●上京して立教大学に入学されますよね。大学生活はやっぱり映画漬けですか。 |
いやいや。クラブ活動ではESS(English Studying Society:英語研究部)に入って芝居をやっていました。女の子が200人もいるから楽しいんです。それまでの自分の性格が180度変わりました。太宰とか小説ばっかり読んで近眼で、社交的じゃなかった僕が東京へ出てきて文学部の英米文学科に入ったら、50人中45人が女で、男は5人だけなんです。女子大みたいでした。 |
●それは狙って行ったんじゃないですか(笑) |
ほかに立教よりも平均的にいい大学も受かったんですが、試験の時に見た女の子は上智と立教が圧倒的にかわいかったんです(笑)。 |
●そうだったんですか。それは試験会場でわかったんですか。狙ったんじゃなくて? (笑) |
ホントは、僕の本命は上智の英語学科だったんですが、これだけ落ちたんです。長男が早稲田で、次男が慶応なのでこの2つも受けさせられたんですが、やっぱり女の子の順位でいうと、立教っていうのはすごく頭にあったんです。 |
●じゃあ、大学で180度、人間が変わってしまったと。 |
そうです。僕が2年の時に安保闘争がはじまって、みんなそれに巻き込まれていったんですが、僕は淡々とお芝居作ったり、ESSで英語劇作ったり…ということをやっていました。 |
●ははは(笑) |
自分がこんなにおしゃべりで性格が明るいということは、東京に来てから気づきました。でも最近田舎に帰ると、兄貴とか姉さんたちが声が大きくて陽気なんです。「やっぱりこれは大里の血なんだな」って思います。(笑)。高校生の時はちょっと屈折してて東北ってみんな陰気だと思っていたんですが、声が大きくて陽気なんですよね。 |
●なるほど。 |
それこそ、太宰治が説きはじめた「人間は自らの命を感覚の豊かな時に死ぬべきだ」みたいな論理にハマっていたんですが、大学に来て、人生変わりました。 |
●よかったですね。 |
いや、あの大学に入ってものすごく良かったです。 |
●よっぽど楽しかったんですね。 |
クラブ活動にパーティに合宿に、本当に楽しかったです。 |
●聞いてるだけでうらやましくなります。 |
最初はずっとジャズをやろうと思っていたから同好会じゃなくて学校のクラブの軽音楽部に入ったんです。僕なんかやっと坊主から髪の毛を伸ばし始めて、オリエンテーションで「どこに入ろうかな」って思っていたころです。ESSの女の子がかわいいって気づいたのは後なんです。軽音楽部ってスウィングジャズもあれば、フラダンスもウェスタンもあって、全部一括して軽音楽部ライトミュージックアソシエーションと言ってたんです。一応オーディションに合格してスウィングジャズの方のセクションに配属になったんですが、いきなり上下学ランなんです。しかも1年の時はクラブ活動の規則で坊主なんですよ。2年になるとズボンだけはグレーのズボンをはいていいけど、上は学ランなんです。3年から髪を伸ばしていいんですが、1年2年はだめなんです。立教大学ですよ? |
●ジャズの雰囲気じゃないですよね。 |
ジャズの雰囲気じゃないですよね?何をやるかっていったら、3年4年はみんなバイトでどこかのクラブでやったり、夏にビアガーデンで演奏するんです。僕はドラムだから、3年生のドラムを持って、ボーヤみたいなことをしなきゃならなくて、ドラムを運ぶんです。ローディーマネージャーみたいなもんですね。学ランで汗だくで詰め襟をはずしてもいけないんです。半年で嫌になりました(笑)。今でも覚えていますが、4年生をぶん殴っちゃって、それでやめたんです。 |
●納得いかないですよね。 |
納得いかなかったですね。…なんでこれが東京の大学なんだって。 |
●ライトミュージックっていう名前からもはずれてますよね。 |
体育会系だったんです。規律はすごく強かった。それでもっといいクラブないかなと思ったらESSがあったんです。僕のクラスはみんなESSだったから、僕も引きずられて入っちゃっただけなんですが(笑)。 |