小佐古敏荘(こさことしそう)・東京大教授(放射線安全学)が福島県内の小中学校などの屋外活動を制限する「年間20ミリシーベルト」の基準に異論を唱えて内閣官房参与を辞任したことについて、佐藤雄平知事は1日の県災害対策本部会議で、「国の基準に従って一生懸命やってきたのに、これでは県民が困惑する」と国の足並みの乱れに対し、不快感を示した。
佐藤知事は出席した国の担当者に、「政府側の正しい専門的な知見の中で、われわれに指示があると思ってやっている。そこを改めて政府側に申し上げていただきたい」と注文をつけた。佐藤憲保県議会議長は「県民が大きな不安の中で生活している状況を政府が認識しているのか疑問だ」と強い口調で抗議した。
会議では、県の放射線に関する相談窓口に小佐古氏辞任に関する問い合わせが相次いだことも報告された。県によると、4月30日だけで「国の基準は本当に大丈夫なのか」「県独自にもっと安全な基準を設定すべきだ」など現行の「年間20ミリシーベルト」を疑問視する問い合わせが20件あった。県は「基準は1日8時間屋外にいることを前提にしているので、非常に安全な基準であるとお答えして、県民の不安の解消に努めている」と話した。【松本惇、蓬田正志】
毎日新聞 2011年5月1日 20時25分(最終更新 5月1日 23時46分)