42.06ID:bj3NgqhQ0
まどか「やらないの?」
ほむら「……やるわ」
スッ
まどか「そんなの全然変顔じゃないよ」
ほむら「……こう?」
まどか「違う」
ほむら「……これは」
まどか「ぷっ、ほむらちゃん変すぎるありえない」アハハ
ざわざわ
ほむら「皆、見てる……」
まどか「でも動いたりやめたりしたらもう喋んないよ」
ほむら「……っ」
23: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:26:10.53ID:bj3NgqhQ0
まどか「……泣きたかったら泣けばいいよ、もう喋らないだけだから」
ほむら「……」
まどか「そんな目したってそんな顔じゃ恐くないよ」
ほむら「……まどか」
まどか「気安く私の名前、呼ばないで欲しいな」
ほむら「」
先生「鹿目さん、あなた」
まどか「私が先に暁美さんの絵を仕上げようと思ってるんです、暁美さんはその後に」
先生「そ、そうなの?」
まどか「はい」ニッコリ
ざわざわ
まどか「だから皆も気にしなくていいよ!ほむらちゃんの珍しい変顔見たかったら見ててもいいけど!」
ほむら「……そんな」
さやか「」じっ
さやか「(……まどか、転校生――なんなのよこれ)」
24: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:27:20.61ID:bj3NgqhQ0
数十分後
先生「はーい、では描けた人、前に提出してー。画き掛けの人も……」
まどか「ほむらちゃん、お疲れ様」
ほむら「……え、えぇ」
まどか「どうしたの?顔の筋肉が強張って動かないとか?」
ほむら「!」
まどか「いいじゃん、そのままで。ほむらちゃんにはお似合いだもん」
ほむら「……」
まどか「それで、どうするのかな、ほむらちゃん?絵。全然描けてないよね?」
ほむら「いいえ、描けてるわ」
まどか「えっ……?」ぞくっ
まどか「な、なんで?いつ描けるの?そんなの絶対おかし……」
ほむら「これ」
すっ
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:29:44.69ID:bj3NgqhQ0
まどか「……私?」
ほむら「……」コクッ
ほむら「まどか……鹿目さんの、デッサン」
まどか「……」
まどか「何で泣きそうな顔してるの?私が?……おかしいよ、変だよ」
ほむら「まどか……」
まどか「……」
びりっ
ほむら「!」
26: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:30:11.19ID:bj3NgqhQ0
まどか「……おかしいよ、こんなの」
ほむら「……」
先生「ちょっと、鹿目さん……それは暁美さんの」
まどか「おかしいよ、おかしいよ、……こんなのっ!」
さやか「ちょ、まどか……っ」ガタッ
ガシッ
ほむら「!?」
まどか「……大嫌いなんだから」
...ドンッ!
ほむら「まど……」フラッ
27: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:30:55.11ID:bj3NgqhQ0
さやか「転校生!あぶな……っ!」
先生「鹿目さんっ、あなたやっぱり!」
まどか「大嫌い大嫌い大嫌いっ!」
キーンコーンカーンコーン
まどか「(叫ぶたびに嫌な気持ちになる自分自身も、ほむらちゃんも皆大嫌いっ!)」
がらっ
ダッ
先生「鹿目さん!待ちなさい、鹿目さん!」
―――――
―――――
まどか「……はあ、はあ」
まどか「私、なんてこと」
まどか「(ほむらちゃんを突き飛ばしたすぐ後ろに花瓶があったのに。さやかちゃんが
ほむらちゃんを受け止めなきゃ、きっと大変なことになってた……)」
ガクガク...
そっ、
28: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:32:36.36ID:bj3NgqhQ0
まどか「!?」ビクッ
マミ「あら、驚かせちゃった?」
まどか「マミ……さん」
マミ「何をそんなに震えているの?」ギュッ
まどか「私……ほむらちゃんを突き飛ばして、それで」
マミ「えぇ、いいじゃない。よく出来たわ」ニコッ
ナデ、
まどか「マミさん……もっと。もっと撫でて」
マミ「珍しいわね。そんなに気が動転しているの?」
まどか「わからない……わからないよ……だから、私は間違ってないって、おかしくないって、そう思わせて」
マミ「……」クスッ
マミ「えぇ、いいわよ。ただし」
まどか「マミさっ……」
マミ「暁美さんのことを考えなかったら、ね?」
29: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:37:26.26ID:bj3NgqhQ0
まどか「……考えてない」
マミ「いい子ね、まどか?素直な子は大好き。嘘を吐く子は大嫌い。知ってるでしょ?
ほら、身体はこんなにも震えてる――」
まどか「……っ」
キーンコーンカーンコーン...
マミ「……今日は許してあげる」
まどか「……マミさ」
マミ「ただ、忘れないでね。嘘吐きにはお仕置きよ。ふふっ……」
トトト...
まどか「……」
32:◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:40:35.46ID:bj3NgqhQ0
◆
知久「……まどか、正直に言ってごらん。どうして友達を突き飛ばしたりしたんだい?」
まどか「……ごめんなさい、パパ」
がちゃっ
絢子「まどか!」
まどか「あ、ママ……」
知久「おかえり」
絢子「おい、まどか、どういうことだよ、なあ?お前が学校で暴動事件起こしたって聞いて驚いて……」
まどか「……」
知久「六時間目が始まる前に、担任の先生から電話があって。ママにも電話したんだよ」
絢子「お前は親に心配かけるような奴じゃなかったのか……?誰かに手をあげるような真似するような奴じゃないだろ?」
まどか「……ごめんなさい」
絢子「相手の子は」
知久「大して怪我はなかったみたいだよ。それに、私が悪いんですの一点張りだそうだ」
まどか「……ほむらちゃん」グッ
絢子「ほむらちゃん?それってお前がよく最近話してた、あのほむらちゃんなのか?」
33: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:41:10.26ID:bj3NgqhQ0
まどか「……うん」
絢子「それなら何でよけいそんなことっ!喧嘩でもしたのか!?」
まどか「……違うよ」
絢子「友達だったんだろ!?つい最近まで大事な友達だって、そう言ってたじゃないか!」
知久「ママ、落ち着いて……」
絢子「……悪い」
知久「水」
絢子「ありがと……」ゴクゴクッ
トンッ
絢子「なあ、まどか?」
まどか「……なんかじゃない」
絢子「え?」
まどか「ほむらちゃんは、友達なんかじゃないっ!」
絢子「……お前」
37: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:44:12.29ID:bj3NgqhQ0
まどか「……そんなんじゃないんだよ、違うの、ほむらちゃんは……!」
絢子「じゃあなんで」
まどか「もう放っといてよ!」
絢子「……え?」
知久「まどか……」
タツヤ「うわあああああああああああああああああん」
38: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:44:35.31ID:bj3NgqhQ0
まどか「……タツヤが泣いてるよ、行って来なよ」
絢子「まどか……」
まどか「私だってもう、子どもじゃないの。だからもう、お願いだから放っておいて!」
ガチャッ
タタタッ...
絢子「まどか……っ」
知久「……今はそっとしておいてやろう」
絢子「……なあ、気が付いてたか?」
知久「……」
絢子「まどか……、ほむらちゃんの名前呼ぶとき、いつも優しそうな顔、するんだ。
まるで恋してるみたいにさ。――なのに……あんなふうに優しいまどかが言えるはず、ないんだよ」
知久「……うん、そうだね」
知久「……あの子は、僕たちの知らないうちに大人になっていく」
絢子「それがいいのか悪いのか、わかんないよ畜生……」
40: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:46:23.24ID:bj3NgqhQ0
◆
次の日
仁美「……まどかさん、昨日は大丈夫でした?」
まどか「あ、仁美ちゃん……おはよ」
仁美「おはようございます」
まどか「……さやかちゃんは」
仁美「先に行かれましたわ」
まどか「……そっか。仁美ちゃんは、さ。昨日の私、どう思った……かな」
仁美「……」
仁美「きっとクラス中、昨日のことばかりが話題に上ってますわ。下手したら、校内全域で」
まどか「うん」
仁美「私は何があってもまどかさんのお友達はやめませんわ、けれど……ごめんなさい、今はまだ、
私の中でも気持ちの整理がついてませんから……」
だっ
まどか「あ、仁美……ちゃん」
41: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:48:59.09ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」
トッ...
マミ「……おはよう、鹿目さん」
まどか「!」
まどか「マミ、さん」
マミ「浮かない顔してるわね?何かあったの?今さっき、お友達が先に走って行っちゃったみたいだけど」
まどか「……へへっ、置いていかれちゃいました」
マミ「……」
マミ「そ」
まどか「……はい」コクッ
マミ「なら、ますます嬉しいことね。今日は美樹さんもいないみたいだし」
まどか「……軽蔑、されちゃったのかも」
42: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:49:55.90ID:bj3NgqhQ0
マミ「ふーん」
まどか「……」
キュッ
まどか「!」
マミ「……なら人前だとかそんなことも気にしなくていいわよね?大丈夫よ、鹿目さん。
味方全部がいなくなったって、私がずーっと一緒にいてあげる――」
まどか「……っ」
マミ「もしあなたが本当に独りぼっちになってしまったのなら……どうしてかしら、凄く嬉しいわ」
まどか「……え?」
マミ「邪魔な奴なんて誰もいない、あなたは私だけのものなんだものね」クスッ
まどか「……マミさんだけの」ギュッ
教室
ガラッ
まどか「……」
ざわざわ
43: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:52:26.15ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」ガタッ
トスッ
まどか「(皆、私を見てる……嫌な感じ)」
まどか「(……ほむらちゃん、来なきゃいいのに)」キョロ
パッ
まどか「!」
ほむら「……」フッ
まどか「(……きてた、んだ)」
44: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:56:04.27ID:bj3NgqhQ0
カタッ
まどか「……あ、さやかちゃ」
さやか「……」チラッ
さやか「あんたがそんな奴だとは思わなかった」ボソッ
まどか「っ」
さやか「暁美さん」
ほむら「!?」ホムッ
ほむら「美樹、さやか……」
さやか「さやかでいいよ。フルネームなんて面倒臭いじゃん?」
まどか「……」
まどか「(そうだ、これでいいんだよ、ね。ほむらちゃんがさやかちゃんと仲良くなれば
私が嫌な気分になることもないはずなんだし……マミさんだって、きっと喜んでくれる)」
45: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:56:28.21ID:bj3NgqhQ0
――――― ――
マミ「……ふーん?いいんじゃないの、それで。誰かを気にすることなく一緒に昼休みを過ごせるんだし」
まどか「……ですよね」
マミ「そのわりに空元気に見えるのは気のせいなのかしら」
まどか「……」
マミ「何度も言ってるけれど別に私はあなたを傷付けたいわけじゃ無いの、わかるでしょう?
あなたが大切で、大切で、大好きだから――そんな顔されちゃ、私も悲しくなってくるわ」
ソッ...
