地デジの説明
1.地デジの基本
「地デジ」とは?
「地デジ」とは、地上デジタル放送のことです。平成23(2011)年7月24日に、従来からの地上アナログ放送が終了して、この地上デジタル放送に一本化されます。アナログ放送終了後は、今までのテレビでは視聴できなくなりますので、早めの対策が必要です。
どうして「地デジ」?
「別に、今までのテレビ放送(アナログ放送)でいいじゃないか?」という方もおられるでしょう。ここで「地デジ」に変わらなければならない理由を簡単に説明しておきます。テレビ放送は電波を使っています。電波は目で見たり手で触れたりすることができませんから、無限に存在していると誤解されがちですが、私たちが使うことのできる電波の量には限界があります。
現在のアナログ放送を終了させ、比較的電波の使用量が少ないデジタル放送に変更することで、今テレビ放送が使用している電波を節約することができます。この節約できた電波は、携帯電話や災害救助のための通信に有効活用される予定です。
つまり、アナログ放送の終了とデジタル放送への移行は、国民みなの協力を得て電波を節約しようとする取り組みなのですね。
2.地デジの特徴
画像が鮮明
地上デジタル放送の特徴として、従来のアナログ放送と比べて画像が鮮明であるという点があげられます。視覚障害者の中でも、弱視・ロービジョンの方には、この点を実感される方も多くいらっしゃいます。なお、デジタルは0か1の世界などといわれていますが、デジタル放送についても、鮮明に映るか/まったく映らないかのいずれかになります。アナログ放送のように、不完全な状態で映像が映るということはありません。
音がきれい
ニュース番組等ではあまり実感できないかもしれませんが、音楽番組などでは、音のきれいさを実感することができると思います。もちろん、音質はスピーカーの性能によるところが大きいですが、逆に言うなら、別のスピーカーをテレビに接続することで、さらに迫力のあるサラウンドを楽しむことも可能になります。
番組表から番組を選べる
今までは、新聞のテレビ欄やテレビ番組の情報を掲載した雑誌等を見ないことには、テレビ番組の情報を知ることができませんでしたが、地デジでは、テレビの画面に番組表を表示させ、そこから見たいチャンネルを選ぶ機能がついています。さらに、一部の機種では、画面に表示された番組表の内容を合成音声で読み上げる機能が搭載されています。これにより、視覚障害者が音だけで番組の情報を得たり、そこからチャンネルを選んだり、さらには番組表から録画予約をしたりすることが可能になりました。
番組表を読み上げる機能を搭載したテレビについてはこちらのページに詳しい情報を載せていますので、あわせて参照してください。
データ放送
地デジならではの機能として、データ放送というものがあります。テレビ番組を見ながら、画面の端にニュースや天気予報を随時表示させたり、スポーツ番組ではチームの対戦成績や選手のデータを表示させたり、料理番組ではレシピを表示させたりすることができるようになりました。しかし、たいへん残念なことではありますが、現在のところ、これらを音声で読み上げる機能を搭載したテレビはありません。画面を見ることができない視覚障害者がデータ放送を利用することは現状では困難といわざるを得ません。今後の対策が待たれます。
3.地デジを見るには
それでは、地デジに対応するにはどうすればよいか?具体的に説明したいと思います。@地デジ対応テレビを買う
まず一つ目の方法は、地デジに対応したテレビを買う、という方法です。もっともシンプルで分かりやすい対応方法だと思います。購入される際には、必ず「地デジ対応」であることを確認してください。「薄型だから大丈夫」「ハイビジョンだから大丈夫」と思っておられる方もいらっしゃいますが、薄型やハイビジョンであったとしても、地デジに対応していないものもあります。
地デジは、地デジ対応のチューナーがないと、見ることができません。「地デジ対応」のテレビは、このチューナーが内蔵されていることを意味します。この点をくれぐれも注意してください。
A今あるテレビに地デジ対応のチューナーを接続する
「新しいテレビを買うのはもったいない」「今あるテレビはまだ十分使えるから、これを使い続けたい」という方にお勧めの方法があります。地デジに対応するための二つ目の方法は、地デジ対応のチューナーを買い、それを今まで使っていたテレビに接続する、という方法です。このチューナーは、チューナー内蔵の録画機器でもかまいません。テレビやチューナーを購入された際に注意していただきたいのが、アンテナです。テレビのアンテナにはVHF形式のものとUHF形式のものとがありますが、このうちUHFのものは地デジを受信できるものの、VHFのアンテナでは地デジを受信することができません。テレビやチューナーを購入される際には、アンテナのことも注意する必要があります。
