多くの原発 電源車が出力不足
東京電力の福島第一原子力発電所の事故を受けて、各地の原発では、電源の喪失に備えて新たに電源車などを配備しましたが、NHKの聞き取り調査で、その多くが、原子炉を継続的に冷やして100度未満の安定した状態にするには出力が足りないことが分かりました。
★調査結果もブログに補足しました(4/30)
全国のすべての原発では、福島第一原発の事故のあと、経済産業省の原子力安全・保安院の指示に基づいて、電源車などの移動式の発電機が新たに配備されています。NHKで、東京電力の福島第一・第二原発を除く全国15か所の原発で、電源車などの出力を調べた結果、このうち12か所の原発では、40キロワットから800キロワット程度のものにとどまっていて、原子炉の状態の監視や弁の操作などはできますが、原子炉を継続的に冷やして100度未満の安定した状態にするには出力が足りないことが分かりました。また、残る3つの原発では、3000キロワットを超える電源車を配備していますが、すべての原子炉を同時に冷却できると答えたのは、北海道電力の泊原発だけで、残る2か所ではすべての電源を賄うことはできないとしています。さらに、出力が低い電源車を配備した12か所の原発では、いずれも大型の電源車や発電機を追加で配備する計画ですが、その時期については、関西電力がことし9月までとしているのに対し、九州電力は1年以内、北陸電力は2年以内とするなど、対策のばらつきが浮き彫りになっています。
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各地の原子力発電所 電源対策調査 NHK調べ・4/29現在
●日本原電(東海第二、敦賀)
【配備済み】
東海第二に700kVAを3台
敦賀に220kVAを2台、800kVAを2台
【今後配備】
東海第二に今年11月までに1825kVAを3台
敦賀に来年3月までに1825kVAを4台
●北海道電力(泊)
【配備済み】
3200kVAを1台
【今後配備】
今後2年程度で移動式大型発電機(台数は未定)
●東北電力(女川、東通)
【配備済み】
女川に400kVAを4台、東通に400kVAを3台
【今後配備】
東通に今年9月までに大容量電源装置を1台
女川についても導入予定(時期は未定)
●東京電力(柏崎刈羽)
【配備済み】
4500kVAが1台、500kVAが4台、45~350kVAが5台
【今後配備】
来年3月までに4500kVAガスタービン発電機を1台
●中部電力(浜岡)
【配備済み】
125~300kVAを合計12台
【今後配備】
来年度初めに大容量ガスタービン発電機を3台
●北陸電力(志賀)
【配備済み】
300kVAを合計5台
【今後配備】
2年以内に各号機に4000kVAを1台ずつ
●関西電力(美浜、高浜、大飯)
【配備済み】
各号機に400~800kVAを2台ずつ
【今後配備】
今年9月までに各号機に1800kVAを2台ずつ
※ただし美浜①号機のみ1800kVAを1台
●中国電力(島根)
【配備済み】
各号機に500kVAを1台ずつ
【今後配備】
年内に12000kWガスタービン発電機を2台
●四国電力(伊方)
【配備済み】
4500kVAを1台、各号機に300kVAを1台ずつ、各号機に75kVA1台ずつ
【今後配備】
今年10月末①~②号機に1825kVAに各1台追加
来年4月末までに③号機に1825kVAを2台追加
●九州電力(玄海、川内)
【配備済み】
各号機に500kVA1台ずつ
【今後配備】
1年程度で大容量発電機
投稿者:かぶん | 投稿時間:21:37
| カテゴリ:科学と文化のニュース
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コメント(15)
電源車の出力が不足ですか・・・
理由は色々あるのでしょうが予算面での制約も大きいかも知れませんね
もしかすると私の意見は暴論かも知れませんが
原発に関して可能な限りの安全対策が成し遂げられるまでは
「オール電化割引」を中止すべきかも知れませんね。
電気は照明やパソコン・電車・携帯・テレビなどの電気でなければ
絶対的に困る事にだけ使えば良いのであって一般家庭の暖房や
風呂の湯沸かしに浪費して良いとは私には思えないんですよ
投稿日時:2011年04月30日 06:31 | 現実論
本当の節電を各業界で本気で考えなくてはならないと思います。
おばあちゃんに聞いて昔の人の工夫も取り入れたらどうでしょう?
