多額損失でも大株主に配当金=釜山貯蓄銀(下)
■不正融資を隠すために裏帳簿
モラルハザードは釜山貯蓄銀行にとどまらなかった。営業停止となった貯蓄銀行8行のうち、今年1月に営業停止となった三和貯蓄銀行は、融資関連の書類を二重に作成していたのを金融当局に摘発された。同行は他人名義の融資を隠すため、金融当局に提出する書類には貸出金利、債務者の名義、金額など一般的に記載すべき最低限の内容のみを記載した。これに対し、内部保管用の資料には、実際の借り主、連帯保証人、担保、担保提供者などの裏契約の内容が記されていた。
金融監督院関係者は「三和貯蓄銀は、同一人物に一定金額以上の融資ができないように制限する規定に違反したことを隠すため、二重帳簿を作成していた」と指摘した。2月19日に営業停止となった宝海貯蓄銀行も総額1兆800億ウォン(約820億円)の融資残高のうち、6000億ウォン(約460億円)に上る不正融資を隠すため、二重帳簿を作成しており、検察に摘発された。
■他人名義のプロジェクト融資利用
釜山貯蓄銀の大株主は、貯蓄銀行が直接プロジェクト融資を行えないとする法律の定めに違反し、親せきなどの名義を借り、建設会社を設立する手口で、約100件のプロジェクト融資を行っていた。同行系列の貯蓄銀行(釜山・釜山第2、中央釜山、大田、全州)が大株主が関与したプロジェクト融資事業に融通した資金だけで5兆ウォン(約3800億円)に達する。大株主は名義を貸した見せかけの社長と裏契約を結び、プロジェクト融資による事業で発生した収益を最高で90%吸い上げていたという。大株主は名義を貸した行員の親せきに債務が存在しないことを確認する書類を発行し、口止め料として毎月100万-200万ウォン(約7万6000-15万2000円)を支払っていた。
羅志弘(ナ・ジホン)記者
孫振碩(ソン・ジンソク)記者