2011年5月1日9時45分
三重県鳥羽市の離島・答志島が、養殖ワカメの出荷に追われている。全国シェアの約8割を占める岩手・宮城両県の産地が東日本大震災で壊滅的な打撃を受けたため、代替産地として需要が増え、高値が続く。答志島周辺は今年は海水温が低くワカメの質も良いが、漁業者らは「被災地のことを考えると喜べない」と複雑な表情だ。
答志島の和具漁港では、保存のきく塩蔵ワカメの生産が盛んだ。約45の漁業者が80基ほどの養殖いかだでワカメを栽培する。
2月初めから刈り取り、例年は4月中旬で作業が終わるが、今年は沿岸部で海水温が上昇せず、色落ちが少ないワカメがとれている。5月上旬ごろまで作業を続ける予定だ。40年近くワカメ漁をしている浜口幸三さん(62)は「この時期まで出荷できるのは30年ぶり」と話す。
震災以降、東北以外の産地への代替需要が高まり、生産量が全国6位(2009年)の三重県でも競り値が上昇。和具漁港でも塩蔵ワカメの価格が、これまでの1キロ800〜千円から、2倍近くに跳ね上がっている。(松永佳伸)