NHKのお料理の番組でビギナーズ(だった思います)というおばあちゃんの知恵袋的な番組のような・・・
うちのあばあちゃんは昔、お茶の出がらしを部屋に巻いてほうきではいてました。今でも、野菜の皮など生ごみはほしてから捨ててたりします。(わたしはできないのですが・・)
それと、欧米でのキャンドルやランプなどを使った照明などおしゃれで若い人にもアピールできる節電などもいいと思います。
それから、日本が誇る技術で脱原発を目指してほしいです。
電力会社も方向転換できるように政府で考えてほしいです。
投稿日時:2011年04月30日 09:49 | huji
おそろしいことですね。
九州電力さんは事故後、即、原発とめていましたよね?
他の原発も急ぎ停めて、今後の使用に耐えうるかどうか第三者を入れて公開で吟味する必要があるのではないでしょうか。
何かあってからでは遅いというのは福島だけでたくさんです!
投稿日時:2011年04月30日 11:04 | あだじぇっと
御用学者ですら2こどもの年間20ミリシーベルトはヤバいと内閣を投げた件
もっと詳しく報道してください
投稿日時:2011年04月30日 12:07 | 糞人生のネット民
御用学者ですら子供の20ミリシーベルトは論外だと内閣を抜けた件
もっともっと詳しく掘り下げてください
投稿日時:2011年04月30日 12:08 | 糞みたいなネット民
のんびりしすぎだな、各電力会社は。
高出力のガスタービン電源車と予備ポンプを
準備して下さい。
投稿日時:2011年04月30日 13:02 | ままどおる
1か所を除き、NHKの調査したすべての原発に配備されている電源車の電力が、原子炉の継続的冷却には不十分ということが分かったというのは重大な指摘です。この報道がなければ、電力会社はこの見せかけの対策で社会を欺くつもりだったのでしょうか。
十分な地震・津波対策もできていない、電源喪失時の原子炉の継続的冷却の準備もできていないというのであれば、原発の運転を即時停止して、すべての使用済み燃料棒を安全に、継続的に冷却することを始めるしか、選択の余地が無いように私には思えます。
投稿日時:2011年04月30日 13:20 | 安全第一
福島は犠牲になりました。この犠牲を無駄にしてほしくありません。
一刻も早く良心のある判断を政府にお願いします。
原発を止めてください。
投稿日時:2011年04月30日 13:54 | huji
外部電源で冷却する方法もありますが、発電機の出力にダミーロードを接続して冷却する方法も検討しておけば良いと思います。
今回の問題は核分裂停止後の崩壊熱が非常に多く、冷却系統の故障で過熱してしまったという事です。この時点で発生するエネルギー(熱)を十分除去できていません。そこでバックアップのために水の循環冷却とは別系統でこのエネルギーを炉心から取り去る方法を考えます。
原子炉を停止すると発電用タービンを切り離して蒸気を局部で循環して冷却するようですが、タービンを回して発電するとエネルギーが電気として取り去られ、蒸気は冷却します。出てきた電気は抵抗器で原子炉から多少離れた場所で熱に変換して冷やします。
今回は突然の事故でこういった戦略を取れないうちに水素爆発してしまいましたが、現時点で健全な原子炉では今のうちに検討しておくことができると思います。
このようにしておけば、万一崩壊熱冷却系が動作しなくなっても自立冷却が起こり、かなり時間稼ぎができます。
もちろん予備電源の複数系統の確保は最優先課題ですが。
投稿日時:2011年04月30日 15:53 | 窪田敏之
糞みたいなネット民さま
こんな情報が数日流れています。
→福島原発事故共同記者会見にて。
原子力安全委員会が法的根拠もないまま、
適当に選任した成田脩(株式会社ペスコ部長)
本間俊充(独立行政法人日本原子力研究開発機)のたった2名の委員の判断によって、
子どもの年間被曝量20ミリシーベルトが決められていた。
…個人的にペスコにメールを送ってみたのですが、当然ながら無視されました。
このあたりも「かぶん」に真相を探っていただきたいところです。
投稿日時:2011年04月30日 17:05 | 帽子屋あずさ
