AdapTVは、視覚に障害のある方のためには映像の内容を音声に変換して情報を提示し、視覚と聴覚の両方に障害のある方のためには映像と音声の内容を点字に変換して情報を提供する機能など、視聴者の障害の種類や程度に応じて、その人に最もよいと思われる方法で番組を提示します。あるシーンの映像や音声を点字に変換するなどの処理を行うためには、これまでの連載と同様、どのようなシーンなのかが記述されたメタデータと呼ばれる、放送局で用意した情報が必要になります。AdapTVは、このメタデータと、視聴者の情報(ユーザープロファイル)を用いて、視聴者に最適な情報の提示方法に番組を変換します。
人にやさしいTVを目指して
比較的簡単なデータ放送の画面を視覚障害者向けに変換することを例に、人にやさしいAdapTVの仕組みを説明します。データ放送のニュースや株式情報を正確な文章で音声に変換するには、画面上のどの部分が見出しで、どの部分が内容であるかを判断する必要があります。AdapTVではメタデータを使って画面のレイアウト情報を解釈し、聞くだけで内容が正しく伝わるように音声化します。また、気象情報では晴れマークなどのお天気マークが使われています。これらは文字情報ではないため、そのままでは音声に変換できませんが、メタデータに記述された情報をもとにしてマークを文字情報に置き換え、音声に変換します。なお現在のデータ放送には、メタデータが含まれていません。しかし、データ放送のページごとに決められている、テンプレート(レイアウトや操作方法)をもとに作成した音声への変換ルールをメタデータとして用いることで、データ放送の画面を音声に変換するAdapTVの機能を実現しました。
使う人みんなにやさしい「AdapTV」、実現に向け、さらに研究を進めます。
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視聴者の認識能力に適応した表現へのコンテンツ変換の概要 |
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