まどか「(……痛い)」ズキッ
まどか「……してませんよ」ニコッ
マミ「……鹿目さん?」
まどか「してません、だって私は、マミさんが一番なんだから」
マミ「……そうね、そうよね。私ったら何を言ってるのかしら」
まどか「マミさん以外の人なんて、もういりません」
マミ「まどか……」
46: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:57:21.40ID:bj3NgqhQ0
まどか「(……だからもう、誰も傷付いたような顔、しなくていい――
ほむらちゃんも、私自身も、マミさんだって、皆皆、それで幸せなんだから……)」
まどか「(……この気持ちは、嘘じゃない)」
◆
帰り道
まどか「……」
QB「やあ、まどか」
まどか「……!吃驚した、突然出てくるんだもん……」
QB「今日はマミやさやかたちと一緒じゃないのかい?」
まどか「……マミさんは、魔女を探しに行ってるよ」
QB「ついていかなかったの?」
まどか「来ちゃだめって、そう言われちゃった」
QB「……ふーん、珍しいね、マミがそんなこと言うなんて」
まどか「うん……きっとまた私、マミさんを傷つけちゃったんだよ」
QB「マミのプライドを、かい?」
まどか「……マミさんの心」
47: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:58:02.26ID:bj3NgqhQ0
QB「僕にはよくわからないな、その心、っていうのが。どっちにしたって、マミのはプライドと同じようなものだろ?」
まどか「うん、そうかもしれないね……でも、そうじゃなくって」
QB「……だから君はマミに服従にもとれる行動をしているのかい?」
まどか「違うよ。私がマミさんのこと、好きだから」
QB「その好きの意味はどっちの意味なんだろうね?」
まどか「……え?」
QB「僕らには感じ取れないものだけれど……君は自分の気持ちを偽ってるんじゃないのかい?」
まどか「……どうしてママもパパも、キュゥべえだって同じことを言うんだろう」
QB「君がそんな目をしているからじゃないかな――きっと、マミもわかってる」
まどか「……違う、よ」
トッ、
まどか「!」バッ
ほむら「……」
まどか「ほむら、ちゃん……」
48: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:58:28.26ID:bj3NgqhQ0
ほむら「まどか……少しだけ、いい?」
まどか「……え?」
ほむら「少しだけでいい、一緒に歩かせて欲しいの」
まどか「……なんで」
ほむら「――私の、けじめ」
まどか「……」
ほむら「あなたが私のことを嫌いでも、大嫌いでも……それでも私は、あなたのことを大切だと思ってる」
QB「やれやれ、どうするんだい?まどか」
まどか「……どうしてそこまで」
ほむら「私にもわからないわ。ただ……お願い、まどか」
まどか「……」コクッ
ほむら「ありがとう」
まどか「……ただ、あんまり近付かないで」
49: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:58:47.70ID:bj3NgqhQ0
ほむら「……えぇ。あなたの隣を歩けるだけで嬉しいから」
まどか「……」
まどか「(なんでそんなこと言うのかなあ、ほむらちゃん……ずるいよ、こんなのって)」
QB「いいのかい?まどか。マミが怒るんじゃないのかな」
まどか「……うん、でも」
ほむら「……巴マミ?」
まどか「あっ、えっと……」
ほむら「……」
まどか「……私とマミさん、付き合ってるんだよ」ニコッ
ほむら「!」
ほむら「……まどか」
50: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:59:13.23ID:bj3NgqhQ0
:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2011/04/29(金) 20:05:38.32 ID:Ku6smlTK0
まどか「……へへっ、女同士で気持ち悪い、なんて思っちゃった?」
ほむら「私は……」
まどか「思ったよね、だって、私だってそうおもうもん、汚いし、そんなのおかしいよね」
ほむら「……」
まどか「気持ち悪いよね」
51: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:59:40.99ID:bj3NgqhQ0
まどか「(……どうして私は。ほむらちゃんの泣きそうな顔を見て、こんなにも胸が痛くなるんだろう。どうして)」
ほむら「……」
まどか「わかってるよ、私。なのにね、やめられないんだ。だって私、マミさんのこと大好きだから」
ほむら「っ……もういい、まどか……」
まどか「私って最低だよね、でも……でもね?好きなの……好きだから」
まどか「(私は、誰に対して言ってるんだろう、誰に好きって……)」
ほむら「まどか……もう、いい。ごめんね、まどか……ごめん、なさい」
まどか「……」
ほむら「ただ最後に、もう一度聞かせて?……私に対しての、気持ち」
まどか「……ほむらちゃんに対しての、気持ち?」
マミ『 』
まどか「っ!」
52: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:00:14.36ID:bj3NgqhQ0
まどか「……嫌いだよ。大嫌い」
54: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:02:12.81ID:bj3NgqhQ0
ほむら「……」
ほむら「ありがとう、まどか」
スッ、
まどか「!待って」
ピタッ
まどか「ほむらちゃん、前に言ったよね?」
ほむら「……え?」
まどか「私の優しさが、誰かを傷つけてるかも知れないって」
ほむら「……それが」
まどか「私は全然優しく無いよ。だって、その優しさに何か見返りを求めてる。そんなの優しさじゃないよ。
私はね、ほむらちゃん。自分の一番最低なところばかりで人を傷付けてる、一番最低な人間なの」
ほむら「……まどか」
まどか「見返りなんていらないのに……でも、恐いの。突き放されることが、恐い。だから」
まどか「――ごめんね」
56: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:02:55.73ID:bj3NgqhQ0
―――――
―――――
QB「……いいのかい、まどか」
まどか「……うん。いいの」
QB「――もしかして、知ってたのかな?僕を通してマミがまどかの様子を見ていること」
まどか「知らなかったよ」
QB「じゃあなんで。本当にマミに突き放されるのが恐いのかい?」
まどか「……それもあるよ。だって、あんなにも私を必要としてくれる人なんて――いないよ」
QB「……それを聞いたらきっとマミは喜ぶだろうね」
まどか「……うん。でもね、一番は……私、逃げちゃっただけなの。自分の気持ちをちゃんと確かめることから」
QB「まどか」
まどか「……こういうとき、私はどうすればいいのかなあ。キュゥべえと契約でもしちゃえば
いっそ楽になれるのかなあ……」
QB「……君がそういう願い事をすればね」
57: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:03:32.05ID:bj3NgqhQ0
マミ「だめよ、そんなこと言っちゃ」
まどか「!マミさん……っ」がばっ
マミ「……こんな暗いところで、しかもこんな土手で寝転がっちゃって」
パンパンッ
まどか「へへっ……ありがと。――待ってたの、マミさんを」
マミ「……嬉しいこと言ってくれるのね」クスッ
QB「さっきもっと君が喜びそうなことをまどかが口にしたけどね」
マミ「あら、聞いてみたいわね」
まどか「いいよもう……帰ろう」
マミ「ねえ、鹿目さん」
ガシッ
まどか「……どうしたの?マミさん」
マミ「いっそ、暁美さんを殺しちゃえればいいのに」
59: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:04:30.62ID:bj3NgqhQ0
まどか「……マミさん」
まどか「(……手、震えてる)」
マミ「なんて……もし私がそう言ったら、あなたはどうする?」
まどか「……」
マミ「もし私が、暁美さんをこの手で殺して……。もしそうしたら、あなたは」
まどか「……マミさんが望んだことなら、それでもいい」
マミ「……そう」
まどか「……マミさんが傷付くことは、私も傷付くことだから。マミさんが傷付かないって言うなら、
私も傷付かないよ。マミさんがそれを本当に望むなら――」
61: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:05:24.28ID:bj3NgqhQ0
マミ「……その割には」
まどか「……」
マミ「……何でもないわ」
キュッ
マミ「……今日は少しおかしいのよ、きっと。あなたが似合わない言葉なんて言うから」
まどか「……へへっ。私も思い出したら照れちゃいます」
マミ「……この手が離れないように、しっかり繋いでおくのは私の役目なの。だから、そのためには何でもするわ、まどか」
まどか「……うん、知ってる」
マミ「……ならいいの」
QB「やれやれ。マミは本当に不器用だね、愛情を伝えることに関してさ」
マミ「うるさいわね」
まどか「キュゥべえだってそうでしょ?」
QB「僕は感情なんてものは持ち合わせてないって知ってるだろう?」
まどか「本当は持ってたりして」
62: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:06:12.97ID:bj3NgqhQ0
QB「……まどか。吹っ切れでもしたのかな?」
まどか「……わからないよ」
マミ「吹っ切れたも何も、私が他の人を見ることなんて許さないもの。そうでしょ?鹿目さん」
ズッ...
まどか「(……私は今日、マミさんじゃなくってこの痛みを待ってたのかな)」
まどか「……うん、そうだよ」
◆
次の日、教室
ガラッ
まどか「……」
仁美「あ、まどかさん」タタタッ
まどか「仁美ちゃん……」
仁美「今日も先に行ってしまってごめんなさい」
まどか「ううん、大丈夫」
仁美「……さやかさんが、あんな奴ほっとけって」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:08:19.81ID:bj3NgqhQ0
まどか「……だろうなあ。今はいいの?さやかちゃん」
仁美「えぇ、今はいないので。朝早くに来て、暁美さんを連れてどこか行っちゃいましたわ」
まどか「え?」
仁美「珍しい組み合わせって言っちゃなんですけど……本当に珍しいですわね、
さやかさん、あまり転校生さんのこと興味なかったみたいなのに……」
まどか「う、うん……そうだね」
仁美「あっ、私、暁美さんの話はしないほうが……」
まどか「あのことはもう、忘れて仁美ちゃん」
仁美「……頭、冷えましたのね」
まどか「……そんな感じかな、ごめんね?」
仁美「いつものまどかさんに戻られて嬉しいですわ」
まどか「うん……さやかちゃんとほむらちゃん、仲良くなれるよね、きっと」
仁美「まどかさん、あなたはいいんですの?ちゃんと暁美さんと仲直りしなくて」
64: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:09:08.66ID:bj3NgqhQ0
まどか「仲直りも何も――ないから」
仁美「……そう。いいんですのね?」
まどか「……」
仁美「そろそろチャイム、鳴りますわ。それではまた」
まどか「……うん、ごめんね仁美ちゃん」
――――― ――
昼休み
ガチャッ
マミ「……あら」
まどか「マミさん」
マミ「今日は早かったのね、屋上に来るの」
66: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:11:30.12ID:bj3NgqhQ0
まどか「早くマミさんに会いたくなっただけ」
トスッ
マミ「……そう?」
まどか「私お腹空いちゃった」
マミ「そうね、私もさっき体育だったから疲れちゃったわ」
まどか「マミさんの走る姿見たかったなあ、今の時期体育祭の練習でしょ?」
マミ「えぇ、でも私、リレーの選手じゃないもの」
QB「マミは走るのそんなに速くないからね」
まどか「キュゥべえ!」
QB『どうしたんだい、マミ?暁美ほむらのことはもういいの?』
68: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:13:53.95ID:bj3NgqhQ0
マミ『あなたにそんなこと心配されたくないんだけど。それとも私、そこまで重症かしら?』
QB『どうだかね』
マミ「さ、キュゥべえのことは放っておいて食べましょうか」
まどか「え?いいの?」
マミ「いいわよ、お腹減ったんでしょ?」
まどか「うん、そうだね」
QB「……それじゃあ僕はここにいておこうかな」
QB『いつまどかが契約という言葉を口にしてもいいように』
マミ『……どういう意味?』
QB『そういう意味だよ、マミ。君がいつ――』
ブツッ
マミ「……」
QB「やれやれ……」
69: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:14:45.53ID:bj3NgqhQ0
まどか「どうしたの?マミさ……」
ガチャッ
さやか「でさー」
トトト、
さやか「仁美の奴……暁美さん?」
ほむら「……」
まどか「あ……」
さやか「まどか……それにマミさんも」
マミ「あら、珍しいわね」
さやか「マミさん、どうしてまどかなんかと……」
マミ「そういうあなただってどうして暁美さんと?美樹さん」
さやか「まどかがこの子に何したか知ってんの?」
マミ「大したことはないわよね?」
さやか「なっ……」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:18:07.93ID:HuJkQQUi0
さやかじゃ無理だ!杏子呼んでこい!!
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:19:01.84ID:gThRf8ve0
マミさんとあんこのぼっち同士でくっつけばいいと思う
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:22:42.62ID:HuJkQQUi0
>>71
マミと杏子ちゃんじゃぼっちの質がちげえんだよ
マミは学校に通ってるのにぼっち、杏子ちゃんが学校に来たらすぐに友達いっぱい、いい子だから
73: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:19:43.28ID:bj3NgqhQ0
ほむら「……」
マミ「何かしら、暁美さん」ニコッ
ほむら「……いいえ、何でもないわ。さやか、違う場所で食べましょう」
さやか「け、けどさ……」
ほむら「さやか、お願い」
まどか「」ギリッ
まどか「……ほむらちゃ」
さやか「……わかった、暁美さんがそう言うなら」
ガチャッ
マミ「……」
ガリッ
まどか「っ!」
マミ「……今、呼び止めようとしたわね?」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:21:17.93ID:lilRlO7b0
ヤンデレかわいい
76: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:22:30.10ID:bj3NgqhQ0
まどか「……してないよ」
マミ「嘘吐きは嫌いって、そう言ったでしょ」
まどか「……ごめんなさい」
マミ「……あなたが離れないように、手を繋いで引き止めるのは私の役目」
まどか「……はい」
マミ「でも、あなたが離れるわけないもの、そう思ってたわ。間違いだったのかしら」
まどか「……違うよ、マミさん」
マミ「……鹿目さん。最近、そんな顔してばっかりね」
スッ
マミ「知ってた?昨日だってずっと」
QB「……」ムクッ、
80:◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:25:54.36ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」
マミ「……だから嫌いなのよ」ボソッ
まどか「……えっ?」
マミ「――鹿目さん」
まどか「……えっと」
マミ「痛めつけても、何をしてもだめなのなら、私はどうすればいいのかしら」
まどか「……マミさ」
マミ「……人の気持ちが、まったくわからない。人類全員がいっそキュゥべえのように感情がなかったら、
こんなことにはならなかったのにね、まどか――」
まどか「……」
マミ「次にあなたが暁美さんの名前を呼んだら……私、きっと我慢できないわ」
まどか「……それって」
マミ「……勝てるも勝てないも、そんなのわからないけれど」
マミ「殺しちゃうんでしょうね、たぶん」
81: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:28:00.19ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」ゾクッ
QB「さて、と。……もう一眠りかな、僕は」
マミ「……えぇ、そうね。一生眠ってなさい」
QB「それは無理だね、マミ」
まどか「マミさん……」
マミ「――あなたのこと、それくらい好きだって」
まどか「……」
マミ「そう言えば、わかってくれる?」
まどか「……」
まどか「……い、言ったでしょ?マミさん。私、は……マミさんが本当に望むことなら、いいって」
マミ「……そう、だったわね」クスッ
84: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:30:43.01ID:bj3NgqhQ0
――――― ――
まどか「……ねえ、キュゥべえ」
QB「なんだい、まどか。もしかして今更マミの言葉、思い出して怖くなってるの?」
まどか「そういうわけじゃないよ……だけど」
QB「僕はいつでも準備は出来てるよ、まどか」
まどか「……」
まどか「うん……」
QB「魔法少女は、どんな願いでも叶えられるからね」
QB「ただ、それがまどかの本当の願いじゃなかったとしてもね」
まどか「……」
QB「待ってるからね」キュッ
89: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:39:19.72ID:bj3NgqhQ0
夜
まどか「ただいま」
ガチャッ
知久「お帰り」
タツヤ「おかーりーっ」
まどか「……パパ、どうしたの?」
知久「今日が何の日か、覚えてないの?」
まどか「……え?」
タツヤ「まーまぁっ」
まどか「――あ」
絢子「よお、遅かったな。お帰りまどか」
まどか「……ママの誕生日?」
91: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:43:10.48ID:bj3NgqhQ0
絢子「疑問系かよお」ばたっ
知久「ほら、まどかも早く靴脱いで」
まどか「う、うん……ママ、早速酔っちゃってるね」
知久「最近はいつもこうだよ。……色々あったからね」
まどか「……」ピクッ
知久「まどか」
タツヤ「ぱーぱぁ、はりゃへったー」
知久「こーら、腹減ったなんて言葉使っちゃだめだろー。ほら、行こうか」
タツヤ「わーっ」
ととと...
まどか「……」
まどか「ママ、起きて。パパの美味しい料理、冷めちゃうよ」
絢子「……まどかあっ、引っ張ってくれえ……」
まどか「仕方無いなあもう……」ぐいっ
まどか「重っ」
92: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:50:22.29ID:bj3NgqhQ0
――――― ――
数時間後
知久「タツヤ、寝かしつけてきたよ」
絢子「んー……」
知久「ママもベッドに運んだ方が良さそうかな」
まどか「……ははっ、どうだろ。でも寝ちゃってるね、完全に」
絢子「うぅ……頭いてえ」
知久「夢の中でもまだお酒飲んでるみたいだね」
まどか「本当だ」
知久「まどかも明日学校なんだし、そろそろ寝て……」
絢子「なあ、まどか……」
まどか「ママ?」
絢子「そりゃああれだよ、あんたもさあ、もう中学生で、親に話せないようなこと……沢山あるだろうけどさあ……。
でもやっぱり頼って欲しいっていうか……あたし、なんてだめ親なんだろうなあ、ほんと……」
知久「……絢子」
95:◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:10:40.10ID:bj3NgqhQ0
まどか「……私、もう部屋に」
グイッ
絢子「まどか……」
まどか「……ママ」
絢子「何があったかなんて、そんなのわかんないけど……もし誰かと喧嘩か何かして、それで辛い思いしてるんならさあ、
諦めも肝心だって、だからあたしも子どもの成長だって思って諦めたいのになあ、どうしても無理なんだよあたし……
親にとっちゃ子どもはいつでも子どもなんだしさ……それは変わらないんだよ……」
まどか「……ママっ」
知久「まどか。いいから。ママの言葉、しっかり心に刻み込みなさい」
まどか「パパ」
知久「……これだけママも、パパだってタツヤだって、まどかのことを心配してるんだ」
まどか「……こんなに泥酔しちゃって」
知久「それはいつものことだけどね。でも、夢の中でもまどかはママに向き合ってる。
まどかはどうだい?……最近、ママや僕の目を見てくれなくなった。僕たちは、まどかにもちゃんと向き合って欲しいんだ」
96: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:14:52.64ID:bj3NgqhQ0
まどか「……いいよもう」
知久「まどか……」
まどか「そういうのはもう、いい。言ったでしょ?放っておいてって」
知久「……なら、ちゃんとけじめをつけるんだね」
まどか「けじめ?」
知久「そう、けじめ。まどかが喧嘩した相手と」
まどか「喧嘩じゃないってば」
知久「じゃあそういうことにしておこうか。――まどかが突き飛ばしてしまった相手とも、
誰かはわからないけれどまどかを苦しめてる人とも。まどか自身がけじめをつけなきゃいけない」
まどか「……なんなの、それ」
知久「さあ、明日も早いんだ。そろそろ寝ようか。ママは僕が運んでおくよ」
知久「お休み、まどか」
まどか「……お休み、なさい」
97: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:18:11.36ID:bj3NgqhQ0
◆
まどか「(……昨日、よく眠れなかったなあ)」ゴシゴシ
まどか「(ママは私が起きたときはもう家出て行っちゃってたしパパも何も言わなかった)」
まどか「……」
マドマドマド...
