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焼き肉店食中毒 「なぜ…原因究明を」

2011年05月02日

◆亡くなった6歳男児の父親◆

 焼き肉店で起きた集団食中毒。死亡した富山県高岡市の6歳男児の父親(38)が、朝日新聞の取材に、涙を浮かべ悔しさを語った。本当の原因は何なのか。

 「自転車に乗れるようになったばかりの、まだ小さい子どもだった。何でこんなことになったのか」

 父親によると、「焼肉酒家えびす砺波店」に行ったのは22日夜。男児が「焼き肉を食べに行きたい」とせがんでいたので、忙しい仕事の合間を縫い出かけた。

 店で、男児はつまむ程度だったがユッケに箸を付けた。異変が起きたのは24日朝。元気な様子だったが、下痢をした。容体は急変、午後8時ごろから5分おきにトイレに。日付が変わるころ、血が尻から出た。

 高岡市内で緊急入院し、検査すると腸管出血性大腸菌O(オー)111が便から検出。小さい体にカテーテルが通され、人工呼吸器が口にあてがわれた。29日朝、脳症で死亡した。

 同店での食事は2回目。男児がユッケを食べたのは初めてではなかった。だからこそ、胸に「なぜ」が去来する。楽しい父子の食事が1週間で暗転した。「この子のためにも、原因を究明していただきたい」。振り絞るように言った。

〜*生食基準 拘束力なし*〜

 「生食用として出したものではない」「ユッケ用にと卸売業者から提案があった」――生食のユッケとなった肉について、食肉卸売業者とチェーン店運営会社の言い分は食い違う。

 生食用の食肉の安全性確保については、1998年に厚生省が衛生基準をまとめ、都道府県などに通知している。生肉加工の目標として、清潔な器具で加工▽温度10度以下で保存▽「生食用」と表示して販売――などを示しているが、法的拘束力はなく、「各店が独自ルールで運用しているのが実態」(富山県担当者)という。

 「焼肉酒家えびす」チェーンを運営するフーズ・フォーラス社(金沢市)も、基準について「あくまで努力目標。卸業者と店舗が適切な管理をしていれば、表示はなくても生食用にしていい」と認識していたという。

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