【鳩山総理冒頭発言】 http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/201003/26kaiken.html
御案内のとおり、平成22年度の予算が成立いたしました。経済が依然としてまだ厳しさが残っている中で、年度内の予算が成立をしたということは、私は喜ばしいことであったと、このように思っております。
この予算の編成に当たっては、事業仕分けなどといった手法を使いながら、むしろ国民の皆さんに開かれた予算というものの在り方をお見せすることができたのではないかと、そのように思っております。
結果として、めり張りがついた予算ができ上がったなと、そのように思っております。すなわち、いわゆる公共事業を必ずしもすべてが無駄だとか、そういうつもりはありません。しかし、公共事業18%減という一方で「コンクリートから人へ」という思いの中で、人への予算、教育の予算、あるいは社会保障は10%あるいは8%と大きな伸びを見せました。これはやはり、新しい政権だからこそできたことだと、私はそのように感じているところでもございます。
ただ、国民の皆さんに、予算ができ上がったから、すぐに実感をしていただけるには、まだ時間がかかると思います。しかし、例えば子ども手当あるいは高校の無償化といった、皆様方の御家庭お一人お一人に対して、実感ができるだけ早く伴うようになることを心から祈念いたしますし、そのようにいたしたいと心から考えておるところでございます。
しかし、景気が御案内のとおり、例えば失業率は私が政権を担当いたしましたときには、5.4%。それが今、4.9%まで改善をされたとはいえ、まだデフレだと、厳しいぞと、そのようにいろいろとお叱りもいただいているところでもございます。デフレ克服に向けて、全力を挙げていくことは言うまでもありません。
一方でしかしながら、国民の皆さんに、鳩山政権に期待していたけれども、まだまだリーダーシップが十分見えていないね。政治主導というけれども、どうもいろいろと不統一があるのではないか、そんなお叱りをいただいているところでもございます。そして、その中に政治とカネの問題があることも、私もよく自覚をしているところでございます。このような問題に対しても、しっかりと解決の道筋をつけていかなければならない。そして、国民の皆さんに、やはり民主党を中心とした連立内閣、新しい内閣は期待どおりになってきたねと、そのような思いをできるだけ早く感じていただけるように、引き立てていかなければならない、そのように思っています。課題は山積でありますが、ある意味でこれからが新たなるスタートだと、その思いで頑張ってまいりたいと思います。
今日、私は簡単に3つの柱を申し上げたいと思います。
その3つとは、官を開く、国を開く、そして結果として、未来を開くということでございます。
官を開くとは何でしょうか。これは国民の皆さんに、まずは天下りを根絶させなさい。新政権として、強くそのことを期待されてまいりました。そのことは当然のことながら、更に厳しく行ってまいることをお誓いいたします。ただ、それだけではなく、例えば官、その幹部の皆さん、お役所の幹部の皆さんに、もっと民間の活力を導入する、民間の方々にどんどんと幹部で働いていただけるように引き立てていきたい。いわゆるリボルビングドアなどという言い方がされておりますが、官から民、民から官、もっと自由自在に行き交うことができるような、そんな役所の在り方というものを、あるいは日本の生き様というものをつくり変えていくことが大事ではないかと、そのように考えております。
更にもっと言えば、新しい公共。今まで官の仕事だと、そのように思われていたものを公に開いていくと。これからは官の仕事、そうではない。できる限り、民の皆さん、民間の皆さんができることは民間で頑張っていただけるようにする。そして、お互いにむしろ支え合って、一人一人が生きていけるような世の中をつくる。私はそんな中で、税額控除などという寄附税制の在り方というものを追及して、それを必ず実現していかなければならないと思っています。1人の皆さんが、1人の人々が政府に、あるいは自治体に税金を払う。その税金の一部を国や地方自治体に払うならば、むしろこういう団体に寄附しようではないか。その思いがもっともっと強く感じていただけるような、それを実現できる世の中にしていきたいと考えております。
今日、皆様方には、記者会見もより開かれるようにしてまいりたい。そのように思っております。
まだ、これも十分ではない。いろんなお叱りもいただいております。更に、もっと記者会見も開かれるように仕立てていかなければならない。まず、その第一歩を開かせていただいたと御理解をいただきたい。