さやか「おはよ、まどか」
ピタッ
まどか「……さやかちゃん」
99: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:22:00.05ID:bj3NgqhQ0
さやか「一緒、いい?」
まどか「……う、うん」キョロッ
さやか「誰探してんの?」
まどか「えと……仁美ちゃん、は?」
さやか「最近ばらばらだったからさ。昨日何も言わなかったから先行ってるんだと思う」
まどか「そっか……」
さやか「うん」
まどか「……」
さやか「まどかさあ。……転校生のこと、本当はどう思ってんの?」
100: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:26:15.23ID:bj3NgqhQ0
まどか「……どうしちゃったの、急に」
さやか「……あたし、どうしても許せなかったんだよ。優しいまどかがさ、突然あんなことして」
まどか「それって、表面上だけだよ。さやかちゃんはそこしか見てなかった」
まどか「(……やだな私。昨日からずっと苛々しちゃってる)」
さやか「……っ」
まどか「……ごめ」
さやか「確かにそう。そこは謝る」
まどか「えっ?」
さやか「だから謝るってば。一人で勝手に怒ってあんたを避けてたこと」
まどか「……いいよもう」
さやか「でもさ。やっぱ信じられなかったっていうか。明らか無理してる感じだったから、お互い」
102: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:31:05.61ID:bj3NgqhQ0
まどか「ううん、そんなことない」
さやか「だって、人に平気で大嫌いとかさ、言えないじゃん。たぶん、流石のあたしでも言えないよ。
だから……昨日、仁美に言われちゃったよ。『上条くんと何かあったんじゃありませんの』って」
まどか「……どうしてそこに上条くんが?」
さやか「あたしさ、ちょっと色々あって恭介と喧嘩しちゃったんだよね。だからあんたと転校生見てて
歯痒くってさ。しかも転校生の萎れ方があたしと一緒なの。で、ついつい気に掛かっちゃって」
まどか「……ほむらちゃ」
マミ『次にあなたが暁美さんの名前を呼んだら……私、きっと我慢できないわね』
まどか「あの子はいい子だよ。さやかちゃんともきっと仲良くなれると思う」
103: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:36:40.73ID:bj3NgqhQ0
さやか「だと良かったけどな。あいつ、まどか以外誰とも絡む気なさそうだし。
あたしじゃ所詮友達にもなれないっていうかさあ……暁美さん、ずっとあんたのこと見てたよ」
まどか「……」
さやか「なんだかんだいって、あたしもやっぱ暁美さんのこと気になるしさ……
あんたさえいつものまどかに戻ってくれればそれでオールオッケーなわけで」
まどか「……気持ち悪いよ」
さやか「!?」
まどか「ほむら……転校生さん」
さやか「あんた……」
まどか「人の事じろじろ見るなんて、だって気持ち悪いよね。さやかちゃんもそう思わない?」
さやか「……っあんた、一体誰に何言われて……あたしや仁美には話せないこと?」
まどか「違うよ。私の本心」
さやか「だってそんなの……!」
まどか「これが私なんだもんっ!」
さやか「まどか……」
104: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:44:32.19ID:bj3NgqhQ0
まどか「さやかちゃんが友達になりたいんなら勝手にすればいい。だけど、私は」
まどか「(何言ってるんだろう、私……もう頭の中がぐちゃぐちゃだよ。どうしたいのかもわからない……)」
さやか「……」
スッ
まどか「私」
バシンッ!
まどか「……!」
さやか「……」キッ
まどか「さやか、ちゃん……」
さやか「あんたが本当にそんな奴だとは思わなかった」
まどか「……っ」
105: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:49:05.66ID:bj3NgqhQ0
さやか「あたしってさ、ほんとバカだよ」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「あんたを信じてた私って、ほんっとバカ」
ストンッ
まどか「う……っ」
ット...
まどか「」ハッ
バッ
ほむら「……」
まどか「……」
さやか「暁美さん……」
ほむら「……」ジッ
フイッ
ほむら「……おはよう、さやか」
106: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:53:55.73ID:bj3NgqhQ0
さやか「……おはよ」
ほむら「学校、始まっちゃうわよ。行きましょう」
さやか「……」チラッ
まどか「……」
さやか「そーだね、行こっか」
―――――
―――――
ットトト
ツーッ...
ガヤガヤ
まどか「(……混沌って、こんなことを言うのかな)」
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:55:25.16ID:fE9jUFeB0
マミさんに影響されて混沌とか言い始めたじゃないか
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:57:50.80ID:gThRf8ve0
ほむほむにも嫌われた?
112: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:00:40.79ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」
トサッ
まどか「……?」
マミ「こんなところにいたのね、鹿目さん」
まどか「……マミさん」
マミ「サボり癖はよくないわね、私も言えないけど。でも流石に学校を離れたことはないわ」
まどか「どうして」
マミ「キュゥべえがね、新しい魔法少女を探してる途中たまたまあなたのことを見つけたみたいで私に知らせてきたの」
まどか「……そっか」
マミ「ま、でも、教室でどこかの誰かと話してるよりここで一人いてもらうほうが私としては嬉しいわね」
まどか「……ほんとに?」
マミ「え?……えぇ、本当」
まどか「それなら、ねえマミさん……」
グッ
マミ「ちょ、ちょっと……?どうしたの、鹿目さん……?」
113: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:02:06.93ID:bj3NgqhQ0
まどか「私を抱いてよ。もう何もわからないくらい滅茶苦茶にして、壊して、全部無くなるくらいにさ」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:13:03.05ID:REm2q9BB0
このまどかはどうしてここまでマミさんを慕うのか・・・
支援
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:16:44.57ID:bj3NgqhQ0
マミ「……鹿目、さん?」
まどか「出来ないわけないよね?マミさん。好きなんでしょ?私のこと」
ググッ
マミ「……ちょっ、と!」
まどか「マミさん……私、もうどうすればいいかわからないよ」
まどか「このままどうにかなっちゃいそうなの」
まどか「……だからねえマミさん。その前に私を無茶苦茶にしちゃってよ」
マミ「……」
ドンッ
まどか「……マミ、さん」
121: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:21:08.22ID:bj3NgqhQ0
マミ「……鹿目さん」
まどか「どうして……」
マミ「――ごめん、なさい」
まどか「マミさ……」
マミ「私、学校に戻るわ……」
バッ
マミ「……ごめんね」
トトト...
まどか「……」
まどか「……私は」
QB「……」ストッ、
まどか「キュゥべえ……」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:21:43.77ID:V7TWsVl60
肝心なところでヘタれるとか・・・
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:28:52.49ID:FGo8SRn70
マミさんヘタレすぎワロタ
127: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:31:31.95ID:bj3NgqhQ0
QB「……マミはだいぶ混乱してるみたいだったね」
まどか「見てたの?」
QB「物陰からこっそりね」
まどか「……趣味悪いよ」
QB「そうかな」
まどか「そうだよ」
まどか「……ねえ、私。……無茶苦茶にして欲しいんじゃなくって、無茶苦茶にしたかったのかな、マミさんを」
QB「それはどういう意味でだい?性的なこと?それとも精神的な面かな?」
まどか「……キュゥべえは、けじめってどういうことだと思う?」
QB「マミに対して、それとも暁美ほむらに対してのけじめ、どっちだい?」
まどか「……わかんないよ」
QB「どちらにせよ、気持ち的なことじゃないのかな、君の。いいや、君たちの、と言ったほうがいいかもね」
QB「……それでまどか。君はもうすぐ僕と契約してくれるんじゃないのかな?」キュッ
まどか「……わかんない、よ」
128: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:38:45.50ID:bj3NgqhQ0
QB「君もマミももう後戻りできない場所に来てしまってる。僕にはそう見えるな
今まで自分自身に隠してきたことが露わになってきてる、それをもう隠し通せやしないよ」
QB「きっと、暁美ほむらも、ね」
◆
マミ「……」
ガチャッ
まどか「行ってきま……す」
QB「珍しいお出迎えだね、まどか」
まどか「……おはようございます、マミさん」
129: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:46:54.92ID:bj3NgqhQ0
マミ「……おはよう」
まどか「……」
まどか「どうしたんですか、急に?」
マミ「鹿目さん……私」
まどか「昨日のことなら気にしないで下さい、私、どうかしてただけで……」
マミ「私も……少し驚いただけなの」
まどか「わかってます」ニコッ
マミ「……」
マミ「そう」
まどか「それより早く学校、行かなきゃ」
マミ「……鹿目さんは、ずっと私の側にいてくれるのよね」
132: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:59:52.75ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」ビクッ
マミ「だって、いつもそう言ってくれてたもの」
まどか「……マミさん」
マミ「……突然いなくなっちゃうようなこと、しないわよね」
まどか「……」
マミ「私を独りになんかしない、そうでしょう?まどか」
まどか「……マミさん、私はまだ」
マミ「ねえ、一緒にいてくれるわよね?まどか……」
QB「やれやれ、まるで昨日とは逆の立場じゃないか」
133: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:03:03.74ID:bj3NgqhQ0
まどか「……マミさん、ごめん私」
さやか「……」
ザッ
まどか「!」
ほむら「……」チラッ
さやか「何してんの、暁美さん?早く行くよ」
ほむら「……えぇ」ホムホム、
まどか「あ、……ほむらちゃ」
マミ「」
137:訂正 ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:14:37.77ID:bj3NgqhQ0
ドッ
まどか「……マミ、さん……?」
マミ「私、嘘吐きは嫌いなの。大嫌い」
まどか「……頭が……」
まどか「(真っ白に――私、何で)」
QB「マミ、どうかしてるよ。よりによってまどかを気絶させちゃうなんてさ」
マミ「……いいのよ、これで。いいの」
マミ「だって、鹿目さんは」
「 」バッ
―――――
―――――
138: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:18:03.77ID:bj3NgqhQ0
トン、トン、トン、
とん、とん、とん...
まどか「(そうだ、私……)」
マミ「おはよう、鹿目さん。気分はどうかしら」
まどか「……マミさん、ここは」
マミ「……もういっそ独りになるくらいなら」
まどか「……え?」
マミ「何度もそう思ったわ」
とん...
マミ「けど……それじゃあいけない気がするの、鹿目さん」
そっ...
まどか「……マミさんの手、真っ赤だよ」
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:20:22.92ID:agkFw7X1O
ついに流血沙汰か…
141: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:27:15.13ID:bj3NgqhQ0
マミ「誰を傷付けたらいいのか、それさえもわからないけど」
まどか「……この場所のこと、誰か知ってるの?」
マミ「ふふっ、どうかしらね……」
とん...
マミ「私、どう足掻いたって何をしたって……ねえ見て、鹿目さん。このソウルジェム。真っ黒でしょう?」
まどか「……うん」
マミ「これが今の私なの。……もう、戻れないの」
まどか「マミさん、ごめん……」
マミ「どうしてあなたが謝るの……?」
ツーッ...
まどか「マミさんの血、生暖かい」
マミ「……まだ生きてるから」
まどか「マミさん、私どうすればいいのかな」
142: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:33:06.68ID:bj3NgqhQ0
マミ「……さあ」
まどか「……疲れ切った顔してるよ、マミさん」
マミ「そうね、欲なんて、持つものじゃないわ」
まどか「……ねえマミさん」
ガリッ
まどか「っ」
まどか「……いいんだよ、私」
マミ「……っでも」
まどか「大丈夫だよ、だってもう、私だって戻れないんだから」
まどか「(頭が朦朧としてる……もう、何もかもどうでもいいって……そう思っちゃう)」
143: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:34:49.75ID:bj3NgqhQ0
ガタッ
「まどか……?」
145: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:40:52.37ID:bj3NgqhQ0
マミ「……」
まどか「……ほむら、ちゃん」
マミ「暁美さん、あなた」
ほむら「……」ハア、ハア
ガッ
マミ「!」
ほむら「……巴マミ、どうしてまどかを――!」
マミ「……ちゃんとわかってくれたのね、嬉しいわ」
まどか「マミ、さん……?」
ほむら「目の前であからさまにまどかに危害を加えてるところを見たら誰だって何かあると思って追いかけるわ」
マミ「それが鹿目さんだったからじゃなくって?」
ほむら「……巴マミ。答えなさい。どうしてまどかをこんな場所に連れてきて……今、何をしようとしていたの」
まどか「ほむらちゃん……」
マミ「殺そうと、していたのかも――心中とでもいうのかしらね」
ほむら「!」
149: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:51:02.35ID:bj3NgqhQ0
シュッ
ほむら「巴マミ――ッ」ギリッ
マミ「……」
マミ「……何かしら?」
ほむら「……っ」ダッ
まどか「ほ、ほむらちゃ……マミさんも、な、なんで!?」
QB「これがマミの望んでいた結末で、君の望んでいた結末でもあるんじゃないかな
だって君は、本当にマミが君を殺すと思ったかい?君は本当に殺されてもいいと思ったかい?
