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化学原料用の廃棄ドラム缶で「中華鍋」を作る闇工場と、製造過程を収めた写真(ネット写真)

有毒廃棄ドラム缶で「中華鍋」製造=中国浙江省

 【大紀元日本4月30日】中国国内では、有毒豚肉、有毒もやし、有毒饅頭、有毒牛肉など、食の安全を脅かす問題が続出する中、有毒な化学原料を入れていた廃棄ドラム缶で料理用の「中華鍋」を製造する闇業者が多数存在していることが判明した。年間の生産量は百万個以上に達するという。中国国内メディアが取材調査を行い、報道した。

 中国国内紙・都市快報によると、浙江省義烏市近郊の佛堂鎮張宅一村、二村、三村が問題の「中華鍋」の生産地。村に入ると、至るところで化学原料の刺激臭が漂っている。鍋の材料となる廃棄ドラム缶は露天に無造作に放置されていて、鉄さびや化学原料の油が付着したままである。よく見てみると、ドラム缶の一部には「工業用トリクロルエチレン」「人体、環境に有害」などの文字が見える。

 闇工場の作業員によれば、中華鍋は一つ10分間で作れるという。まず、ドラム缶を鍋の円形サイズに裁断して、手打ち作業で鍋の形を整える。それから高温の火で焼き、化学薬品に漬けてドラム缶の表面のペンキを溶かす。その後、磨きや光沢加工を施すと、廃棄ドラム缶がピカピカの中華鍋に変わる。

 現地住民の証言では、このような闇工場は8年前から操業を始め、現在、その数は40数軒に達したという。ここでは年間百万個以上の中華鍋を生産し、廃棄ドラム缶の供給源と中華鍋の販売ルートも確立されているため、すでに一貫化された製造・販売の産業チェーンを形成している。

 ある闇工場の経営者の話では、通常、廃品回収の従事者から廃棄ドラム缶を仕入れる。単価は30〜40元(日本円で約400〜500円)。1本のドラム缶から、9個ないし10個分の中華鍋の材料が切り出せる。これは、新材の鉄を使った場合に比べて、原料価格にして1トンあたり数千元(1元は約13円)も安い計算となる。

 同経営者よれば、危険物や爆発物を入れるドラム缶が歓迎されるという。その理由は、油を入れる通常のドラム缶に比べて、鉄板に厚みがあるからとのこと。

 情報筋によれば、問題の中華鍋は中国東部の広い地域で販売されているという。調査した中国メディアの記者は、浙江省の義烏市や杭州市の問屋市場で、これらの闇工場で作った中華鍋が販売されているのを確認した。

 杭州市のある業者は中国メディアの取材に対し、次のように語った。

 「新しい鉄の材料で作った中華鍋に比べて、この中華鍋は破損しにくく、軽い。熱伝道がよく値段も安いため、プロの料理人の間では大人気。大多数のレストランはこの種の中華鍋を使っている。売れ行きは非常に好調だ」

 浙江省工業大学の化学工程と材料学院の胡暁君・副教授によれば、問題の中華鍋は、調理する過程で酸性やアルカリ性の食品に接触すると、鍋に含まれる有毒物質や有害物質が料理の中に溶け出してしまう。人がそれを吸収すると、呼吸疾患、心臓や血管の病気、皮膚疾患などを患い、場合によっては中枢神経が侵されて命にも関わるという。

(翻訳編集・叶子)


 (11/04/30 08:40)  





■キーワード
中華鍋  ドラム缶  有毒  化学原料  闇工場  


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