FBIが捜査を進める中、米司法省の監察局は、FBIの国家的サイバー犯罪に対する対応能力に関する報告書を発表した。監察局は、米国に対するサイバー犯罪の抑制に一定の成果が見られるとしながらも、FBI率いる国家サイバー捜査統合タスクフォース(NCIJTF)はサイバー攻撃に対する対応能力を向上し続ける必要があるとし、さらに他機関とのサイバー攻撃の脅威に関する情報の共有が不十分だと批判した。
また司法省はFBIの10の支局で聞き取り調査を行った。その結果、対象となった捜査員36人のうち13人が国家安全保障に関わるコンピュータ侵害への対応において望まれるスキルを身に付けていないことを認めた。
この結果について、米上院国土安全保障委員会の委員長を務めるスーザン・コリンズ上院議員(メイン州選出、共和党)は、「連邦政府がサイバー犯罪に対応する専門家を適切に訓練してこなかったのは問題だ」とし、「(監察局の報告書は)FBIのサイバー犯罪捜査官の約3分の1がコンピュータへの不正侵入の適切な捜査を行うための法医学的、分析的専門知識を欠いている」ことを示すものだと指摘した。
米政府のコンピュータへの不正アクセス件数は、2006年に2172件、2007年に3928件、2008年に5499件と年々増加している。一般に年間の不正アクセス件数が数千件に達すると国家安全保障に影響を及ぼすと考えられている。