暁美ほむらのことを……心の奥底では後悔していたんだろう?鹿目まどか」
まどか「……キュゥべえ」
QB「最後の最後――誰もが許される未来というのは君の選択次第だけどね」
151: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:57:53.66ID:bj3NgqhQ0
◇
黄色いマミのリボンが、ほむらの疾走に僅かに靡く。
スカートを翻し、マミはマスケット銃を取り出すと間合いを詰めてくるほむらに
銃身をたたきつけた。
「――っ!」
吹き飛ばされるほむらの身体にさらに一発、二発――
力なんて抜かない。寧ろ、もっともっと力を込めて……。
返り血を浴びながら、マミは何度も何度もそれを振り下ろす。
殺してやりたい。それとは反対に、終わらせて欲しい。
自分の中で対極の想いがひしめいているのを感じる。
そのすぐ横で、まどかが泣きそうな目でこちらを見詰めている。
それがわかった。そしてすぐに罪悪感へと変わっていく。
その一瞬の隙をついて、ほむらが飛び上がった。
「くっ……!」
足蹴り。
まさか誰かに腹を蹴られるとは思わなかった。銃を握りなおすと、マミは間を図った。
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:05:12.87ID:bj3NgqhQ0
「……随分と手荒いのね」
「これが私の戦い方よ」
頭部から流血しながらほむらは、そう言って皮肉気に笑った。
胸のリボンに手をかける。
――捕らえた、はずだった。
その場にほむらの姿はない。
変わりに、後ろにその存在を感じた。
「!?」
ガッ
先ほどのマミと同じく、ほむらが重い銃身をマミの背中に振り下ろす。
一瞬意識が飛ぶほどの痛み。
それでもすぐに立ち直ると、次の一撃を振り払う。
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:40:54.30ID:bj3NgqhQ0
ほむらの手首がへし折れるくらいに堅い金属が音を立てて当たった。
一瞬、怯んでしまったのがいけなかった。
ほむらは痛みを物ともせずにマミに食いかかる。
「巴マミ――」
激しい憎しみの色が窺える。
覚束無い足元はやはりそのまま。しかし瞳を異様にぎらつかせ、マミを睨みつけるほむらに――
マミは、気持ちが昂ぶるのを感じた。
―――――
―――――
「ねえ、まどか」
「君は自分がどうして何をされてもマミに付き従っていたのか、わかるかい?」
「どうして君が、暁美ほむらに対しての自分の気持ちを知ろうとしなかったのか」
「何も怖くなんてないのにね」
「君たち人間の価値観は――いや、君たちの世界は、まったくわけがわからないよ」
「どうして自分の気持ちに嘘を吐いてまで、自分をこの世界から守ろうとするんだい?」
―――――
―――――
168: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 19:49:01.72ID:bj3NgqhQ0
私がマミさんと“そういう関係”になったのは、そもそもほむらちゃんと出会ってからで。
私はずっと恐かった。
私は何の取り柄もない人間で、だからこそ誰かから強く強く必要とされたくて。
魔法少女という存在が、その思いをさらに加速させた。
そして自分がそんな存在になれるかも知れないと、それがただ純粋に嬉しかった。
そんなときにずっと独りだったマミさんが「一緒にいてほしい」
そう言ってくれたのだ。
本当は、もうそのときから私の気持ちは違う場所にあった。きっとマミさんも。
奇妙な背徳感が、誰に対してでもなく自分に対しての罪悪感が、だけど私たちを勘違いさせていただけで。
マミさんは日に日に強く強く私を束縛するようになっていた。
私はそれが気持ちよかった。
単なるマゾではなく、痛みを感じることで必要とされているのだと感じて。
何より、世界の理から外れているとわかっていてやめられない私自身がそれで許される気がして。
170: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 19:55:37.32ID:bj3NgqhQ0
今となってはただ、受け入れてくれる人が欲しかっただけなのだと思う。
自分の不条理な行き場のない気持ちを、誰かに。
女の子を好きになってしまった自分を、それでいいと受け入れて欲しかった。
ほむらちゃんに対しての想いを、私はがむしゃらにマミさんにぶつけていただけだった。
本当は許されるどころか、だから私はますますマミさんを苦しめていただけだった。
マミさんの微妙なバランスを支えているのは私だと自負していた。
けれど私だってマミさんを自分の逃げ口にしていたのだ。
拒絶されるはずなんてない。
そう思ってしまっている自分がいた。
だから「私を抱いてよ。もう何もわからないくらい滅茶苦茶にして、壊して、全部無くなるくらいにさ」
あんな言葉を平気で言えてしまったのだ。
あの言葉が、マミさんの心のバランスを崩してしまった。
171: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 19:56:49.05ID:bj3NgqhQ0
銃声が、まるで遠くの出来事のように時間をかけて私の耳に飛び込んでくる。
なのに、赤い血はやけに鮮明。
キュゥべえの白い尻尾がゆらゆらと蠢く。
173: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:11:06.87ID:bj3NgqhQ0
もともと私たちの「好き」は違っていたのだ。
ただの独占欲。
ソウルジェムが真っ黒に穢れてしまうくらいの。
いつかマミさんが言っていた。
「私たち、許されちゃいけないのよ」
正義感の強いマミさんは、私が虐げられて許されると感じたように、私を虐げることで
自分も傷付き、許されないのだと自分に刻み込んでいた。
私にも、それがわかっていた。
それでも離れられなかったのは。
ただマミさんも私も、世界が恐かっただけなのだ。世界が、独りが恐かった。
どうして普通の友達として一緒にいられなかったのだろう。
どうしてこんな歪んだ関係から始めてしまったのだろう。
私が――マミさんを、ほむらちゃんまでも巻き込んで――最悪の場所へと連れて来てしまった。
終着点がどこかもわからずに私は突き進んでしまった。償いきれないくらいの、罪の意識。
本当の気持ちにちゃんと向き合えなかった、自分自身に対しての。
今マミさんはどういう想いでこの場所にほむらちゃんを誘い、戦っているのか。
どうしたいのか、どうされたいのか。わからない。
「まどか、僕と契約するかい?」
――だけど。
静かなキュゥべえの声がした。
いつのまにか手が震えていたことに気付く。
174: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:14:32.37ID:bj3NgqhQ0
「この戦いを見届けたいわけじゃないんだろう?」
「君は、暁美ほむらを助けたい――そう願っているはずだ」
だけど私は。
パパが言ったように、「けじめ」をつけなきゃいけない。
「……契約したら、でも皆が許される未来には、ならないよね」
「……まどか」
すう。
大きく息を吸う。
「私が自分の言葉で伝えなきゃ、きっと二人とも救えないから」
奇跡や魔法の力じゃなく。
自分の声で。
175: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:18:36.94ID:bj3NgqhQ0
―――――
―――――
キーンッ
痺れるような手の痛みがほむらの手から力を奪った。
カチャリと音がして、黒光りする銃が固いコンクリートの上に落とされる。
ぺたり。
同時に足からも力が抜け、ほむらはその場に座り込んだ。
スッ
額にマミの持つマスケット銃の銃口がつきつけられる。
じっと。
ほむらは見上げる。
静かなほむらの瞳とは対照的に、マミの目は虚ろに熱っぽい。
ガッ
引き金にかかった指に力が込められる。
「暁美さん」
助けて。
そんな声が聞こえた気がした。
ほむらは硬直したまま、しかし、掠れた声で呟いた。「あなたを許さない」
その瞬間、マミは表情を崩した。安心しきったような、そんな顔。
引き金が引かれる――
177: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:19:23.75ID:bj3NgqhQ0
―――――
―――――
◇
まどか「好きだよ、ほむらちゃん」
180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:27:14.74ID:vHqap3sW0
な、なんだってー!?
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:27:43.57ID:3AbE6PMy0
まさかの告白キタ
184: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:38:00.64ID:bj3NgqhQ0
パンッ
ほむら「……まどか?」
マミ「鹿目さん……」
QB「(大きく逸れた銃弾が僕に当たったんだけど)」
ほむら「まどか……なんで、どうして……?」
まどか「……だからごめん、マミさん」
マミ「……」
まどか「もう、自分を責めなくていいんだよ」
スッ
ぺたっ
マミ「……」
まどか「マミさん、もう終わりにしよう、こんなの」
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:39:21.83ID:3AbE6PMy0
QBざまぁww
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:40:01.29ID:tItletek0
この空気を和ませるために体張るQBさんマジパネェっす
189: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:49:00.81ID:bj3NgqhQ0
マミ「……っ鹿目さん……!でも私」
まどか「独りじゃないです、マミさんは」
QB「……」カミカミ
まどか「――私だって、独りじゃなかったの」
ほむら「……まどか」
まどか「ほむらちゃんや、さやかちゃんや、皆がいてくれたんだよね。なのに、どうして独りが恐いなんて
思っちゃったのかな。……どうして、ほむらちゃんが好きだって、気付けなかったのかな……」
まどか「どうして、今更……っ!みんなを傷つけてから、マミさんも、さやかちゃんも、パパもママも!
ほむらちゃんだって……!みんなを傷つけちゃっただけで……!私は……っ!」
ほむら「……まどか」
ギュッ
193: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:59:27.29ID:bj3NgqhQ0
まどか「!」
マミ「……」
ほむら「……今更でもいい。まどかが私のことを好きだって言ってくれる。それだけで嬉しいの」
まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「確かに、泣きそうになったり……死にたくなったりしたときもあったけど」
まどか「……っ」
ほむら「私」
グッ
ほむら「私、まどかに大嫌いだって言われたこと、忘れないわ」
まどか「……うん」
ほむら「巴マミのことだって」
マミ「……!」
ほむら「忘れたりしない。ずっとずっと覚えてる――ずっと、許さない」
まどか「……」コクッ
QB「……」カプハム
195: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 21:07:17.95ID:bj3NgqhQ0
ほむら「だけど」
ほむら「さやかも、志筑仁美も、皆――あなたたちのことが大好きな、あなたたちが大好きな人皆、
側にいるわ。ずっとずっと、その記憶がなくなるまで側にいる。決して離れたりしない」
ほむら「……もう一度、一からやり直さなくったっていい」
QB「(僕の新しい身体のようにね)」ハムハム
ほむら「許せないくらいに――大好きだから」
終わり
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:09:08.55ID:bj3NgqhQ0
なぜこうなった、というのは自分でもよく
とりあえず三日間にわたり支援してくださった方、最後まで見てくださった方、
本当にありがとうございました!
意味のわからないラストだったと思いますが解説は入れないことにします、それでは
203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:12:54.83ID:f9s57ZquP
イマイチすっきりしないが乙
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:15:21.43ID:gThRf8ve0
マミさんのソウルジェムおわた?
207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:30:58.30ID:6/j0zPtI0
乙です!
後日談書いてもいいんだよ?
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:06:15.83ID:f9YOh6840
ぜひ後日談を
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:45:00.03ID:gThRf8ve0
マ ぱ お
ミ い _ っ
し ,_ ┌ヘ /´ ̄ -─-_っ..∧\ お
お ゃ l\ \ / /l /´~ , ヽ \ヽj│ っ
っ ん \\ヾ/ソl l .∥ l l ヾ\」 ヾ, お 《ぱ
ぱ の /´´ `ヽ/ l l │ ./l. ,, l i ヽ,ヽ\ヾ ぱ
い っ ./ /ヽi\.り / . /,ノ.l 丿 ヽi iヽ l ヾ´ ̄\ い
っ .ノ/ / .│i\ │i∟/-i り /1/\i , l ヽ ヾゝ
´ ソ彡 ノヽヽ i //彡ヾi / ノミ\l丿 /.l .\\
お / /│ j ヽヽ l l . /《 {}││/ i {} l\》 丿│ ∧ヽ
っ / /ノj /ソ人ヘl l丶ヽ´ . !し丿 ´ i 亅 ソ ノ│. │j│
ぱ / / /l // ノ/ ノ ( {丶ゝヽ丶=┘ ヽ ヽ彡 //丿ヽ l
い ´ ´ ノ/ / │ 丶↓ │∪ ´ヽ│1\l !
ヽ ´/ / ! │l i .l 厂 ~ ⌒ ) ∪/ │j`ヽ,
( / ! \ .└ , く i j~ ソ, / . ∧l
) ´ /\ヽ/, Uソ∟┐ 丿l l l
( { \∟_人ヽ] \ ! ノ ! /^ヘ
{ _ )⊆⊇⊆〉 」⊃ア / ┐´⊃「^ヽ
. L , 〈丿 AヽヽifP / / [ ノ ノJ`‐`
/ヾ \」/ ]⊃ L∩ヨ# │/
│ \ /ヨ# {_) - 」 ヨ# ゝノ
│ \ ヨ# { /ヽ__ヨ#/
∠ \_ヨ#_ ヽ
/\\~ /
/ \\ /
ほむら「……え?」
まどか「だから向こう行ってよ、お願いだから!」
ほむら「まどか……」
まどか「一緒にいたら、おかしくなっちゃいそうなんだもん……!」
ほむら「……ごめん、ごめんね、まどか」
がちゃっ
たたた...
ばたん
まどか「……あ、ほむらちゃ」
まどか「……」
魔法少女かずみ☆マギカ ~The innocent malice~
4: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:07:17.21ID:bj3NgqhQ0
次の日
まどか「……おはよう、さやかちゃん、仁美ちゃん」
仁美「おはようございますわ、まどかさん」
さやか「おはよ、まどか。どうしたの?」
まどか「えっ?……ううん、なんでもないよ?」
さやか「……ふーん?」
仁美「二人とも、早く!学校遅れちゃいますわっ」
さやか「うわっと!まどか、仁美、走るよ!」
まどか「う、うん……!」
教室
がらっ
まどか「……」きょろきょろ
まどか「(……まだ、来てない)」ほっ
5: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:07:54.82ID:bj3NgqhQ0
まどか「(……って私、別にほむらちゃんの姿探さなくても)」
がらり、
まどか「!」ビクッ
ほむら「……まどか」ジッ
まどか「……」フイッ
ほむら「……っ」
トトト...
さやか「どうしたの?まさか転校生と喧嘩?だから朝から……」ヒョコッ
まどか「違うよ」
さやか「えっと」
まどか「私がほむらちゃんを一方的に避けてるだけ。喧嘩なんて絶対違う、私はほむらちゃんのことなんて気にもしてないんだから」
さやか「……気にもして無いって、あんた」
6: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:08:48.51ID:bj3NgqhQ0
まどか「さやかちゃん、授業始まるよ」
さやか「……何強情張ってんだか」
まどか「そんなんじゃないよ」
さやか「はいはい、じゃーね」ヒラッ
まどか「……うん」
がらっ
早乙女「はーい、授業はじめまーす」
――――― ――
昼休み
マミ「……それで、とうとう暁美さんに大嫌い、って」
まどか「……うん」コクッ
マミ「ふふっ、偉かったわねえ」
ぐいっ
まどか「!」
まどか「マミさん……ここ、学校。皆見てるよ」
マミ「赤くなっちゃって。可愛い子」
7: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:10:15.27ID:bj3NgqhQ0
まどか「……もう」
マミ「拗ねた顔も可愛いわ、けど浮かない顔はあんまり好きじゃないわね」
まどか「……え?」
マミ「暁美さんをこれ以上あなたに近付けさせないように、そのためにあなたに『大嫌い』って
言わせたのよ?なのにそんなあなたが傷付いたような顔をしてる、それが私は悲しくて仕方ないわ」
まどか「そんな顔……」
グリッ
まどか「!」
マミ「どうしてかしらねえ?あなたはちゃんと、私の目を見て、言ったのに。
ほむらちゃんなんてどうでもいいですって。誓ったでしょう?そうでしょう?」
まどか「……っ、マミさん、痛いよ……」
マミ「答えなさい――まどか?」
まどか「!」ドキッ
8: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:11:38.00ID:bj3NgqhQ0
まどか「私、は……ほむらちゃんのことなんて、どうでもいい。今でも、そう、思ってる……っ」
マミ「……いい子ね」クスッ
すっ...
