原発

文字サイズ変更

福島第1原発:安全委2時間で「妥当」 基準値助言で

 福島第1原発事故で、文部科学省から小中学校などの屋外活動を制限する放射線量の基準値への助言を求められた国の原子力安全委員会(班目<まだらめ>春樹委員長)が、正式な委員会を招集せず、助言要請から約2時間後には「妥当だ」との助言をまとめ回答していたことが、関係者の話で分かった。

 委員会が開かれなかったため議事録も作られておらず、助言までに至る議論の内容が確認できないことも判明。審議の検証ができなくなった異例の事態に「国の政策を追認しただけだ」と批判の声が上がっている。

 子供に年間20ミリシーベルトの被ばくを認めることになる今回の基準に対しては、内外の専門家から批判が続出。内閣官房参与の小佐古敏荘・東大教授が辞任する一因ともなった。

 関係者によると、文科省などが「年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達するかどうかを目安とし、毎時3・8マイクロシーベルトを学校での屋外活動の基準とする」との原案への助言を安全委に求めたのは4月19日午後2時ごろ。安全委は正式な委員会を開かず「委員会内部で検討し」(関係者)、午後4時ごろに「妥当だ」と回答した。だが、議事録が残っていないため、安全委内部でどのような議論が行われたかは明らかでないという。

 安全委事務局は事実を認めた上で「9日ごろに文科省から相談したいとの依頼があり、委員らが複数回議論し、その都度結果を文科省に口頭で連絡していた。(正式な検討時間の)妥当性については発言する立場にない」としている。

 基準の撤回を求めている環境保護団体、FoE(地球の友)ジャパンの満田夏花さんは「独立した規制機関であるはずの安全委員会が、ほとんど議論もせずに国の政策を追認したことは明らかだ」と指摘。「子供の健康を守るという重要な責務も、社会への説明責任もまったく果たしていない」と批判している。

毎日新聞 2011年5月1日 0時02分(最終更新 5月1日 0時08分)

PR情報

スポンサーサイト検索

5月1日福島第1原発:女性社員 さらに1人が規則値超える被ばく
福島第1原発:1号機「水棺」作業難航 容器内圧力低下も
福島第1原発:一時帰宅での国譲歩 反発自治体も軟化姿勢
福島第1原発:警戒区域への一時帰宅 国が条件を大幅緩和写真付き記事
福島第1原発:内閣官房参与辞任で不快感表明…福島県知事
福島第1原発:「校庭汚染土は放射性廃棄物」枝野官房長官
福島第1原発:東電賠償で詰めの協議 経産相ら関係閣僚
福島第1原発:「相馬野馬追」の馬26頭 区域外に移動へ写真付き記事
福島第1原発:校庭の土除去 国に支援要請…福島市長ら
福島第1原発:ウニ・アワビ漁解禁も今年は全面中止写真付き記事
福島第1原発:20キロ圏の沿岸部で不明者捜索 自衛隊が
福島第1原発:海外で広がる食品風評被害
福島第1原発:新たに女性社員1人が限度超える被ばく
福島第1原発:迫る一時帰宅、課題多く…自治体に不満の声写真付き記事
福島第1原発:災害弔慰金 原発避難で県と国、見解分かれ
福島第1原発:被ばく線量規制、引き上げ否定 首相補佐官
福島第1原発:安全委2時間で「妥当」 基準値助言で
4月30日福島第1原発:官房参与辞任で福島副知事懸念
福島第1原発:防潮堤仮設へ 4号機プール補強も
福島第1原発:東電副社長が謝罪 飯舘村民ら補償求める写真付き記事

原発 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画