美姫、超高難度３回転×３で来季の連覇狙う…フィギュア

エキシビションで演技する安藤美姫（共同）

　フィギュアスケートの世界選手権女子で４年ぶりに優勝した安藤美姫（２３）＝トヨタ自動車＝が、大技の３回転ルッツ―３回転ループを武器に来季の連覇を狙う。五輪女王の金妍兒（キム・ヨナ、２０）＝韓国＝を逆転したフリーから一夜明けた１日、練習では超高難度の３連続３回転ジャンプを成功させていることを明かし、卓越したジャンプ力と洗練された表現力で不動の世界女王を目指す。

　熱戦から一夜明け、安藤は晴れやかな表情で振り返った。「災害があった中で、自分にとって特別な意味のあるメダルになった。（初優勝した）０７年のものよりも大切にしたい」。日本への祈りが詰まった金メダルには、格別の喜びがあった。

　この日、会場で行われたメダルのセレモニーでは、観客の日本人女性から「ありがとう」と声をかけられたという。「メッセージが伝わって、日本で一人でも多くの方にそう思ってもらえたらうれしい」と安藤はうれしそうに笑った。今季出場した６戦中５戦で優勝。しかも今回は五輪女王・金をフリーで逆転。大きな自信を得た。

　そんな状況に満足せず、「２連続３回転（ジャンプ）を、またきちんと入れられるように練習していきたい」と更なる意欲を高める。挑む３回転ルッツ―３回転ループは基礎点１１・１点で、金が跳ぶ３回転フリップ―３回転トーループ（基礎点９・４）より１・７点上回る大技だ。今大会は成功率が上がらず封印したが、成功への“秘策”もある。「エクササイズ」として、３回転ルッツ―３回転ループ―３回転ループの３連続ジャンプを跳んでいる。

　３連続３回転は０２年全日本選手権で真央が成功させ、０６年トリノ五輪の公式練習で荒川静香が決めた例があるが、国際大会では成功した記録がない「超高難度ジャンプ」。練習から難しい技に挑むことでジャンプ力を高めることが狙いだ。

　２日はサンクトペテルブルクで震災の慈善アイスショーに出演。その後はカナダで「スターズ・オン・アイス」（１０、１３日）に参加し、今月末に帰国予定。「スケートを心から楽しめる方法が見つかった」。強さと美しさを増した“ミキティ”が、女王の舞で日本へパワーを送り続ける。

　◆美姫、純白ドレスで涙のエキシビション　この日は上位選手のエキシビションが行われ、安藤は純白のドレスでスローテンポな「Ｗｈｙ　ｄｏ　ｐｅｏｐｌｅ　ｆａｌｌ　ｉｎ　ｌｏｖｅ」を滑り終えると、感極まって涙を浮かべた。アンコールでは「日本の被災者に届けたい」との思いで、昨季ＳＰで使用したモーツァルトの「レクイエム」を使ったプログラムを披露。２位の金妍兒（２０）＝韓国＝は黒のパンツ姿で踊り、男子２位の小塚崇彦（２２）＝トヨタ自動車＝はビートルズで会場を沸かせた。