まどか「……」ホッ
マミ「これからもそうよね?ずーっと。あなたはずーっと私の側にいてくれる」
まどか「……はい、マミさん」
マミ「汚い虫がついたら私がすぐに払いのけてあげる、だから安心して、鹿目さん」
まどか「……うん」
マミ「その代わり、あなただってそれ相応の努力はしてもらわなきゃいけないの。わかるでしょ?」
まどか「…………うん」
マミ「暁美さんの心を、プライドを、ずたずたにしてやりなさい」にこっ
まどか「……マミ、さん」
マミ「出来ないわけないわよね?だって、あなたは」
まどか「……はい、出来ます、やり、ます」
9: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:14:12.78ID:bj3NgqhQ0
マミ「それでこそ私の大事な鹿目さん」
ギュッ
まどか「……はい」
◆
ガヤガヤ
さやか「あっ、まどか!やっと帰ってきた!」
まどか「ごめんね、マミさんと話しこんじゃって……」
さやか「ったく、最近よくマミさんと一緒にいるよねえ、まどか」
まどか「……うん、まあ」
さやか「まさか魔法少女の秘密特訓!?」
まどか「ち、違うよ!?」
11: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:15:01.88ID:bj3NgqhQ0
さやか「ま、いいや。次の時間、美術だよ?早く行こっ」
まどか「あ……そっか!」
さやか「待っててやったんだからさ、ほら、急げ!」
まどか「ごめんねさやかちゃん!」
キーンコーンカーンコーン
美術室
先生「では授業を」
まどか「(はあ、間に合った……)」
ほむら「……」チラッ
まどか「(……ほむらちゃん)」
先生「今日の課題は『友達の顔』です」
まどか「!?」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:17:49.33ID:bj3NgqhQ0
先生「大切な友達の顔をお互いに描いてみましょう。はい、スタート」
まどか「さ、さやかちゃ」
がたっ
さやか「あー、ごめんまどか。あたし、仁美と組むから」
仁美「ごめんなさい、まどかさん」
まどか「えっ」
さやか「転校生、一人ぽつんと残ってまどかのほう見てるじゃん?」コソコソ
まどか「でも私……」
さやか「喧嘩してんなら仲直りのチャンスでしょ、ほらっ」
とんっ
まどか「さやかちゃ……」
まどか「(さやかちゃんのお節介……!)」
ととと、
ほむら「……まどか」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:18:34.51ID:bj3NgqhQ0
まどか「……っ」
まどか「あなたとは書きたくないけど、でも、仕方ないから……」
ほむら「……えぇ、それでもいいわ」パアッ
まどか「(……どうしてそんな顔するの?私、あんなに酷い事言ったのに……)」
ほむら「……それじゃあ私、ここに座って書くから」
まどか「だめ!」
ほむら「え?」ホムッ、
まどか「私の席の近くには座らないで、汚い」
ほむら「……わかったわ」
まどか「ほむらちゃんはその端に座ってよ、あんまり近付いてこないでね」
ほむら「……まどか」
まどか「嫌なら他の人に頼んだら?頼む人がいるならの話だけど」
ほむら「……いいえ、いいわ」フルフル
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:20:25.86ID:bj3NgqhQ0
まどか「……そ」
ほむら「……えぇ」
まどか「……それじゃあ私ここで書くから」
ほむら「……」コクッ
まどか「……っ」
まどか「動かないで!」
ほむら「えっ」
まどか「動いたらもうずっと口利かないから」
ほむら「……」
まどか「(……なんでそんなふうに泣きそうな顔して私を見るの?おかしいよ……)」
カキカキ
まどか「……」
ほむら「……」
17: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:23:14.87ID:bj3NgqhQ0
まどか「ほむらちゃん、書かないの?先生に怒られちゃうよ。あ、でも動いちゃ絶交だもんね、
そんなに私と仲良くしてたいの、ほむらちゃん?よくそんなことできるよねえ、おっかしー」
ほむら「……」グッ
まどか「……あ、動いた」
ほむら「!」
まどか「仕方無いなあ、もう一度チャンスをあげる。変顔してずっとそのまま止まっててよ。それで許してあげる」
ほむら「……」
19: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:23:42.06ID:bj3NgqhQ0
まどか「やらないの?」
ほむら「……やるわ」
スッ
まどか「そんなの全然変顔じゃないよ」
ほむら「……こう?」
まどか「違う」
ほむら「……これは」
まどか「ぷっ、ほむらちゃん変すぎるありえない」アハハ
ざわざわ
ほむら「皆、見てる……」
まどか「でも動いたりやめたりしたらもう喋んないよ」
ほむら「……っ」
23: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:26:10.53ID:bj3NgqhQ0
まどか「……泣きたかったら泣けばいいよ、もう喋らないだけだから」
ほむら「……」
まどか「そんな目したってそんな顔じゃ恐くないよ」
ほむら「……まどか」
まどか「気安く私の名前、呼ばないで欲しいな」
ほむら「」
先生「鹿目さん、あなた」
まどか「私が先に暁美さんの絵を仕上げようと思ってるんです、暁美さんはその後に」
先生「そ、そうなの?」
まどか「はい」ニッコリ
ざわざわ
まどか「だから皆も気にしなくていいよ!ほむらちゃんの珍しい変顔見たかったら見ててもいいけど!」
ほむら「……そんな」
さやか「」じっ
さやか「(……まどか、転校生――なんなのよこれ)」
24: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:27:20.61ID:bj3NgqhQ0
数十分後
先生「はーい、では描けた人、前に提出してー。画き掛けの人も……」
まどか「ほむらちゃん、お疲れ様」
ほむら「……え、えぇ」
まどか「どうしたの?顔の筋肉が強張って動かないとか?」
ほむら「!」
まどか「いいじゃん、そのままで。ほむらちゃんにはお似合いだもん」
ほむら「……」
まどか「それで、どうするのかな、ほむらちゃん?絵。全然描けてないよね?」
ほむら「いいえ、描けてるわ」
まどか「えっ……?」ぞくっ
まどか「な、なんで?いつ描けるの?そんなの絶対おかし……」
ほむら「これ」
すっ
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:29:44.69ID:bj3NgqhQ0
まどか「……私?」
ほむら「……」コクッ
ほむら「まどか……鹿目さんの、デッサン」
まどか「……」
まどか「何で泣きそうな顔してるの?私が?……おかしいよ、変だよ」
ほむら「まどか……」
まどか「……」
びりっ
ほむら「!」
26: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:30:11.19ID:bj3NgqhQ0
まどか「……おかしいよ、こんなの」
ほむら「……」
先生「ちょっと、鹿目さん……それは暁美さんの」
まどか「おかしいよ、おかしいよ、……こんなのっ!」
さやか「ちょ、まどか……っ」ガタッ
ガシッ
ほむら「!?」
まどか「……大嫌いなんだから」
...ドンッ!
ほむら「まど……」フラッ
27: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:30:55.11ID:bj3NgqhQ0
さやか「転校生!あぶな……っ!」
先生「鹿目さんっ、あなたやっぱり!」
まどか「大嫌い大嫌い大嫌いっ!」
キーンコーンカーンコーン
まどか「(叫ぶたびに嫌な気持ちになる自分自身も、ほむらちゃんも皆大嫌いっ!)」
がらっ
ダッ
先生「鹿目さん!待ちなさい、鹿目さん!」
―――――
―――――
まどか「……はあ、はあ」
まどか「私、なんてこと」
まどか「(ほむらちゃんを突き飛ばしたすぐ後ろに花瓶があったのに。さやかちゃんが
ほむらちゃんを受け止めなきゃ、きっと大変なことになってた……)」
ガクガク...
そっ、
28: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:32:36.36ID:bj3NgqhQ0
まどか「!?」ビクッ
マミ「あら、驚かせちゃった?」
まどか「マミ……さん」
マミ「何をそんなに震えているの?」ギュッ
まどか「私……ほむらちゃんを突き飛ばして、それで」
マミ「えぇ、いいじゃない。よく出来たわ」ニコッ
ナデ、
まどか「マミさん……もっと。もっと撫でて」
マミ「珍しいわね。そんなに気が動転しているの?」
まどか「わからない……わからないよ……だから、私は間違ってないって、おかしくないって、そう思わせて」
マミ「……」クスッ
マミ「えぇ、いいわよ。ただし」
まどか「マミさっ……」
マミ「暁美さんのことを考えなかったら、ね?」
29: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:37:26.26ID:bj3NgqhQ0
まどか「……考えてない」
マミ「いい子ね、まどか?素直な子は大好き。嘘を吐く子は大嫌い。知ってるでしょ?
ほら、身体はこんなにも震えてる――」
まどか「……っ」
キーンコーンカーンコーン...
マミ「……今日は許してあげる」
まどか「……マミさ」
マミ「ただ、忘れないでね。嘘吐きにはお仕置きよ。ふふっ……」
トトト...
まどか「……」
32:◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:40:35.46ID:bj3NgqhQ0
◆
知久「……まどか、正直に言ってごらん。どうして友達を突き飛ばしたりしたんだい?」
まどか「……ごめんなさい、パパ」
がちゃっ
絢子「まどか!」
まどか「あ、ママ……」
知久「おかえり」
絢子「おい、まどか、どういうことだよ、なあ?お前が学校で暴動事件起こしたって聞いて驚いて……」
まどか「……」
知久「六時間目が始まる前に、担任の先生から電話があって。ママにも電話したんだよ」
絢子「お前は親に心配かけるような奴じゃなかったのか……?誰かに手をあげるような真似するような奴じゃないだろ?」
まどか「……ごめんなさい」
絢子「相手の子は」
知久「大して怪我はなかったみたいだよ。それに、私が悪いんですの一点張りだそうだ」
まどか「……ほむらちゃん」グッ
絢子「ほむらちゃん?それってお前がよく最近話してた、あのほむらちゃんなのか?」
33: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:41:10.26ID:bj3NgqhQ0
まどか「……うん」
絢子「それなら何でよけいそんなことっ!喧嘩でもしたのか!?」
まどか「……違うよ」
絢子「友達だったんだろ!?つい最近まで大事な友達だって、そう言ってたじゃないか!」
知久「ママ、落ち着いて……」
絢子「……悪い」
知久「水」
絢子「ありがと……」ゴクゴクッ
トンッ
絢子「なあ、まどか?」
まどか「……なんかじゃない」
絢子「え?」
まどか「ほむらちゃんは、友達なんかじゃないっ!」
絢子「……お前」
37: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:44:12.29ID:bj3NgqhQ0
まどか「……そんなんじゃないんだよ、違うの、ほむらちゃんは……!」
絢子「じゃあなんで」
まどか「もう放っといてよ!」
絢子「……え?」
知久「まどか……」
タツヤ「うわあああああああああああああああああん」
38: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:44:35.31ID:bj3NgqhQ0
まどか「……タツヤが泣いてるよ、行って来なよ」
絢子「まどか……」
まどか「私だってもう、子どもじゃないの。だからもう、お願いだから放っておいて!」
ガチャッ
タタタッ...
絢子「まどか……っ」
知久「……今はそっとしておいてやろう」
絢子「……なあ、気が付いてたか?」
知久「……」
絢子「まどか……、ほむらちゃんの名前呼ぶとき、いつも優しそうな顔、するんだ。
まるで恋してるみたいにさ。――なのに……あんなふうに優しいまどかが言えるはず、ないんだよ」
知久「……うん、そうだね」
知久「……あの子は、僕たちの知らないうちに大人になっていく」
絢子「それがいいのか悪いのか、わかんないよ畜生……」
40: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:46:23.24ID:bj3NgqhQ0
◆
次の日
仁美「……まどかさん、昨日は大丈夫でした?」
まどか「あ、仁美ちゃん……おはよ」
仁美「おはようございます」
まどか「……さやかちゃんは」
仁美「先に行かれましたわ」
まどか「……そっか。仁美ちゃんは、さ。昨日の私、どう思った……かな」
仁美「……」
仁美「きっとクラス中、昨日のことばかりが話題に上ってますわ。下手したら、校内全域で」
まどか「うん」
仁美「私は何があってもまどかさんのお友達はやめませんわ、けれど……ごめんなさい、今はまだ、
私の中でも気持ちの整理がついてませんから……」
だっ
まどか「あ、仁美……ちゃん」
41: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:48:59.09ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」
トッ...
マミ「……おはよう、鹿目さん」
まどか「!」
まどか「マミ、さん」
マミ「浮かない顔してるわね?何かあったの?今さっき、お友達が先に走って行っちゃったみたいだけど」
まどか「……へへっ、置いていかれちゃいました」
マミ「……」
マミ「そ」
まどか「……はい」コクッ
マミ「なら、ますます嬉しいことね。今日は美樹さんもいないみたいだし」
まどか「……軽蔑、されちゃったのかも」
42: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:49:55.90ID:bj3NgqhQ0
マミ「ふーん」
まどか「……」
キュッ
まどか「!」
マミ「……なら人前だとかそんなことも気にしなくていいわよね?大丈夫よ、鹿目さん。
味方全部がいなくなったって、私がずーっと一緒にいてあげる――」
まどか「……っ」
マミ「もしあなたが本当に独りぼっちになってしまったのなら……どうしてかしら、凄く嬉しいわ」
まどか「……え?」
マミ「邪魔な奴なんて誰もいない、あなたは私だけのものなんだものね」クスッ
まどか「……マミさんだけの」ギュッ
教室
ガラッ
まどか「……」
ざわざわ
43: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:52:26.15ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」ガタッ
トスッ
まどか「(皆、私を見てる……嫌な感じ)」
まどか「(……ほむらちゃん、来なきゃいいのに)」キョロ
パッ
まどか「!」
ほむら「……」フッ
まどか「(……きてた、んだ)」
44: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:56:04.27ID:bj3NgqhQ0
カタッ
まどか「……あ、さやかちゃ」
さやか「……」チラッ
さやか「あんたがそんな奴だとは思わなかった」ボソッ
まどか「っ」
さやか「暁美さん」
ほむら「!?」ホムッ
ほむら「美樹、さやか……」
さやか「さやかでいいよ。フルネームなんて面倒臭いじゃん?」
まどか「……」
まどか「(そうだ、これでいいんだよ、ね。ほむらちゃんがさやかちゃんと仲良くなれば
私が嫌な気分になることもないはずなんだし……マミさんだって、きっと喜んでくれる)」
45: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:56:28.21ID:bj3NgqhQ0
――――― ――
マミ「……ふーん?いいんじゃないの、それで。誰かを気にすることなく一緒に昼休みを過ごせるんだし」
まどか「……ですよね」
マミ「そのわりに空元気に見えるのは気のせいなのかしら」
まどか「……」
マミ「何度も言ってるけれど別に私はあなたを傷付けたいわけじゃ無いの、わかるでしょう?
あなたが大切で、大切で、大好きだから――そんな顔されちゃ、私も悲しくなってくるわ」
ソッ...
