韓国の中高生に広がる化粧ブーム(下)
■化粧ブームにお手上げの教諭たち
教諭たちは「化粧している生徒が何人いるのか、一度では数えきれないほどだ」と話す。
ソウル市内の中学校で1年生を担任している教諭は「生徒同士で誕生日にマスカラやアイライナーをプレゼントし合うほど、化粧に関心が高い。小学生のときから化粧を始め、肌が大人のように荒れている子どもたちが増えている」と説明する。
保護者たちからも心配の声が上がっているる。中学校2年生の娘を持つキム・スンオクさんは、昨年から娘がさまざまな化粧品を買い集めていることに気付き、非常に驚いた。キムさんの娘は毎朝の登校前、どんなに忙しくても30分かけて化粧水、乳液などの基礎化粧品をはじめ、BBクリーム、ファンデーションまで丁寧に塗る。キムさんが怒って化粧をやめさせようとすると、娘は「化粧しないと恥ずかしくて学校に行けない」と反抗したという。キムさんは「娘は思春期なので仕方ないとも思ったが、勉強に集中できなくなるのではないかと心配だ」と話す。
このように、生徒たちの化粧ブームが深刻になっていることを受け、食品医薬品安全庁(食薬庁)は教育庁と学校に対し「生徒が色のついた化粧品を使用しないよう指導してほしい」と要請する文書を送った。食薬庁化粧品政策課のヤン・ジュンホ事務官は「子どもたちは大人より肌が弱く、口紅やマニキュアなど色の付いた化粧品を使うと、肌のトラブルを起こす危険性があるため、注意が必要」と指摘した。
■過度の「美形シンドローム」
成績上位の生徒や模範的な生徒が化粧するケースも増えている。このように、女子生徒たちの間で化粧が幅広く流行している現状について、専門家は「美形シンドローム」と、10代のメンバーが多く活動する「ガールズグループ」の影響が大きいと分析する。建国大師範大学のイ・ドンヒョク教授は「最近の10代の子どもたちは、過去の世代に比べ、化粧やファッションで自分を演出し、魅力的に見せようとする傾向が強い。そうした生徒たちの特性が、外見を重視する社会的なムードと相まって、学校での化粧ブームという現象を生んだのではないか」と説明する。韓国青少年活動振興院のキム・ヨンデ部長は「きれいになりたいと思うのは思春期の女子にみられる特徴的な感情で、ごく自然なこと。だが、化粧することによって自己満足を追求しようという若者の集団現象は、深刻な問題であることに変わりない」と指摘した。
キム・ヨンジュ記者