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【芸能・社会】

“余命半年宣言”の俳優 入川保則 主演朗読会で「命」の尊さ伝える

2011年5月1日 紙面から

 直腸がんが全身に転移し、今年3月に「余命半年宣言」をした俳優入川保則(71)が30日、東京・南麻布の天現寺シアターで、盲導犬をめぐる命の問題を問うノンフィクション「盲導犬サフィー、命の代償」(秋山みつ子著、講談社)を手に、主演朗読会を開いた。体調が万全でないなか「延命治療より俳優の仕事」という決意を実践。時折声を震わせながら、命の尊さを訴えた。

 ほおはこけ、一歩一歩踏みしめるように姿を現した入川。2部構成の朗読会には約200人が詰めかけた。入川は努めて冷静に役に徹しているように見えた。

 テーマは「命」だ。いすに腰かけたまま淡々と読む。盲導犬の命の重みを問う主人公の思いの切実さが表現された。ただ入川はその内容に、「朗読する側としてはいけないんですが、わが身のことを考えて、声がうるんできて…。感激しました」

 朗読を終えると大きな拍手が起こった。ゆっくり立ち上がり「本当にありがとうございました」と笑顔であいさつして静かに舞台を下りた。

 その一方で、会見では、彼なりのダンディズムか「延命治療? やってますよ。食べ過ぎた時はキャベジンを2錠。胃のもたれがとれる。寿命も延びたかも…」と重い雰囲気はごめんとばかりに死の覚悟すらジョークにする。

 最近の体調については「朝起きてから3時間くらいは悪い。舌がもつれる。血流が悪いからでしょう」と冷静に分析。

 04年に3人目の妻と離婚し、神奈川県内でひとり暮らし。着々と身辺整理も進めている。「冬物の衣装は処分しました。花粉症の薬ももういりません」

 葬儀も手配済み。「“自主葬”で般若心経やお礼の言葉をテープに入れました。喪主はボタンを押すだけでいい。葬儀屋は『こんな簡単な葬式はない』と(費用を)10万円引いてくれました」

 そんな姿勢の入川を惜しみ、女優の岩下志麻(70)から、「いい先生がいる。イリちゃん、あと10年も15年も長生きできるのよ」と医師の紹介を申し出る電話もあったという。

 しかし最後の仕事も決めた。5月に撮影開始予定の主演映画だ。入川はバーテンダー役。「途中で死んだら、ドキュメンタリーに切り替えて、死に際を撮るとかね」と、いたずらっぽく笑ってみせた。

 

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