【座間味】東日本大震災による福島第1原発の事故の影響を心配し、同県いわき市の小田桐聖(おだぎりきよみ)さん(27)と長男祭(まつり)君(7)、長女菫(すみれ)ちゃん(3)の母子3人が、座間味村に自主的に避難している。被災者向けの格安プランを組んだ同村内のペンションをインターネットで探し当て、3月27日に初めて来島。航空券や子どもの学校の都合もあり、5日にはいったん帰郷しなければならないが、原発の状態は予断を許さない。聖さんは「原発を何とか鎮めてほしい」と祈るような思いだ。
3月11日、自宅アパート隣の実家で震災に遭い、「体験したことのない地震だった。(守るため)菫に覆いかぶさった」という。地震があった午後2時46分ごろはちょうど祭君の小学校の下校時間。「近所のお母さんたちが家から飛び出して、みんな学校に迎えに行った」。子どもたちは無事だったが、校庭が一部は液状化していたという。
水道とガスが止まり、不自由な生活。しかし、実家や自宅の建物が無事だったため、給水場所から水を運び、「頑張れる」と気持ちを切り替えた。その後に福島第1原発事故の問題が深刻化した。
自宅は同原発から約40キロ。政府が自主避難を求める30キロ圏を超えているが、日ごとに悪化する状況に「子どものことを考えると一刻も早く」とネットで行ったことのない座間味島のペンションを見つけた。
被災地は物流が途絶え、ガソリンの調達も難しかったが、「両親や兄が仕事で使うなけなしのガソリンを分けてくれた。車で羽田空港に向かったが、地元を離れる時が一番つらかった」と残った家族を思いやる。
来島した当初は不安も感じたが、島の自然に触れ、子どもたちものびのびと元気に遊び友達もできた。表情も明るくなったという。
いったん帰郷するものの沖縄での交流には感謝しつつ「避難できない方もいる。被災地を忘れたら申し訳ないとの葛藤がある」と複雑な心境。「元の生活に近づきたい。子どもが外でのびのびできる環境に」と望んでいる。(内間健)