ここから本文エリア 3班分け・1人だけ…一時帰宅案に異論相次ぐ2011年5月2日 東京電力福島第一原発から20キロ以内の「警戒区域」への住民の一時帰宅について、政府と、関係する9市町村の会議が1日、福島県郡山市であり、政府の提示案に異論が相次いだ。特に、3グループに分けて段階的に帰宅する▽帰宅は1世帯で1人しか認めない、とした点に反対が多く、3日に改めて話し合うことになった。 会議では、一時帰宅する住民が少ない田村市など3市村を第1グループ、大熊町など3町を第2グループ、南相馬市など3市町を第3グループとして、段階的に実施する案に批判が集中。会議に出席した複数の自治体担当者らによると、「3グループ案は差別化につながる。同時並行で進めてほしい」とする意見が相次いで出されたという。出席者の一人は「みな早く戻りたい。公平にやってほしい」と話し、「準備が整った自治体から一時帰宅を実施してもらいたい」と期待をのぞかせた。政府側からは見直す方向で検討するとの回答があったという。 また、「1世帯ごとに1人」についても、「1人では少ない」「重いものが運べない」などと見直しを求める声が上がった。この点に関し、政府側からは、原則1人としながらも、市町村長が安全性などを考慮して認めた場合は2人も容認するという案が示されたという。自治体側からは、これを評価する意見が大半を占めたが、中には「責任を市町村に預けただけだ。結局、我々としては2人の帰宅を認めざるを得ない」と話し、「倍の人数になればバスの台数も事務量も倍増し、一度には戻れないかもしれない」と表情を曇らせる関係者もいた。 このほか、懸案として議題に上がった原発から3キロ以内への一時帰宅について政府側は「原発が安定するまでは困難」と回答。自家用車の持ち出しも、認められないことになったという。 ■計画的避難「9日以降」 東京電力福島第一原発事故で「計画的避難区域」に指定された川俣町山木屋地区(342世帯1190人)で1日、町側の住民向け説明会が始まった。町側は仮設住宅完成までの一次避難先を示すとともに、仮設住宅200戸が6月下旬に完成する見込みだと明らかにした。古川道郎町長は取材に対し「一次避難は早くても連休明けの9日以降になる」との見通しを示した。説明会は計11カ所で3日まで行う。 44世帯が住む乙8区で行われた説明会には43世帯が出席。町側は、乳幼児や妊婦のいる世帯▽小中学生がいる世帯▽高齢者や要介護者がいる家庭、を優先して町が用意した一次避難先に受け入れると説明。町営施設に加え、福島市と二本松市の公共施設や旅館など211カ所、約1104人分を確保。町から1時間以内の場所に避難先を引き続き捜すとしている。 住民からは、避難後に再び地区に戻れる見通しを問う声が相次いだが、明確な返答はなかった。一方で、二人の子をもつ佐藤淑幸さん(32)は「子どもの10年後、20年後が不安。自分は戻ってきたい気持ちはあるが、子どものことを考えると何とも言えない」と複雑な思いを口にした。
マイタウン福島
|
広告終わり [PR] 比べてお得! |