石井、２年８か月ぶり柔道でオール一本Ｖ

北京五輪以来となる柔道の試合で優勝した石井慧（左から２人目＝共同）

　０８年北京五輪柔道男子１００キロ超級金メダルで総合格闘家の石井慧（２４）＝アイダッシュ＝が４月３０日、米・フロリダ州オーランドで行われた全米柔道体重別選手権のオープン参加クラスに出場し、米国の３選手にすべて一本勝ちし計１分３９秒で仕留めた。

　北京五輪以来、２年８か月ぶりとなる柔道の試合でも、石井は豪快だった。初戦の２回戦で１００キロ級世界ランキング２７位のカイル・バシュクラット（米国）を体落としで仕留めると、準決勝は送り襟絞めで勝利。決勝は開始９秒でジェイコブ・ストロメキ（米国）を内またで飛ばし、優勝を決めた。

　柔道着の背中には「がんばれ東北」のメッセージ入りゼッケンを背負い、「東日本大震災で被災した人に勝利をささげたい」と顔を引き締めた。久しぶりの金メダルを手にした石井は「全日本王者の鈴木桂治選手と戦いたい」と不敵に笑った。

　米国を拠点に格闘技を続けるため市民権の獲得を目指す石井は、米代表として１６年リオ五輪出場も視野に入れる。米国柔道連盟のナディング会長も「将来的に米国代表になる気持ちがあるなら、可能な範囲でサポートしていきたい」と約束。石井の野望が少し現実味を帯びてきた。