名古屋市の河村たかし市長が主導した市議会解散請求(リコール)署名簿が流出した問題で、2月の愛知県知事選に出馬した大村秀章知事や名古屋市長選に出馬した河村市長の選挙はがきがリコール署名者に届いていたことが分かった。地域政党「減税日本」市議は「河村市長の支援団体事務所の依頼で、事務所から提供された宛名シールをはがきに貼り、事務所に返した」と証言。支援団体幹部は「署名簿が漏れた可能性がある」とずさんな管理体制を認めた。
知事選と市長選のはがきを受け取ったのは、街頭で署名した瑞穂区の男性(84)。毎日新聞が確認したはがきの郵送日は告示日の1月20日と23日で、宛名を印刷した同一字体のシールが貼ってあった。はがきの推薦人欄には同区の減税日本市議(当時は候補者)2人が記名。2人は「市長の支援団体事務所から『受任者シールを渡すので貼って持ってきてほしい』と頼まれた」と話している。
支援団体は、受任者登録を募ったはがきで、受任者名簿を「市政改革の目的」に限定してリコール以外にも使用することを示唆している。しかし、はがきを受け取った男性は受任者登録はしておらず、推薦人の減税日本市議とも面識がないという。これまで知事や市長から選挙はがきを受け取ったことはなく、後援会にも加入したことはないという。
大村知事の事務所によると、知事選では7万枚の選挙はがきの一部について推薦人や宛先選びを市長の支援団体に依頼。名古屋市内では1区につき1500枚前後の割り当てだったといい、担当者は「依頼した後は(支援団体事務所に)任せてあり、どのような人たちに送ったかは分からない」と話している。
河村市長の支援団体幹部は取材に「署名集めを担った当時の一部のメンバーから署名簿が漏れた可能性がある」と話した。また受任者シールが知事選の選挙はがきに使われたことについても想定外だったことを明らかにした。【稲垣衆史、高橋恵子】
毎日新聞 2011年4月28日 11時17分