Bケーブルテレビに加入する
これまで二つの方法を紹介しましたが、これとは別にケーブルテレビに加入するという方法もあります。ただ、ケーブルテレビの局ごとに対応が異なるため、ケーブルテレビに加入すれば必ず地デジが受信できるということでもありません。ケーブルテレビにすでに加入されている方は加入されているケーブルテレビ局へ、今後加入を検討されている方は加入を検討中のテレビ局へ、地デジへの対応についてそれぞれご確認いただくのがよいと思います。
なお、ケーブルテレビに加入する場合、月々の利用料金がかかります。また、地域によっては加入できるケーブルテレビ局がない場合もあります。
4.視覚障害者向けワンポイント
ここでは、視覚障害者向けに地デジに対応する際に注意したほうがよいと思われる点を上げていきます。リモコンを確認
最近のテレビは、リモコンで操作することがほとんどではないかと思います。とりわけ地デジでは、ほとんどの機能はリモコンによって操作することになりますが、多機能になったのと引き換えに、リモコンのボタンの数が増え、ますます複雑になってきています。視覚障害者にとって、リモコンが使いやすいかどうかは重要なチェック項目でしょう。「電源」ボタンが分かりやすいか、数字の「5」のボタンに印がついているか、ボリュームの上げ下げは分かりやすいか、解説放送を聴くために必要となる「音声切替」ボタンは分かりやすいか、などを、テレビを購入される際にチェックしておくことをお勧めします。
それでも、どうしても使いにくい場合には、別売の「簡単リモコン」を購入されるのも手です。「簡単リモコン」は、数字やボリュームなど、限られたキーに絞ったリモコンです。しかし、中には簡単にしすぎて「音声切替」ボタンも取り除かれてしまった「簡単すぎる簡単リモコン」も存在します。せっかく簡単にテレビを操作できても、解説放送を受信できないことになってしまいますので、簡単リモコンを購入される際には要チェックです。
FMラジオではテレビを受信できなくなる
視覚障害者の中には、FMラジオを使ってテレビの音を聴いておられる方も多く、「自分はラジオで聞いているから地デジなんて関係ない」と思っている方もいらっしゃるようです。しかし、これは間違いです。FMラジオから聞こえてくるテレビの音声は、アナログ放送の音声です。アナログ放送の電波をFMラジオで受信しているのです。そのアナログ放送が終了すると、FMラジオでアナログ放送の電波を受信することはできなくなりますから、つまりは、FMラジオでテレビの音を聴く、という方法は使えなくなるというわけです。なお、これはあくまで、FMラジオを使ってテレビの音を聴くことができなくなる、ということであって、FMラジオそのものがなくなるわけではありません。ラジオ放送は従来どおり受信することができます。
「家族はリビングで大型テレビ、自分は部屋でFMラジオでテレビの音を聴いていた」といった方には、携帯用テレビを利用するという方法もあります。ワンセグと呼ばれるもので、携帯電話にもこの機能が搭載されているものもありますが、このワンセグで受信しているのはデジタル放送です。ですから、今後もこの方法は使えます。
ただし、ワンセグは電波の状況により、室内で利用できないこともありますので、注意が必要です。
5.関連情報
エコポイント
テレビを購入される際、エコポイントというポイントを受け取ることができます。このポイントは、環境に配慮した家電製品に対して付与されるものですが、テレビの大きさによってポイント数が異なります。詳しくは、購入される際に確認してください。
低所得者対策
所得の少ない世帯に対して、簡易型チューナーを給付するという制度があります。対象となるのは、NHKの放送受信料が全額免除になっている世帯で、より具体的には、生活保護世帯、障害者のいる世帯で世帯全員が市町村民税非課税の世帯、等です。
ただし、すでに地デジ対応のテレビやチューナーをお持ちの場合は、給付の対象とはなりません。また、条件を満たしているからといって、勝手にチューナーが届くわけではなく申請が必要です。該当される方は最寄のNHKにご相談ください。
6.詐欺に注意!
全国各地で地デジに関連した詐欺が発生しています。ご注意ください。総務省やテレビ局が地デジ移行に際して料金を請求することはありません。事例
放送局や電力会社の職員を名乗り、工事代金を請求。地デジを見るための補助金があると持ちかけ、その補助金の申請を行うための手数料をを請求。
お問い合わせ先
総務省 地デジコールセンター
地デジについて分からないこと、困ったことがありましたら、コールセンターまでお問い合わせください。電話:0570−07−0101
日本ライトハウス地デジ事務局
視覚障害者向け説明会のお問い合わせは、こちらへお願いいたします。電話:06−6784−4414