ある意味で、こう言ってはいけないかもしれませんが、ぶら下がりという今までの慣習的なやり方よりも、もっと多くの皆様方に開かれた記者会見をより多く開かせていただくことの方が望ましいのではないかと考えております。
一方、更に申し上げれば、これは官房長官ともよく相談をしなければなりませんが、いわゆる官房機密費、内閣報償費、これを開いてまいります。国民の皆さんに、税金なんですからもっと、いつの時代かにはこのように使われていたんですよとわかるような形に仕立てていかなければいけないのではないか。旧政権との大きな違いをこのようなところにつくり上げてまいりたいと思っています。
国を開くとは何か。私は2つ申し上げたい。
その1つは、国が今まで行っていたものを、これからは地域に任せる。いわゆる、地域主権の国づくりに大きく転換をしていくこと。地域が疲弊しています。地域の活力をもっと高めていくために、国の権限をこれからは、基本的には地域に委ねる、地域に任せる。そんな社会に大きく変えていきたいと考えています。そのためには、義務づけ・枠づけといったものの根本的な見直しとか、あるいはまず一括交付金化というものを行って、いわゆる補助金で国から地方へひもが付いているような状況というものは一切なくしていきたいとも考えております。
もう一つは、私が年来申し上げております、国を世界に向けて、特にアジアに向けて開く。東アジア共同体という構想、これを現実のものに仕立て上げていきたいと思います。EPA、FTAという、いわゆる自由貿易の方向は更に戦略的に行ってまいりたい。特に日本と韓国との間のEPA、FTAを再開させていきたいとも思っております。投資環境、日本にはなかなか投資できないね。そのような、いわゆる非関税障壁なるものはできるだけ早く取り除いていかなければならないことも言うまでもありません。
ただ、それだけではなく、人を開かなければなりません。どうも、日本人はまだまだ心が閉じている部分もあります。これからは、私たちおじいちゃん、おばあちゃんに対して、看護をしよう、あるいは介護をしたい。そういう社会からの声にもっと応えるような日本にならなければいけないと思っております。そのような意味での国を開くということは大変、これからの日本にとって重要だと思います。
そして、その2つ、官を開く、国を開くことによって、結果として未来を開くということができようかと思います。「新しい公共」の在り方、地域主権というものをつくり上げていくこと。このことによって、一人一人の皆さん方が、いわゆる今まで経済というものの尺度の中で自分の幸せというものを得ようと努力してきた。これからは経済という尺度だけではなく、さまざまな多様な尺度の中で幸せというものをもっと身近に感じていただけるような世の中に変えていくことが必要ではないか。私はそのように感じております。それを行うことによって、日本という国を未来に向けて大きく開くことができると思っております。
最後に申し上げたいことがございます。私ども、衆議院、参議院で、特に予算委員会を通じて議論をしてまいりました。年金の議論、社会保障の議論、あるいは財政の議論、大変、未来を占うために難しいテーマでございます。こういったテーマに関して、当然、言うまでもありませんが、まずは政府がしっかりとした提案というものをつくり上げていくことは論を待ちません。
しかし、ある一定のときに、野党の皆様方にも御協力をいただきながら協議を深めていくことも必要ではないか。このような大きなテーマに関して、与党だ、野党だといがみ合うようなときではない。むしろ、大きなテーマに向けて国を挙げて取り組む姿勢というものもいつの時代か、つくり上げていかなければならないと思っております。
更に「政治とカネ」の問題に関しても、冒頭にも申し上げましたけれども、この問題に関しても与野党が協力をしていきながら解決の道筋をつくり上げていくことが大変重要なのではないかと思います。
改めて申し上げたい。私ども政権を握らせていただいて半年経ちました。さまざま、未熟なるがゆえに問題点も抱えていると思います。しかし、決して時計の針を逆に戻してはならない。大きな、未来に向けて時計の針をもっと勢いよく回せるような、そんな政府をつくり上げてまいりたいと思っておりますので、どうか国民の皆様方にも辛抱強く御指導いただきますようにお願いを申し上げて、まずは冒頭の私からの国民の皆様方へのメッセージといたします。
聞いていただいた国民の皆さんに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
韓国の利益のために働いているのかと思いました