太平洋上の電離層の異常が観測されたのは3月5~6日にかけて。調布、春日井(愛知県)、高知の3カ所の受信局で、電波の夜間の平均振幅が極端に短くなるという「明瞭な前兆」(早川氏)が現れていた。
3日後の3月9日午前、M7.3クラスの地震が三陸沖で発生した。「当初はこの地震の前兆だと思った。しかし、(観測から地震発生までの時間が)通常は約1週間なのに3日というのは短く、疑問に思っていた」と早川氏。その2日後の11日に超巨大地震が起きた。
■予知の実現目指す
地震と電離層異常の関係についての研究は阪神・淡路大震災の翌年の1996年から5年間、宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)が実施。早川氏が研究リーダーを務めた。同プロジェクトでは、ギリシャでの地震予知成功で有名になった地電流を観測する「VAN法」も別のグループで研究。早川氏らの試みはこうした研究の蓄積をベースにしている。
早川氏らは予知情報を企業などに有償で提供する会社を設立、近く事業を始める。「予知研究の資金を賄うのが会社設立の目的」(早川氏)だ。内陸型の地震を中心に情報提供を始めるが、今回の経験から、海底を震源とするプレート境界型の地震の予知にも使えると判断。東海・東南海・南海地震の想定震源域をカバーする電波を受信できるよう、三宅島に受信局を近く設ける。
地震の直前予知について多くの地震学者は懐疑的だ。98年に文部省(当時)の測地学審議会は直前予知の困難さを認める報告をまとめている。早川氏は「地震のメカニズム研究と地震予知は全くの別物」と反論。地震学とは一線を画す独自の方法で予知の実現を目指している。
(編集委員 吉川和輝)
早川正士、巨大地震、電気通信大学、地震学、電通、東海地震、マグニチュード、地震予知
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