成長期待をどうやって作りだすか
テーマ:ブログ日本経済の根本的な問題は、成長期待がないということである。 成長期待がないから自然利子率が非常に低く、金融緩和をしても景気が良くならない。
過去を振り返ると、1970年代の高度成長時代、農村から都市へと労働力が流れ込み、人口も増加していた。 労働力を安価に大量に供給できたので規格大量生産で、日本製品は世界を席巻した。
都市部に多くの団地ができ、ニュータウンと呼ばれた。 ニュータウンには商店やデパートが開店し、消費活動は盛んだった。
ところが、現在はどうか。自民党の提唱した、国土の均衡ある発展というスローガンで、地方に公共事業が発注され、都市部への人口流入は減少した。 しかし、公共事業に依存した地方経済は、公共事業の減少とともに、疲弊していった。
一方、都市部においても、バブル崩壊後、人件費の削減が進み、労働者の賃金は減少に転じた。 さらに従業員の非正規雇用が増加し、雇用は不安定になった。高度成長時代のニュータウンは、エレベーターのない古い団地になり、高齢者ばかりになった。 その結果、商店も撤退していった。 都市部の疲弊も深刻になってきた。 このような状況から、結婚する若者が減り、人口は減少し続けている。
第二次産業においては、安い人件費を求めて生産は海外移転が進み、多くのブルーカラーの職が失われた。多くの人々は第三次産業にシフトしなくてはならなくなった。グローバル化、特に、新興国の台頭によって、ブルーカラーの職が失われている。 さらにOA化によりホワイトカラーも過剰になった。
ところが、第三次産業の需要を支える生産年齢人口が減少してきた。 高齢者が多くなり、商業などは顧客の奪い合いになり、大型店による効率化が図られるようになった。 しかし、このことは既存の小型店舗の衰退を招き、特に地方において、シャッター街と呼ばれる、閉鎖店舗の続く街並みが出現している。
このように人口動態の問題や、国際競争(グローバル化)から、日本国内に成長期待が持てなくなっている。 これが、現在の不況の原因である。
これを、簡単に政府財政支出の拡大や、金融緩和といった方法で解決することはできない。 なぜなら、根本的な構造問題は、財政支出の拡大や、金融緩和では少しも解決できないからである。
それでは何をすればよいのか。 これは以前のエントリーで述べたように、日本国内だけに目を向けることをやめるということである。 即ち、伸び盛りの国に進出し、そこの活力、即ち、人材、市場、生産力を日本経済に組み込むことで、日本を発展させる。 こういった方法しか、私には考えられない。 つまり成長期待も輸入してしまうわけである。
こういった状況判断をするならば、TPPには積極的に参加するべきであり、日本国内に財政出動して金をばら撒くといった、効果の薄い経済政策をするべきではないことは明らかだろう。 まして、グローバル化に背を向け、保護主義に走るなど自殺行為である。
1 ■ちょっと聞きたいのだが・・・
TPPによって安い労働力が入ってくる→賃金が下がるので『家計の金融資産』が増えない(それどころか減る)。するとこれから増大する社会保障費が増え続け、赤字国債を発行せねばならない一方でその国債受け皿となっている『家計の金融資産が増えない』からTPP参加はあんたの言う ”ザイセイハタン” を促進する下策になるのではないかな?
まさかTPP推進を目論むあまり、今更になって「家計の金融資産を国債残高が上回った時、日本は財政破綻するというのは嘘でした」などと言い出すつもりなどなかろうと思うが・・・ これについてはどう説明するのかな?