非常用補助電源(移動電源車)は本当に最後の生命線だ、が今回の事故で鮮明に証明された。
ならば最大の努力を此れに注ぎ込むべきだ、接続プラグの統一、50㌹/60㌹変電車、移動電源車空輸自衛隊ヘリ部隊の設立、などなどすべきことは幾らでもあります。
それよりも此れからは原発に頼らないクリーンエネルギー発電の開発・充実です。
風力、太陽光、波力、潮力、地熱、等々あるがクリーン燃料火力発電が発電容量から一番有望です。
そのクリーン燃料とはOHMASA-GASです。
全国の水力発電所に併設で此の生産工場を建設出来れば無尽蔵にこのクリーン燃料が大型火力発電に使用でき脱原発の最有力になります。
投稿日時:2011年04月30日 19:00 | himajiji(暇爺ィ)
保安院が今後おきる津波地震で冷却電源を喪失した事故に対する訓練を行うといってテレビで大々的に放送したのに実は電力不足とは。どこが絶対安全なのだろう。電源車と発電機と別系統の発電所ができるまでは原発は止めておくべきだ。津波に対して地下に設置した非常用電源が無力な事は三陸沖津波でわかっていたこと。それを見ていながら何も対策をしなかった原発を抱える電力会社は水をかぶっても大丈夫なように電源の位置をかさ上げすべきだ。また使用済み核燃料保存プール内の使用済み燃料は津波でも冷却水が切れない安全な場所に移動しておくべきだ。
投稿日時:2011年04月30日 19:09 | デマをとばすと疑われる人間
ネット上だけでなく、TVでもこのような情報をもっと流してほしいです。
中部大学の武田先生や、小出裕章先生など、現状がどれほど危険であるか、国民はどうやって放射能や内部被爆を防ぐべきかを
ネット上では知ることができますが、ネットを使えない年寄り等は「NHKで安全だっていってるから大丈夫!」などと
本当に政府のいうことやTVで言うことをそのまま信じているのです。
民放TVは全く当てにできないとしても、NHKには中立の立場でいろいろな情報を提供してほしい。
出荷制限の情報にしても検査場のチェックが中途半端なのを知っている人からみれば、風評被害がどうこういう次元ではもはやないのです。
土壌調査も日本のローカルな調査しかなされておらず、最初の時点で地表を広く調査せずにどこまで正確な情報が得られたのでしょうか?
地表を舞っている放射性物質の検査にしても県によっては地表から7mも上の地点だそうで、これでは子どもが吸い込んでしまう放射性物質の判断基準には全く使えません。
いろいろな真実がごまかされたり、隠ぺいされているせいで、不必要に疑心暗鬼になっているのは私だけではないと思います。
どうか、今こそ、NHKが国民のためになる、まともな情報を広く流していただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。
投稿日時:2011年04月30日 19:24 | あ・かずきん
むしろ、ただのクルマに期待していた人が多いことに驚きです。
監視・制御系統の電源を確保するのが主目的だと思ってました。冷温停止までもっていけるクルマがあるとすれば、その事に驚いています。
投稿日時:2011年04月30日 21:35 | いるかちゃん
電源車には期待していたのですが・・・・
残念です。
でも冷静に考えているとポンプ車ってのがないのに気がつきました。
ポンプが水に浸かってしまうと動かないとおもうのですが
その対策ってもうばっちりって事でいいのかな?
何か不安だなぁ・・・
電源車ってのは、青森県の事象で電源喪失によることで通知が出たわけだし、(
4/7の最大余震にともなう東北電力管内の電力供給停止事故)
そもそもの津波対策になっていないような気がします。
また場当たり的に見えるんだが・・・
あと初心者な考えて言わせていただくと、こどもの20msvについてですが、あれは異論がでますよね
甲状腺ホルモンに影響が出るわけだし、第2次成長期までは、1msvにするとかしたらよかったと思う。
という意見が通らなくて・・・参与は辞めたんだっけか
まあ聞く耳のない人には人は集まらないからそのうち丸裸にされるかもね。
(それでは対策を急ぐ以上、困るんだが・・・)
投稿日時:2011年05月01日 12:44 | ヤスちゃん