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工事・保安

連載「その時現場は」(上) 使命感、信頼関係支えに

2011/04/14

夜の森線の復旧に志願した人たち

東日本大震災から1カ月余りが経過した。被災した電力流通設備の復旧作業は今なお続いているが、東京電力の送電鉄塔の中で倒壊したのは、実は1基のみ。それが、福島第一原子力発電所の所内電力を確保する6万6千V送電線「夜の森線」だった。震災の翌朝、すぐさま復旧部隊が現地に向かったが、相次ぐ水素爆発や高い放射線量に阻まれ、発電所構内での作業は難航した。深刻化する事態に、膨らむ恐怖心を乗り越えた志願者が集まり、夜の森線を復活させた。作業に携わった人たちの証言を基に、その舞台裏に迫る。 (上田 顕史)

「あと1週間長引けば、自分もつぶれていた。密度の濃い、非常に長く感じた仕事だった」。自然災害などの緊急時に、送電工事の元請け各社を束ねる立場にある山縣淳・TLC工事部長代理はこう話す。阪神・淡路大震災や新潟県中越沖地震などの災害現場で、電力設備の復旧作業に幾度も陣頭指揮を執ってきた歴戦のベテランでさえ、この仕事は精神的にこたえた。

送電工事の協力会社と架線電工らでつくる復旧チームが最初に福島県に入ったのは3月12日、地震の翌朝のこと。東京電力の新福島変電所と福島第一原子力発電所を結ぶ夜の森線2号線の27号鉄塔が倒壊しているとの報を受け、TLCは最寄りの現場にいたTCパワーラインとともに、いち早く現地入りした。

主たる目的は、資材運搬と現場調査。前線基地となったのはTLCの福島事業所で、当初のメンバーは約40人。「すぐに終わる」。誰もがそう思った。

■ 高い放射線量

ところが、この日の午後3時、福島第一1号機で水素爆発が発生。発電所構内の免震重要棟で、今後の復旧方法について打ち合わせをしていたTLCの作業員は「ドーンという音とともに免震棟がかなり揺れた。最初は地震かと思った」と証言する。

大声で駆け込んでくる救護班。現場に緊張が走った。放射線量も高く、すぐさま撤退命令が出た。新福島変電所で待機していた復旧部隊とともに、いったん関東に引き返すことになった。

3月13日、TLCが単独で再び出動することになる。大規模災害時には、TLCが東電本店発注の元請け各社に招集を掛けることになっているが、山縣氏は「放射線のこともあるので、現有戦力で済ませようと考えた」という。

ただ、社員も電工も、放射線の知識はほとんどない。人体への影響など、東電からみっちりとレクチャーを受けた上で、3月14日、発電所構外での作業を終え、構内作業に備えた。

しかし、同日午前11時、3号機も水素爆発を起こした。構内では再び高い線量が検知された。

■ 戸惑いの声も

「作業は中止になる」。山縣氏の直感を覆し、翌15日、東電から「24時間以内にやってほしい」との要請を受けた。差し迫った事態に東電は異例の措置として、直接、元請け各社に支援を要請。これにより、TCパワーライン、システックエンジニアリング、中央送電工事が合流し、総勢約170人が新たな前線基地、Jヴィレッジ(福島県楢葉町、広野町)に集結した。

ただ当時は、通信機能がまひし、情報もうまく行き渡らない混乱のさなかにあった。「そんな話は聞いていない」「危険なところに社員を行かせるわけにはいかない」--。状況が飲み込めないまま駆けつけた架線電工も多く、戸惑いの声が上がった。

深刻化する事態への焦りとは裏腹に、山縣氏が譲れない条件として示したのが「架線電工一人一人の意志」だった。腹をくくった者だけに作業の許可を出す。「誰もけがさせないで」。妻からはそう送り出された。

混乱の中、構内まで行く決意を固めた架線電工は約30人。「まずいんでしょ。俺が行きます」と率先して志願する人。「あなたに頼まれたらしょうがない」と苦笑しながら手を上げた人。個々の使命感や気概とともに、元請けとの信頼関係も架線電工の参加を促した。 (本紙5面より、全3回)

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