まどか「(……痛い)」ズキッ
まどか「……してませんよ」ニコッ
マミ「……鹿目さん?」
まどか「してません、だって私は、マミさんが一番なんだから」
マミ「……そうね、そうよね。私ったら何を言ってるのかしら」
まどか「マミさん以外の人なんて、もういりません」
マミ「まどか……」
46: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:57:21.40ID:bj3NgqhQ0
まどか「(……だからもう、誰も傷付いたような顔、しなくていい――
ほむらちゃんも、私自身も、マミさんだって、皆皆、それで幸せなんだから……)」
まどか「(……この気持ちは、嘘じゃない)」
◆
帰り道
まどか「……」
QB「やあ、まどか」
まどか「……!吃驚した、突然出てくるんだもん……」
QB「今日はマミやさやかたちと一緒じゃないのかい?」
まどか「……マミさんは、魔女を探しに行ってるよ」
QB「ついていかなかったの?」
まどか「来ちゃだめって、そう言われちゃった」
QB「……ふーん、珍しいね、マミがそんなこと言うなんて」
まどか「うん……きっとまた私、マミさんを傷つけちゃったんだよ」
QB「マミのプライドを、かい?」
まどか「……マミさんの心」
47: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:58:02.26ID:bj3NgqhQ0
QB「僕にはよくわからないな、その心、っていうのが。どっちにしたって、マミのはプライドと同じようなものだろ?」
まどか「うん、そうかもしれないね……でも、そうじゃなくって」
QB「……だから君はマミに服従にもとれる行動をしているのかい?」
まどか「違うよ。私がマミさんのこと、好きだから」
QB「その好きの意味はどっちの意味なんだろうね?」
まどか「……え?」
QB「僕らには感じ取れないものだけれど……君は自分の気持ちを偽ってるんじゃないのかい?」
まどか「……どうしてママもパパも、キュゥべえだって同じことを言うんだろう」
QB「君がそんな目をしているからじゃないかな――きっと、マミもわかってる」
まどか「……違う、よ」
トッ、
まどか「!」バッ
ほむら「……」
まどか「ほむら、ちゃん……」
48: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:58:28.26ID:bj3NgqhQ0
ほむら「まどか……少しだけ、いい?」
まどか「……え?」
ほむら「少しだけでいい、一緒に歩かせて欲しいの」
まどか「……なんで」
ほむら「――私の、けじめ」
まどか「……」
ほむら「あなたが私のことを嫌いでも、大嫌いでも……それでも私は、あなたのことを大切だと思ってる」
QB「やれやれ、どうするんだい?まどか」
まどか「……どうしてそこまで」
ほむら「私にもわからないわ。ただ……お願い、まどか」
まどか「……」コクッ
ほむら「ありがとう」
まどか「……ただ、あんまり近付かないで」
49: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:58:47.70ID:bj3NgqhQ0
ほむら「……えぇ。あなたの隣を歩けるだけで嬉しいから」
まどか「……」
まどか「(なんでそんなこと言うのかなあ、ほむらちゃん……ずるいよ、こんなのって)」
QB「いいのかい?まどか。マミが怒るんじゃないのかな」
まどか「……うん、でも」
ほむら「……巴マミ?」
まどか「あっ、えっと……」
ほむら「……」
まどか「……私とマミさん、付き合ってるんだよ」ニコッ
ほむら「!」
ほむら「……まどか」
50: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:59:13.23ID:bj3NgqhQ0
:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2011/04/29(金) 20:05:38.32 ID:Ku6smlTK0
まどか「……へへっ、女同士で気持ち悪い、なんて思っちゃった?」
ほむら「私は……」
まどか「思ったよね、だって、私だってそうおもうもん、汚いし、そんなのおかしいよね」
ほむら「……」
まどか「気持ち悪いよね」
51: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 14:59:40.99ID:bj3NgqhQ0
まどか「(……どうして私は。ほむらちゃんの泣きそうな顔を見て、こんなにも胸が痛くなるんだろう。どうして)」
ほむら「……」
まどか「わかってるよ、私。なのにね、やめられないんだ。だって私、マミさんのこと大好きだから」
ほむら「っ……もういい、まどか……」
まどか「私って最低だよね、でも……でもね?好きなの……好きだから」
まどか「(私は、誰に対して言ってるんだろう、誰に好きって……)」
ほむら「まどか……もう、いい。ごめんね、まどか……ごめん、なさい」
まどか「……」
ほむら「ただ最後に、もう一度聞かせて?……私に対しての、気持ち」
まどか「……ほむらちゃんに対しての、気持ち?」
マミ『 』
まどか「っ!」
52: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:00:14.36ID:bj3NgqhQ0
まどか「……嫌いだよ。大嫌い」
54: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:02:12.81ID:bj3NgqhQ0
ほむら「……」
ほむら「ありがとう、まどか」
スッ、
まどか「!待って」
ピタッ
まどか「ほむらちゃん、前に言ったよね?」
ほむら「……え?」
まどか「私の優しさが、誰かを傷つけてるかも知れないって」
ほむら「……それが」
まどか「私は全然優しく無いよ。だって、その優しさに何か見返りを求めてる。そんなの優しさじゃないよ。
私はね、ほむらちゃん。自分の一番最低なところばかりで人を傷付けてる、一番最低な人間なの」
ほむら「……まどか」
まどか「見返りなんていらないのに……でも、恐いの。突き放されることが、恐い。だから」
まどか「――ごめんね」
56: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:02:55.73ID:bj3NgqhQ0
―――――
―――――
QB「……いいのかい、まどか」
まどか「……うん。いいの」
QB「――もしかして、知ってたのかな?僕を通してマミがまどかの様子を見ていること」
まどか「知らなかったよ」
QB「じゃあなんで。本当にマミに突き放されるのが恐いのかい?」
まどか「……それもあるよ。だって、あんなにも私を必要としてくれる人なんて――いないよ」
QB「……それを聞いたらきっとマミは喜ぶだろうね」
まどか「……うん。でもね、一番は……私、逃げちゃっただけなの。自分の気持ちをちゃんと確かめることから」
QB「まどか」
まどか「……こういうとき、私はどうすればいいのかなあ。キュゥべえと契約でもしちゃえば
いっそ楽になれるのかなあ……」
QB「……君がそういう願い事をすればね」
57: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:03:32.05ID:bj3NgqhQ0
マミ「だめよ、そんなこと言っちゃ」
まどか「!マミさん……っ」がばっ
マミ「……こんな暗いところで、しかもこんな土手で寝転がっちゃって」
パンパンッ
まどか「へへっ……ありがと。――待ってたの、マミさんを」
マミ「……嬉しいこと言ってくれるのね」クスッ
QB「さっきもっと君が喜びそうなことをまどかが口にしたけどね」
マミ「あら、聞いてみたいわね」
まどか「いいよもう……帰ろう」
マミ「ねえ、鹿目さん」
ガシッ
まどか「……どうしたの?マミさん」
マミ「いっそ、暁美さんを殺しちゃえればいいのに」
59: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:04:30.62ID:bj3NgqhQ0
まどか「……マミさん」
まどか「(……手、震えてる)」
マミ「なんて……もし私がそう言ったら、あなたはどうする?」
まどか「……」
マミ「もし私が、暁美さんをこの手で殺して……。もしそうしたら、あなたは」
まどか「……マミさんが望んだことなら、それでもいい」
マミ「……そう」
まどか「……マミさんが傷付くことは、私も傷付くことだから。マミさんが傷付かないって言うなら、
私も傷付かないよ。マミさんがそれを本当に望むなら――」
61: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:05:24.28ID:bj3NgqhQ0
マミ「……その割には」
まどか「……」
マミ「……何でもないわ」
キュッ
マミ「……今日は少しおかしいのよ、きっと。あなたが似合わない言葉なんて言うから」
まどか「……へへっ。私も思い出したら照れちゃいます」
マミ「……この手が離れないように、しっかり繋いでおくのは私の役目なの。だから、そのためには何でもするわ、まどか」
まどか「……うん、知ってる」
マミ「……ならいいの」
QB「やれやれ。マミは本当に不器用だね、愛情を伝えることに関してさ」
マミ「うるさいわね」
まどか「キュゥべえだってそうでしょ?」
QB「僕は感情なんてものは持ち合わせてないって知ってるだろう?」
まどか「本当は持ってたりして」
62: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:06:12.97ID:bj3NgqhQ0
QB「……まどか。吹っ切れでもしたのかな?」
まどか「……わからないよ」
マミ「吹っ切れたも何も、私が他の人を見ることなんて許さないもの。そうでしょ?鹿目さん」
ズッ...
まどか「(……私は今日、マミさんじゃなくってこの痛みを待ってたのかな)」
まどか「……うん、そうだよ」
◆
次の日、教室
ガラッ
まどか「……」
仁美「あ、まどかさん」タタタッ
まどか「仁美ちゃん……」
仁美「今日も先に行ってしまってごめんなさい」
まどか「ううん、大丈夫」
仁美「……さやかさんが、あんな奴ほっとけって」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:08:19.81ID:bj3NgqhQ0
まどか「……だろうなあ。今はいいの?さやかちゃん」
仁美「えぇ、今はいないので。朝早くに来て、暁美さんを連れてどこか行っちゃいましたわ」
まどか「え?」
仁美「珍しい組み合わせって言っちゃなんですけど……本当に珍しいですわね、
さやかさん、あまり転校生さんのこと興味なかったみたいなのに……」
まどか「う、うん……そうだね」
仁美「あっ、私、暁美さんの話はしないほうが……」
まどか「あのことはもう、忘れて仁美ちゃん」
仁美「……頭、冷えましたのね」
まどか「……そんな感じかな、ごめんね?」
仁美「いつものまどかさんに戻られて嬉しいですわ」
まどか「うん……さやかちゃんとほむらちゃん、仲良くなれるよね、きっと」
仁美「まどかさん、あなたはいいんですの?ちゃんと暁美さんと仲直りしなくて」
64: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:09:08.66ID:bj3NgqhQ0
まどか「仲直りも何も――ないから」
仁美「……そう。いいんですのね?」
まどか「……」
仁美「そろそろチャイム、鳴りますわ。それではまた」
まどか「……うん、ごめんね仁美ちゃん」
――――― ――
昼休み
ガチャッ
マミ「……あら」
まどか「マミさん」
マミ「今日は早かったのね、屋上に来るの」
66: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:11:30.12ID:bj3NgqhQ0
まどか「早くマミさんに会いたくなっただけ」
トスッ
マミ「……そう?」
まどか「私お腹空いちゃった」
マミ「そうね、私もさっき体育だったから疲れちゃったわ」
まどか「マミさんの走る姿見たかったなあ、今の時期体育祭の練習でしょ?」
マミ「えぇ、でも私、リレーの選手じゃないもの」
QB「マミは走るのそんなに速くないからね」
まどか「キュゥべえ!」
QB『どうしたんだい、マミ?暁美ほむらのことはもういいの?』
68: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:13:53.95ID:bj3NgqhQ0
マミ『あなたにそんなこと心配されたくないんだけど。それとも私、そこまで重症かしら?』
QB『どうだかね』
マミ「さ、キュゥべえのことは放っておいて食べましょうか」
まどか「え?いいの?」
マミ「いいわよ、お腹減ったんでしょ?」
まどか「うん、そうだね」
QB「……それじゃあ僕はここにいておこうかな」
QB『いつまどかが契約という言葉を口にしてもいいように』
マミ『……どういう意味?』
QB『そういう意味だよ、マミ。君がいつ――』
ブツッ
マミ「……」
QB「やれやれ……」
69: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:14:45.53ID:bj3NgqhQ0
まどか「どうしたの?マミさ……」
ガチャッ
さやか「でさー」
トトト、
さやか「仁美の奴……暁美さん?」
ほむら「……」
まどか「あ……」
さやか「まどか……それにマミさんも」
マミ「あら、珍しいわね」
さやか「マミさん、どうしてまどかなんかと……」
マミ「そういうあなただってどうして暁美さんと?美樹さん」
さやか「まどかがこの子に何したか知ってんの?」
マミ「大したことはないわよね?」
さやか「なっ……」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:18:07.93ID:HuJkQQUi0
さやかじゃ無理だ!杏子呼んでこい!!
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:19:01.84ID:gThRf8ve0
マミさんとあんこのぼっち同士でくっつけばいいと思う
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:22:42.62ID:HuJkQQUi0
>>71
マミと杏子ちゃんじゃぼっちの質がちげえんだよ
マミは学校に通ってるのにぼっち、杏子ちゃんが学校に来たらすぐに友達いっぱい、いい子だから
73: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:19:43.28ID:bj3NgqhQ0
ほむら「……」
マミ「何かしら、暁美さん」ニコッ
ほむら「……いいえ、何でもないわ。さやか、違う場所で食べましょう」
さやか「け、けどさ……」
ほむら「さやか、お願い」
まどか「」ギリッ
まどか「……ほむらちゃ」
さやか「……わかった、暁美さんがそう言うなら」
ガチャッ
マミ「……」
ガリッ
まどか「っ!」
マミ「……今、呼び止めようとしたわね?」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:21:17.93ID:lilRlO7b0
ヤンデレかわいい
76: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:22:30.10ID:bj3NgqhQ0
まどか「……してないよ」
マミ「嘘吐きは嫌いって、そう言ったでしょ」
まどか「……ごめんなさい」
マミ「……あなたが離れないように、手を繋いで引き止めるのは私の役目」
まどか「……はい」
マミ「でも、あなたが離れるわけないもの、そう思ってたわ。間違いだったのかしら」
まどか「……違うよ、マミさん」
マミ「……鹿目さん。最近、そんな顔してばっかりね」
スッ
マミ「知ってた?昨日だってずっと」
QB「……」ムクッ、
80:◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:25:54.36ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」
マミ「……だから嫌いなのよ」ボソッ
まどか「……えっ?」
マミ「――鹿目さん」
まどか「……えっと」
マミ「痛めつけても、何をしてもだめなのなら、私はどうすればいいのかしら」
まどか「……マミさ」
マミ「……人の気持ちが、まったくわからない。人類全員がいっそキュゥべえのように感情がなかったら、
こんなことにはならなかったのにね、まどか――」
まどか「……」
マミ「次にあなたが暁美さんの名前を呼んだら……私、きっと我慢できないわ」
まどか「……それって」
マミ「……勝てるも勝てないも、そんなのわからないけれど」
マミ「殺しちゃうんでしょうね、たぶん」
81: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:28:00.19ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」ゾクッ
QB「さて、と。……もう一眠りかな、僕は」
マミ「……えぇ、そうね。一生眠ってなさい」
QB「それは無理だね、マミ」
まどか「マミさん……」
マミ「――あなたのこと、それくらい好きだって」
まどか「……」
マミ「そう言えば、わかってくれる?」
まどか「……」
まどか「……い、言ったでしょ?マミさん。私、は……マミさんが本当に望むことなら、いいって」
マミ「……そう、だったわね」クスッ
84: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:30:43.01ID:bj3NgqhQ0
――――― ――
まどか「……ねえ、キュゥべえ」
QB「なんだい、まどか。もしかして今更マミの言葉、思い出して怖くなってるの?」
まどか「そういうわけじゃないよ……だけど」
QB「僕はいつでも準備は出来てるよ、まどか」
まどか「……」
まどか「うん……」
QB「魔法少女は、どんな願いでも叶えられるからね」
QB「ただ、それがまどかの本当の願いじゃなかったとしてもね」
まどか「……」
QB「待ってるからね」キュッ
89: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:39:19.72ID:bj3NgqhQ0
夜
まどか「ただいま」
ガチャッ
知久「お帰り」
タツヤ「おかーりーっ」
まどか「……パパ、どうしたの?」
知久「今日が何の日か、覚えてないの?」
まどか「……え?」
タツヤ「まーまぁっ」
まどか「――あ」
絢子「よお、遅かったな。お帰りまどか」
まどか「……ママの誕生日?」
91: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:43:10.48ID:bj3NgqhQ0
絢子「疑問系かよお」ばたっ
知久「ほら、まどかも早く靴脱いで」
まどか「う、うん……ママ、早速酔っちゃってるね」
知久「最近はいつもこうだよ。……色々あったからね」
まどか「……」ピクッ
知久「まどか」
タツヤ「ぱーぱぁ、はりゃへったー」
知久「こーら、腹減ったなんて言葉使っちゃだめだろー。ほら、行こうか」
タツヤ「わーっ」
ととと...
まどか「……」
まどか「ママ、起きて。パパの美味しい料理、冷めちゃうよ」
絢子「……まどかあっ、引っ張ってくれえ……」
まどか「仕方無いなあもう……」ぐいっ
まどか「重っ」
92: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 15:50:22.29ID:bj3NgqhQ0
――――― ――
数時間後
知久「タツヤ、寝かしつけてきたよ」
絢子「んー……」
知久「ママもベッドに運んだ方が良さそうかな」
まどか「……ははっ、どうだろ。でも寝ちゃってるね、完全に」
絢子「うぅ……頭いてえ」
知久「夢の中でもまだお酒飲んでるみたいだね」
まどか「本当だ」
知久「まどかも明日学校なんだし、そろそろ寝て……」
絢子「なあ、まどか……」
まどか「ママ?」
絢子「そりゃああれだよ、あんたもさあ、もう中学生で、親に話せないようなこと……沢山あるだろうけどさあ……。
でもやっぱり頼って欲しいっていうか……あたし、なんてだめ親なんだろうなあ、ほんと……」
知久「……絢子」
95:◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:10:40.10ID:bj3NgqhQ0
まどか「……私、もう部屋に」
グイッ
絢子「まどか……」
まどか「……ママ」
絢子「何があったかなんて、そんなのわかんないけど……もし誰かと喧嘩か何かして、それで辛い思いしてるんならさあ、
諦めも肝心だって、だからあたしも子どもの成長だって思って諦めたいのになあ、どうしても無理なんだよあたし……
親にとっちゃ子どもはいつでも子どもなんだしさ……それは変わらないんだよ……」
まどか「……ママっ」
知久「まどか。いいから。ママの言葉、しっかり心に刻み込みなさい」
まどか「パパ」
知久「……これだけママも、パパだってタツヤだって、まどかのことを心配してるんだ」
まどか「……こんなに泥酔しちゃって」
知久「それはいつものことだけどね。でも、夢の中でもまどかはママに向き合ってる。
まどかはどうだい?……最近、ママや僕の目を見てくれなくなった。僕たちは、まどかにもちゃんと向き合って欲しいんだ」
96: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:14:52.64ID:bj3NgqhQ0
まどか「……いいよもう」
知久「まどか……」
まどか「そういうのはもう、いい。言ったでしょ?放っておいてって」
知久「……なら、ちゃんとけじめをつけるんだね」
まどか「けじめ?」
知久「そう、けじめ。まどかが喧嘩した相手と」
まどか「喧嘩じゃないってば」
知久「じゃあそういうことにしておこうか。――まどかが突き飛ばしてしまった相手とも、
誰かはわからないけれどまどかを苦しめてる人とも。まどか自身がけじめをつけなきゃいけない」
まどか「……なんなの、それ」
知久「さあ、明日も早いんだ。そろそろ寝ようか。ママは僕が運んでおくよ」
知久「お休み、まどか」
まどか「……お休み、なさい」
97: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:18:11.36ID:bj3NgqhQ0
◆
まどか「(……昨日、よく眠れなかったなあ)」ゴシゴシ
まどか「(ママは私が起きたときはもう家出て行っちゃってたしパパも何も言わなかった)」
まどか「……」
マドマドマド...
さやか「おはよ、まどか」
ピタッ
まどか「……さやかちゃん」
99: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:22:00.05ID:bj3NgqhQ0
さやか「一緒、いい?」
まどか「……う、うん」キョロッ
さやか「誰探してんの?」
まどか「えと……仁美ちゃん、は?」
さやか「最近ばらばらだったからさ。昨日何も言わなかったから先行ってるんだと思う」
まどか「そっか……」
さやか「うん」
まどか「……」
さやか「まどかさあ。……転校生のこと、本当はどう思ってんの?」
100: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:26:15.23ID:bj3NgqhQ0
まどか「……どうしちゃったの、急に」
さやか「……あたし、どうしても許せなかったんだよ。優しいまどかがさ、突然あんなことして」
まどか「それって、表面上だけだよ。さやかちゃんはそこしか見てなかった」
まどか「(……やだな私。昨日からずっと苛々しちゃってる)」
さやか「……っ」
まどか「……ごめ」
さやか「確かにそう。そこは謝る」
まどか「えっ?」
さやか「だから謝るってば。一人で勝手に怒ってあんたを避けてたこと」
まどか「……いいよもう」
さやか「でもさ。やっぱ信じられなかったっていうか。明らか無理してる感じだったから、お互い」
102: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:31:05.61ID:bj3NgqhQ0
まどか「ううん、そんなことない」
さやか「だって、人に平気で大嫌いとかさ、言えないじゃん。たぶん、流石のあたしでも言えないよ。
だから……昨日、仁美に言われちゃったよ。『上条くんと何かあったんじゃありませんの』って」
まどか「……どうしてそこに上条くんが?」
さやか「あたしさ、ちょっと色々あって恭介と喧嘩しちゃったんだよね。だからあんたと転校生見てて
歯痒くってさ。しかも転校生の萎れ方があたしと一緒なの。で、ついつい気に掛かっちゃって」
まどか「……ほむらちゃ」
マミ『次にあなたが暁美さんの名前を呼んだら……私、きっと我慢できないわね』
まどか「あの子はいい子だよ。さやかちゃんともきっと仲良くなれると思う」
103: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:36:40.73ID:bj3NgqhQ0
さやか「だと良かったけどな。あいつ、まどか以外誰とも絡む気なさそうだし。
あたしじゃ所詮友達にもなれないっていうかさあ……暁美さん、ずっとあんたのこと見てたよ」
まどか「……」
さやか「なんだかんだいって、あたしもやっぱ暁美さんのこと気になるしさ……
あんたさえいつものまどかに戻ってくれればそれでオールオッケーなわけで」
まどか「……気持ち悪いよ」
さやか「!?」
まどか「ほむら……転校生さん」
さやか「あんた……」
まどか「人の事じろじろ見るなんて、だって気持ち悪いよね。さやかちゃんもそう思わない?」
さやか「……っあんた、一体誰に何言われて……あたしや仁美には話せないこと?」
まどか「違うよ。私の本心」
さやか「だってそんなの……!」
まどか「これが私なんだもんっ!」
さやか「まどか……」
104: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:44:32.19ID:bj3NgqhQ0
まどか「さやかちゃんが友達になりたいんなら勝手にすればいい。だけど、私は」
まどか「(何言ってるんだろう、私……もう頭の中がぐちゃぐちゃだよ。どうしたいのかもわからない……)」
さやか「……」
スッ
まどか「私」
バシンッ!
まどか「……!」
さやか「……」キッ
まどか「さやか、ちゃん……」
さやか「あんたが本当にそんな奴だとは思わなかった」
まどか「……っ」
105: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:49:05.66ID:bj3NgqhQ0
さやか「あたしってさ、ほんとバカだよ」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「あんたを信じてた私って、ほんっとバカ」
ストンッ
まどか「う……っ」
ット...
まどか「」ハッ
バッ
ほむら「……」
まどか「……」
さやか「暁美さん……」
ほむら「……」ジッ
フイッ
ほむら「……おはよう、さやか」
106: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 16:53:55.73ID:bj3NgqhQ0
さやか「……おはよ」
ほむら「学校、始まっちゃうわよ。行きましょう」
さやか「……」チラッ
まどか「……」
さやか「そーだね、行こっか」
―――――
―――――
ットトト
ツーッ...
ガヤガヤ
まどか「(……混沌って、こんなことを言うのかな)」
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:55:25.16ID:fE9jUFeB0
マミさんに影響されて混沌とか言い始めたじゃないか
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:57:50.80ID:gThRf8ve0
ほむほむにも嫌われた?
112: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:00:40.79ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」
トサッ
まどか「……?」
マミ「こんなところにいたのね、鹿目さん」
まどか「……マミさん」
マミ「サボり癖はよくないわね、私も言えないけど。でも流石に学校を離れたことはないわ」
まどか「どうして」
マミ「キュゥべえがね、新しい魔法少女を探してる途中たまたまあなたのことを見つけたみたいで私に知らせてきたの」
まどか「……そっか」
マミ「ま、でも、教室でどこかの誰かと話してるよりここで一人いてもらうほうが私としては嬉しいわね」
まどか「……ほんとに?」
マミ「え?……えぇ、本当」
まどか「それなら、ねえマミさん……」
グッ
マミ「ちょ、ちょっと……?どうしたの、鹿目さん……?」
113: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:02:06.93ID:bj3NgqhQ0
まどか「私を抱いてよ。もう何もわからないくらい滅茶苦茶にして、壊して、全部無くなるくらいにさ」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:13:03.05ID:REm2q9BB0
このまどかはどうしてここまでマミさんを慕うのか・・・
支援
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:16:44.57ID:bj3NgqhQ0
マミ「……鹿目、さん?」
まどか「出来ないわけないよね?マミさん。好きなんでしょ?私のこと」
ググッ
マミ「……ちょっ、と!」
まどか「マミさん……私、もうどうすればいいかわからないよ」
まどか「このままどうにかなっちゃいそうなの」
まどか「……だからねえマミさん。その前に私を無茶苦茶にしちゃってよ」
マミ「……」
ドンッ
まどか「……マミ、さん」
121: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:21:08.22ID:bj3NgqhQ0
マミ「……鹿目さん」
まどか「どうして……」
マミ「――ごめん、なさい」
まどか「マミさ……」
マミ「私、学校に戻るわ……」
バッ
マミ「……ごめんね」
トトト...
まどか「……」
まどか「……私は」
QB「……」ストッ、
まどか「キュゥべえ……」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:21:43.77ID:V7TWsVl60
肝心なところでヘタれるとか・・・
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:28:52.49ID:FGo8SRn70
マミさんヘタレすぎワロタ
127: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:31:31.95ID:bj3NgqhQ0
QB「……マミはだいぶ混乱してるみたいだったね」
まどか「見てたの?」
QB「物陰からこっそりね」
まどか「……趣味悪いよ」
QB「そうかな」
まどか「そうだよ」
まどか「……ねえ、私。……無茶苦茶にして欲しいんじゃなくって、無茶苦茶にしたかったのかな、マミさんを」
QB「それはどういう意味でだい?性的なこと?それとも精神的な面かな?」
まどか「……キュゥべえは、けじめってどういうことだと思う?」
QB「マミに対して、それとも暁美ほむらに対してのけじめ、どっちだい?」
まどか「……わかんないよ」
QB「どちらにせよ、気持ち的なことじゃないのかな、君の。いいや、君たちの、と言ったほうがいいかもね」
QB「……それでまどか。君はもうすぐ僕と契約してくれるんじゃないのかな?」キュッ
まどか「……わかんない、よ」
128: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:38:45.50ID:bj3NgqhQ0
QB「君もマミももう後戻りできない場所に来てしまってる。僕にはそう見えるな
今まで自分自身に隠してきたことが露わになってきてる、それをもう隠し通せやしないよ」
QB「きっと、暁美ほむらも、ね」
◆
マミ「……」
ガチャッ
まどか「行ってきま……す」
QB「珍しいお出迎えだね、まどか」
まどか「……おはようございます、マミさん」
129: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:46:54.92ID:bj3NgqhQ0
マミ「……おはよう」
まどか「……」
まどか「どうしたんですか、急に?」
マミ「鹿目さん……私」
まどか「昨日のことなら気にしないで下さい、私、どうかしてただけで……」
マミ「私も……少し驚いただけなの」
まどか「わかってます」ニコッ
マミ「……」
マミ「そう」
まどか「それより早く学校、行かなきゃ」
マミ「……鹿目さんは、ずっと私の側にいてくれるのよね」
132: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 17:59:52.75ID:bj3NgqhQ0
まどか「……」ビクッ
マミ「だって、いつもそう言ってくれてたもの」
まどか「……マミさん」
マミ「……突然いなくなっちゃうようなこと、しないわよね」
まどか「……」
マミ「私を独りになんかしない、そうでしょう?まどか」
まどか「……マミさん、私はまだ」
マミ「ねえ、一緒にいてくれるわよね?まどか……」
QB「やれやれ、まるで昨日とは逆の立場じゃないか」
133: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:03:03.74ID:bj3NgqhQ0
まどか「……マミさん、ごめん私」
さやか「……」
ザッ
まどか「!」
ほむら「……」チラッ
さやか「何してんの、暁美さん?早く行くよ」
ほむら「……えぇ」ホムホム、
まどか「あ、……ほむらちゃ」
マミ「」
137:訂正 ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:14:37.77ID:bj3NgqhQ0
ドッ
まどか「……マミ、さん……?」
マミ「私、嘘吐きは嫌いなの。大嫌い」
まどか「……頭が……」
まどか「(真っ白に――私、何で)」
QB「マミ、どうかしてるよ。よりによってまどかを気絶させちゃうなんてさ」
マミ「……いいのよ、これで。いいの」
マミ「だって、鹿目さんは」
「 」バッ
―――――
―――――
138: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:18:03.77ID:bj3NgqhQ0
トン、トン、トン、
とん、とん、とん...
まどか「(そうだ、私……)」
マミ「おはよう、鹿目さん。気分はどうかしら」
まどか「……マミさん、ここは」
マミ「……もういっそ独りになるくらいなら」
まどか「……え?」
マミ「何度もそう思ったわ」
とん...
マミ「けど……それじゃあいけない気がするの、鹿目さん」
そっ...
まどか「……マミさんの手、真っ赤だよ」
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:20:22.92ID:agkFw7X1O
ついに流血沙汰か…
141: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:27:15.13ID:bj3NgqhQ0
マミ「誰を傷付けたらいいのか、それさえもわからないけど」
まどか「……この場所のこと、誰か知ってるの?」
マミ「ふふっ、どうかしらね……」
とん...
