東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

「明日の神話」にいたずら 故岡本太郎氏の壁画

2011年5月2日 07時08分

福島第一原発をイメージしたと思われる、故岡本太郎氏の「明日の神話」に描き加えられた部分=1日午後、東京・渋谷駅構内で

写真

 東京・渋谷駅構内に飾られている画家の故・岡本太郎氏の壁画「明日の神話」の一角に、福島第一原発事故をイメージさせる絵が付け加えられていたことが一日、分かった。絵を描いたベニヤ板を張り付けており、何者かのいたずらとみられる。警視庁渋谷署も把握し、同日夜にNPO「明日の神話保全継承機構」(渋谷区)の立ち会いのもとで、ベニヤを撤去した。

 「明日の神話」は岡本氏が一九六八〜六九年にかけてメキシコで描いた縦五・五メートル、横三十メートルの巨大壁画。五四年に米国の水爆実験で日本漁船が被ばくした第五福竜丸事件などをモチーフにしている。行方不明になっていたが二〇〇三年に発見。修復作業を経て〇八年十一月、渋谷駅のJR改札と京王井の頭線改札の間にある通路に展示された。

 ベニヤの絵は福島第一原発の四つの原子炉建屋をイメージしたとみられ、骨組みだけになって黒い煙を上げている描写もある。縦一メートル、横二メートルほどの大きさで、壁画の原画には手を加えず、壁の空いたスペースにテープで張り付けてあった。

 いつだれが張ったかは不明。京王電鉄によると、午前零時四十五分にシャッターを下ろし、人が入れなくなるという。ベニヤは、通路のエスカレーターから手の届く位置にあり、人通りが少なくなった時間帯に張り付けたとみられる。インターネットでは四月三十日深夜、発見したという通行人の書き込みがあった。

 壁画の展示と維持管理のため活動する「明日の神話保全継承機構」の担当者は、「とんでもないいたずらで迷惑している。多くの方が苦しんでいる中で(原発問題と)結びつけられるのは困る」と話している。

(東京新聞)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo