ビンラディン容疑者を殺害…米軍がパキスタンで

国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者（ＡＰ＝共同）

　米ＣＮＮは１日、２００１年９月１１日の米中枢同時テロを首謀した国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が死亡したと伝えた。米軍がパキスタンの首都イスラマバード郊外の住居で殺害し、米政府が遺体を確保、ＤＮＡ鑑定で身元を確認した。国際テロで米欧と近代文明に聖戦を挑み、同時テロで世界情勢を一変させたイスラム過激派の死亡で、同容疑者を最大の標的として米政権が進めてきた「テロとの戦い」は大きく前進した。

　報道を受け、オバマ米大統領が１日夜（日本時間２日午後）にも会見する。

　しかし、ビンラディン容疑者に感化されたアルカイダ系組織は世界に広がっており、テロの活発化などその動向はなお予断を許さない。

　ＣＮＮやＡＰ通信によると、同容疑者は、住居に家族と共に滞在しているところ、地上作戦で殺害された。

　日本人２４人を含む約３０００人が死亡した同時テロ直後、ブッシュ前政権はビンラディン容疑者をテロに関与した最重要人物と断定。当時、同容疑者を保護していたイスラム原理主義のタリバン政権が身柄引き渡しを拒否したため、０１年１０月にアフガニスタン空爆を開始、政権を崩壊させた。０３年には大量破壊兵器保有とアルカイダとの協力関係などを理由にイラクに侵攻、フセイン政権も崩壊させた。

　一方、ビンラディン容疑者はアフガンとパキスタンの国境地帯に潜伏しているとみられていたが、所在はつかめていなかった。米軍などの追跡の一方、中東の衛星テレビ、アルジャジーラなどは、米国への再攻撃の警告や、イスラム教徒に「聖戦」参加を呼び掛ける同容疑者のビデオ声明などをたびたび放映。０４年１０月２９日のビデオでは、同時テロを指示したことを初めて明確に認めた。

　アルカイダのメッセージはまた、インターネットなどを通じて広がり、世界中に点在する「アルカイダ系過激派」のネットワークを生み出した。０２年にはインドネシア・バリ島の爆弾テロ、スペイン史上最悪のテロとなったマドリード列車同時爆破テロ（０４年）、通勤時の地下鉄を狙ったロンドン同時テロ（０５年）などの事件が相次いだ。（共同）

　◆ウサマ・ビンラディン容疑者　０１年９月１１日の米中枢同時テロの最重要容疑者として米国が懸賞金をかけて国際手配したイスラム原理主義者で、多くの国際テロの黒幕とされる。５７年、建設業で成功したサウジアラビアの裕福な家庭に生まれた。同年３月１０日、７月２８日、７月３０日と、生年月日には諸説ある。アフガニスタンに侵攻した旧ソ連軍との戦いに参加。８０年代後半、アフガンを拠点にテロ組織アルカイダを創設。９１年の湾岸戦争で米軍のサウジアラビア駐留を認めたサウジ王室を批判、その後同国籍を剥奪された。９６年からタリバン政権の「賓客」としてアフガンに滞在。９８年のアフリカの米大使館同時爆破事件など多くの対米テロを指揮した疑いが持たれている。４人の妻との間に多数の子供がいるとされる。

（2011年5月2日12時46分スポーツ報知）