マミ「私、どう足掻いたって何をしたって……ねえ見て、鹿目さん。このソウルジェム。真っ黒でしょう?」
まどか「……うん」
マミ「これが今の私なの。……もう、戻れないの」
まどか「マミさん、ごめん……」
マミ「どうしてあなたが謝るの……?」
ツーッ...
まどか「マミさんの血、生暖かい」
マミ「……まだ生きてるから」
まどか「マミさん、私どうすればいいのかな」
142: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:33:06.68ID:bj3NgqhQ0
マミ「……さあ」
まどか「……疲れ切った顔してるよ、マミさん」
マミ「そうね、欲なんて、持つものじゃないわ」
まどか「……ねえマミさん」
ガリッ
まどか「っ」
まどか「……いいんだよ、私」
マミ「……っでも」
まどか「大丈夫だよ、だってもう、私だって戻れないんだから」
まどか「(頭が朦朧としてる……もう、何もかもどうでもいいって……そう思っちゃう)」
143: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:34:49.75ID:bj3NgqhQ0
ガタッ
「まどか……?」
145: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:40:52.37ID:bj3NgqhQ0
マミ「……」
まどか「……ほむら、ちゃん」
マミ「暁美さん、あなた」
ほむら「……」ハア、ハア
ガッ
マミ「!」
ほむら「……巴マミ、どうしてまどかを――!」
マミ「……ちゃんとわかってくれたのね、嬉しいわ」
まどか「マミ、さん……?」
ほむら「目の前であからさまにまどかに危害を加えてるところを見たら誰だって何かあると思って追いかけるわ」
マミ「それが鹿目さんだったからじゃなくって?」
ほむら「……巴マミ。答えなさい。どうしてまどかをこんな場所に連れてきて……今、何をしようとしていたの」
まどか「ほむらちゃん……」
マミ「殺そうと、していたのかも――心中とでもいうのかしらね」
ほむら「!」
149: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:51:02.35ID:bj3NgqhQ0
シュッ
ほむら「巴マミ――ッ」ギリッ
マミ「……」
マミ「……何かしら?」
ほむら「……っ」ダッ
まどか「ほ、ほむらちゃ……マミさんも、な、なんで!?」
QB「これがマミの望んでいた結末で、君の望んでいた結末でもあるんじゃないかな
だって君は、本当にマミが君を殺すと思ったかい?君は本当に殺されてもいいと思ったかい?
暁美ほむらのことを……心の奥底では後悔していたんだろう?鹿目まどか」
まどか「……キュゥべえ」
QB「最後の最後――誰もが許される未来というのは君の選択次第だけどね」
151: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 18:57:53.66ID:bj3NgqhQ0
◇
黄色いマミのリボンが、ほむらの疾走に僅かに靡く。
スカートを翻し、マミはマスケット銃を取り出すと間合いを詰めてくるほむらに
銃身をたたきつけた。
「――っ!」
吹き飛ばされるほむらの身体にさらに一発、二発――
力なんて抜かない。寧ろ、もっともっと力を込めて……。
返り血を浴びながら、マミは何度も何度もそれを振り下ろす。
殺してやりたい。それとは反対に、終わらせて欲しい。
自分の中で対極の想いがひしめいているのを感じる。
そのすぐ横で、まどかが泣きそうな目でこちらを見詰めている。
それがわかった。そしてすぐに罪悪感へと変わっていく。
その一瞬の隙をついて、ほむらが飛び上がった。
「くっ……!」
足蹴り。
まさか誰かに腹を蹴られるとは思わなかった。銃を握りなおすと、マミは間を図った。
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:05:12.87ID:bj3NgqhQ0
「……随分と手荒いのね」
「これが私の戦い方よ」
頭部から流血しながらほむらは、そう言って皮肉気に笑った。
胸のリボンに手をかける。
――捕らえた、はずだった。
その場にほむらの姿はない。
変わりに、後ろにその存在を感じた。
「!?」
ガッ
先ほどのマミと同じく、ほむらが重い銃身をマミの背中に振り下ろす。
一瞬意識が飛ぶほどの痛み。
それでもすぐに立ち直ると、次の一撃を振り払う。
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:40:54.30ID:bj3NgqhQ0
ほむらの手首がへし折れるくらいに堅い金属が音を立てて当たった。
一瞬、怯んでしまったのがいけなかった。
ほむらは痛みを物ともせずにマミに食いかかる。
「巴マミ――」
激しい憎しみの色が窺える。
覚束無い足元はやはりそのまま。しかし瞳を異様にぎらつかせ、マミを睨みつけるほむらに――
マミは、気持ちが昂ぶるのを感じた。
―――――
―――――
「ねえ、まどか」
「君は自分がどうして何をされてもマミに付き従っていたのか、わかるかい?」
「どうして君が、暁美ほむらに対しての自分の気持ちを知ろうとしなかったのか」
「何も怖くなんてないのにね」
「君たち人間の価値観は――いや、君たちの世界は、まったくわけがわからないよ」
「どうして自分の気持ちに嘘を吐いてまで、自分をこの世界から守ろうとするんだい?」
―――――
―――――
168: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 19:49:01.72ID:bj3NgqhQ0
私がマミさんと“そういう関係”になったのは、そもそもほむらちゃんと出会ってからで。
私はずっと恐かった。
私は何の取り柄もない人間で、だからこそ誰かから強く強く必要とされたくて。
魔法少女という存在が、その思いをさらに加速させた。
そして自分がそんな存在になれるかも知れないと、それがただ純粋に嬉しかった。
そんなときにずっと独りだったマミさんが「一緒にいてほしい」
そう言ってくれたのだ。
本当は、もうそのときから私の気持ちは違う場所にあった。きっとマミさんも。
奇妙な背徳感が、誰に対してでもなく自分に対しての罪悪感が、だけど私たちを勘違いさせていただけで。
マミさんは日に日に強く強く私を束縛するようになっていた。
私はそれが気持ちよかった。
単なるマゾではなく、痛みを感じることで必要とされているのだと感じて。
何より、世界の理から外れているとわかっていてやめられない私自身がそれで許される気がして。
170: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 19:55:37.32ID:bj3NgqhQ0
今となってはただ、受け入れてくれる人が欲しかっただけなのだと思う。
自分の不条理な行き場のない気持ちを、誰かに。
女の子を好きになってしまった自分を、それでいいと受け入れて欲しかった。
ほむらちゃんに対しての想いを、私はがむしゃらにマミさんにぶつけていただけだった。
本当は許されるどころか、だから私はますますマミさんを苦しめていただけだった。
マミさんの微妙なバランスを支えているのは私だと自負していた。
けれど私だってマミさんを自分の逃げ口にしていたのだ。
拒絶されるはずなんてない。
そう思ってしまっている自分がいた。
だから「私を抱いてよ。もう何もわからないくらい滅茶苦茶にして、壊して、全部無くなるくらいにさ」
あんな言葉を平気で言えてしまったのだ。
あの言葉が、マミさんの心のバランスを崩してしまった。
171: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 19:56:49.05ID:bj3NgqhQ0
銃声が、まるで遠くの出来事のように時間をかけて私の耳に飛び込んでくる。
なのに、赤い血はやけに鮮明。
キュゥべえの白い尻尾がゆらゆらと蠢く。
173: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:11:06.87ID:bj3NgqhQ0
もともと私たちの「好き」は違っていたのだ。
ただの独占欲。
ソウルジェムが真っ黒に穢れてしまうくらいの。
いつかマミさんが言っていた。
「私たち、許されちゃいけないのよ」
正義感の強いマミさんは、私が虐げられて許されると感じたように、私を虐げることで
自分も傷付き、許されないのだと自分に刻み込んでいた。
私にも、それがわかっていた。
それでも離れられなかったのは。
ただマミさんも私も、世界が恐かっただけなのだ。世界が、独りが恐かった。
どうして普通の友達として一緒にいられなかったのだろう。
どうしてこんな歪んだ関係から始めてしまったのだろう。
私が――マミさんを、ほむらちゃんまでも巻き込んで――最悪の場所へと連れて来てしまった。
終着点がどこかもわからずに私は突き進んでしまった。償いきれないくらいの、罪の意識。
本当の気持ちにちゃんと向き合えなかった、自分自身に対しての。
今マミさんはどういう想いでこの場所にほむらちゃんを誘い、戦っているのか。
どうしたいのか、どうされたいのか。わからない。
「まどか、僕と契約するかい?」
――だけど。
静かなキュゥべえの声がした。
いつのまにか手が震えていたことに気付く。
174: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:14:32.37ID:bj3NgqhQ0
「この戦いを見届けたいわけじゃないんだろう?」
「君は、暁美ほむらを助けたい――そう願っているはずだ」
だけど私は。
パパが言ったように、「けじめ」をつけなきゃいけない。
「……契約したら、でも皆が許される未来には、ならないよね」
「……まどか」
すう。
大きく息を吸う。
「私が自分の言葉で伝えなきゃ、きっと二人とも救えないから」
奇跡や魔法の力じゃなく。
自分の声で。
175: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:18:36.94ID:bj3NgqhQ0
―――――
―――――
キーンッ
痺れるような手の痛みがほむらの手から力を奪った。
カチャリと音がして、黒光りする銃が固いコンクリートの上に落とされる。
ぺたり。
同時に足からも力が抜け、ほむらはその場に座り込んだ。
スッ
額にマミの持つマスケット銃の銃口がつきつけられる。
じっと。
ほむらは見上げる。
静かなほむらの瞳とは対照的に、マミの目は虚ろに熱っぽい。
ガッ
引き金にかかった指に力が込められる。
「暁美さん」
助けて。
そんな声が聞こえた気がした。
ほむらは硬直したまま、しかし、掠れた声で呟いた。「あなたを許さない」
その瞬間、マミは表情を崩した。安心しきったような、そんな顔。
引き金が引かれる――
177: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:19:23.75ID:bj3NgqhQ0
―――――
―――――
◇
まどか「好きだよ、ほむらちゃん」
180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:27:14.74ID:vHqap3sW0
な、なんだってー!?
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:27:43.57ID:3AbE6PMy0
まさかの告白キタ
184: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:38:00.64ID:bj3NgqhQ0
パンッ
ほむら「……まどか?」
マミ「鹿目さん……」
QB「(大きく逸れた銃弾が僕に当たったんだけど)」
ほむら「まどか……なんで、どうして……?」
まどか「……だからごめん、マミさん」
マミ「……」
まどか「もう、自分を責めなくていいんだよ」
スッ
ぺたっ
マミ「……」
まどか「マミさん、もう終わりにしよう、こんなの」
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:39:21.83ID:3AbE6PMy0
QBざまぁww
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:40:01.29ID:tItletek0
この空気を和ませるために体張るQBさんマジパネェっす
189: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:49:00.81ID:bj3NgqhQ0
マミ「……っ鹿目さん……!でも私」
まどか「独りじゃないです、マミさんは」
QB「……」カミカミ
まどか「――私だって、独りじゃなかったの」
ほむら「……まどか」
まどか「ほむらちゃんや、さやかちゃんや、皆がいてくれたんだよね。なのに、どうして独りが恐いなんて
思っちゃったのかな。……どうして、ほむらちゃんが好きだって、気付けなかったのかな……」
まどか「どうして、今更……っ!みんなを傷つけてから、マミさんも、さやかちゃんも、パパもママも!
ほむらちゃんだって……!みんなを傷つけちゃっただけで……!私は……っ!」
ほむら「……まどか」
ギュッ
193: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 20:59:27.29ID:bj3NgqhQ0
まどか「!」
マミ「……」
ほむら「……今更でもいい。まどかが私のことを好きだって言ってくれる。それだけで嬉しいの」
まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「確かに、泣きそうになったり……死にたくなったりしたときもあったけど」
まどか「……っ」
ほむら「私」
グッ
ほむら「私、まどかに大嫌いだって言われたこと、忘れないわ」
まどか「……うん」
ほむら「巴マミのことだって」
マミ「……!」
ほむら「忘れたりしない。ずっとずっと覚えてる――ずっと、許さない」
まどか「……」コクッ
QB「……」カプハム
195: ◆qE9xJWndOc :2011/04/30(土) 21:07:17.95ID:bj3NgqhQ0
ほむら「だけど」
ほむら「さやかも、志筑仁美も、皆――あなたたちのことが大好きな、あなたたちが大好きな人皆、
側にいるわ。ずっとずっと、その記憶がなくなるまで側にいる。決して離れたりしない」
ほむら「……もう一度、一からやり直さなくったっていい」
QB「(僕の新しい身体のようにね)」ハムハム
ほむら「許せないくらいに――大好きだから」
終わり
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:09:08.55ID:bj3NgqhQ0
なぜこうなった、というのは自分でもよく
とりあえず三日間にわたり支援してくださった方、最後まで見てくださった方、
本当にありがとうございました!
意味のわからないラストだったと思いますが解説は入れないことにします、それでは
203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:12:54.83ID:f9s57ZquP
イマイチすっきりしないが乙
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:15:21.43ID:gThRf8ve0
マミさんのソウルジェムおわた?
207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:30:58.30ID:6/j0zPtI0
乙です!
後日談書いてもいいんだよ?
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:06:15.83ID:f9YOh6840
ぜひ後日談を
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:45:00.03ID:gThRf8ve0
マ ぱ お
ミ い _ っ
し ,_ ┌ヘ /´ ̄ -─-_っ..∧\ お
お ゃ l\ \ / /l /´~ , ヽ \ヽj│ っ
っ ん \\ヾ/ソl l .∥ l l ヾ\」 ヾ, お 《ぱ
ぱ の /´´ `ヽ/ l l │ ./l. ,, l i ヽ,ヽ\ヾ ぱ
い っ ./ /ヽi\.り / . /,ノ.l 丿 ヽi iヽ l ヾ´ ̄\ い
っ .ノ/ / .│i\ │i∟/-i り /1/\i , l ヽ ヾゝ
´ ソ彡 ノヽヽ i //彡ヾi / ノミ\l丿 /.l .\\
お / /│ j ヽヽ l l . /《 {}││/ i {} l\》 丿│ ∧ヽ
っ / /ノj /ソ人ヘl l丶ヽ´ . !し丿 ´ i 亅 ソ ノ│. │j│
ぱ / / /l // ノ/ ノ ( {丶ゝヽ丶=┘ ヽ ヽ彡 //丿ヽ l
い ´ ´ ノ/ / │ 丶↓ │∪ ´ヽ│1\l !
ヽ ´/ / ! │l i .l 厂 ~ ⌒ ) ∪/ │j`ヽ,
( / ! \ .└ , く i j~ ソ, / . ∧l
) ´ /\ヽ/, Uソ∟┐ 丿l l l
( { \∟_人ヽ] \ ! ノ ! /^ヘ
{ _ )⊆⊇⊆〉 」⊃ア / ┐´⊃「^ヽ
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