2011年5月2日12時20分
米メディアによると、2001年9月に起きた米同時多発テロの首謀者とされる国際テロ組織アルカイダ指導者のオサマ・ビンラディン容疑者が死亡した。オバマ米大統領が1日夜(日本時間2日)に緊急声明を発表する見通し。米CNNによると、米側がパキスタンの首都イスラマバード郊外で殺害し、遺体を収容したとしている。
米同時多発テロの直後、ブッシュ前米大統領はアフガニスタンのタリバーン政権に対し、国内に潜伏しているとされた同容疑者の引き渡しを要求したが、タリバーン側が拒否。これを受けて米英軍はアフガン攻撃に踏み切った。
同容疑者はその後もアフガン東部での度重なる空爆を逃げ延び、アフガンと隣国パキスタンにまたがる山岳地帯に身を潜めてきたとされる。同地域の住民はタリバーンの主要構成民族だったパシュトゥン人で、アルカイダを「神の軍隊」と敬い、排他的な部族社会の中で隠れ家を提供してきたとみられる。情報提供者への報奨金にもかかわらず、米軍の情報収集は困難を極めた。
米当局によると、ビンラディン容疑者は米同時多発テロ事件に主犯として関与した疑いが持たれている。事件は4機の旅客機がハイジャックされ、ニューヨークの世界貿易センタービルに2機、ワシントンの国防総省に1機が突入。ピッツバーグ郊外では1機が墜落した。合計で3千人近くが死亡した。
米当局はテロ実行犯として旅客の中から19人を特定。うち数人をアルカイダのメンバーと確認し、指導者であるビンラディン容疑者を首謀者と認定した。同容疑者は04年10月、中東の衛星テレビが放映したビデオで、米同時多発テロへの関与を初めて認めた。
同容疑者は、サウジアラビアで建設業で財をなした富豪を父に生まれた。ソ連がアフガンに侵攻した1979年以降にイスラム・ゲリラに参加。湾岸戦争でサウジが米軍駐留を認めたことへの反発から反米闘争を始めた。
93年の世界貿易センタービル爆破事件でも資金援助した疑いがあるほか、98年のケニア、タンザニア両国での米大使館爆破テロ事件でも首謀者だったとされている。(ワシントン=望月洋嗣、イスラマバード=五十嵐誠)
中東に駐在し、日々、中東の動きに接する川上編集委員が、めまぐるしく移り変わる中東情勢の複雑な背景を解きほぐし、今後の展望を踏まえつつ解説します。エジプト、リビアの緊急報告も。